2004年10月号掲載 よしだともこのルート訪問記第96回 自らのネット構築・運用によりネット空間の社会学理論を模索
今月のルートさん: |
吉田 純(よしだ じゅん) 京都大学 高等教育研究開発推進センターおよび京都大学大学院 人間・環境学研究科 教授 |
京都大学 高等教育研究開発推進センターとは 2003年4月に、高等教育における教授システムの実践的研究を行う組織として発足。実践研究のほか、研究成果に基づいて全学共通教育の企画、開発および実施の支援を任務としている。 http://www.highedu.kyoto-u.ac.jp/ 京都大学大学院 人間・環境学研究科とは 京都大学 教養部を改組して1993年に発足した総合人間学部の大学院が、人間・環境学研究科である。総合人間学部では、人文科学、社会科学、自然科学といった幅広い学問分野の総合的教育を行っており、その教育は人間・環境学研究科教員が担当している。 http://www.h.kyoto-u.ac.jp/jinkan/ |
私のUNIX #22 〜吉田 純さんのUNIX〜●OS環境:FreeBSD 4.x-RELEASE、Windows 2000/XP十数年前、PC-9801およびMS-DOSユーザーだったころの私にとっては、UNIXは、いわば「MS-DOSに象徴されるちまちまとした日常性」を超えた世界を垣間見せてくれる存在であり、その意味で「憧れ」の対象でした。1989年ごろに初めて触ったUNIXは、京大の大型計算機センターの汎用機に載っていたもので(いまとなってはバージョンもよく分かりません)、自宅から2400bps(!)のモデムでアクセスし、PCの画面にログインプロンプトが出たときの感動は、現在でも不思議と覚えています。rootとして初めて触ったのは、1993年に大学の研究室で導入したSun SPARCstation 2に載っていたSunOS 4.1.3でした。その後、Solarisなども少し触りましたが、最初のSunOSでの刷り込みのせいか、ずっとBSD系のUNIXにより親しみを感じてきたように思います。 そうした経緯もあり、SPARCstation 2の老朽化に伴い後継機とOSを探さなければならなくなったときに、まず第一に候補に挙がったのがFreeBSDだったわけです。現在まで3年半ほどの間、3台のPCサーバーにFreeBSD 4.x-RELEASEを載せ、1度もダウンすることなく安定運用しています。ただ、そろそろハードウェアの更新を考えなければならない時期に差し掛かっているのですが、PC UNIXの世界はLinux全盛となった今日、FreeBSD対応ハードウェアが少なくなってきているのが少々残念ではあります。 現在の私にとってのUNIXは、ほとんどサーバーOSとしてのそれであり、日常の(rootとして以外の)仕事や遊びに使うクライアントOSは、すっかり大勢に流されてWindowsになってしまっています(少しさみしい気もしますが……)。 ●ウィンドウマネージャ:twmWindowsに対抗(?)するかのように、新しい高機能のウィンドウマネージャが次々と開発されていることを薄々知ってはいるのですが、rootとしての作業だけを考えれば、昔ながらのシンプルなtwmがベストと勝手に思い込んでいます。マウスだけでウィンドウ間のコピー&ペーストができるのも便利ですし。ちなみに、起動時にデスクトップに開くのは、ktermが2つ(それぞれ別のサーバーのシェル)と、アナログ表示をする時計アプリケーションoclockのみに設定しています。 ●シェル:tcsh最初に触ったのはcshでしたが、コマンド履歴の参照やコマンドラインの編集・補完の機能の便利さのため、現在はもっぱらtcshを使っています。●シェルの設定たいして凝った設定はしていませんが、lsの出力はやはりカラーのほうが見やすいので、colorlsにエイリアスしています。また、プロンプトにはホスト名を出すようにしています(以前、サーバーを間違えてシャットダウンしてしまったことがありますので……)。●エディタ:vi、elvis、jvim現在、UNIX上でのrootとしての作業はほとんどが設定ファイルの編集ですので、viで必要かつ十分と思っています(とてもviの機能のすべてを使いこなしているとはいえませんが……)。日本語の含まれるファイル(CGIのPerlスクリプトなど)を編集するときは、elvisまたはjvimです。ちなみに、Windows上では、テキストエディタとしてはViVi(ヴィヴィ)というviモードを持つシェアウェアを愛用しています。http://hp.vector.co.jp/authors/VA007799/vivi.htm 以前はEmacs/Muleも使っていたのですが、UNIX上で文章(メール含む)を書くことがほとんどなくなったため、現在では使わなくなりました。ただ、文章を書くときのEmacs/Muleのキー操作だけは指に馴染んで残っているため、マイクロソフトのWordのカーソル移動キーをEmacsライクにカスタマイズしていたりします。 ●日本語入力:VJE-Delta 3.0 for Linux/BSDVJEはMS-DOS時代から手に馴染みきった道具なので、いまだに固執しています(もちろんWindowsでも同様)。X11R6上のみで、コンソールでの入力には対応していないのが残念です。●そのほかのこだわりこだわりといえるほどのものはないのですが、あえていえば、UNIX系OS、それもFreeBSDをサーバーOSとして使い続けていること自体が、私にとってのこだわりということになるでしょうか。その理由は、コストやセキュリティといったWindows系OSと比較してのメリットだけではなく(というかそれも含めて)、UNIXが本来的に持っている、オープンかつ機能的・合理的な情報ネットワークのプラットフォームとしての「思想性」ではないかと思っています。 |
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