2003年11月号掲載 よしだともこのルート訪問記
第85回 実践的な情報学の確立を目指し個性的な院生も活躍中
〜大阪市立大学大学院 創造都市研究科〜
※所属部署・肩書は取材当時(2003年9月)のものです。
大阪市立大学大学院 創造都市研究科とは
高度の専門知識を身に着けるとともに、戦略的視野と深い見識を養える人材養成の場として、2003年4月に開講。社会人が通いやすいように、JR大阪駅前の梅田サテライトで夜間や土曜日にも授業を実施している。ただし、都市情報学専攻の主な科目は大阪市立大学のメインキャンパスである杉本キャンパスで行っている。
http://www.gscc.osaka-cu.ac.jp/J/
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■社会人こそ学ぶ 大阪駅前の新スタイル大学院
よしだ(以下、Y):お久しぶりです。第84回取材先である(株)グッデイ注1の前田社長から紹介されて、おじゃますることにしました。前田社長が、2003年4月開講の大阪市立大学大学院 創造都市研究科の「オープンソース論」講師であること、また都市情報学専攻 情報基盤研究分野注2の大学院生として「システム管理者の眠れない夜」注3著者の柳原秀基さんと、(株)グッデイの社員である矢吹幸治さんが在籍中と聞き、さらにこの大学院に興味を持ちました。 加えて、大学院の教授である中野秀男先生が、「関西オープンソース+フリーウェア2003」注4(以下、KOF2003)の実行委員長とも聞いて、このイベントについても教えてもらえればと思っています。まずは、新しい大学院について紹介してもらえますか。
中野秀男先生(以下、中野):大阪市立大学 学術情報総合センター(以下、センター)は、1996年にオープンした図書館と計算機センターが合体したものです。同じ建屋に図書機能と情報処理機能があるので、図書館機能も情報処理部門がサポートしやすくなっています。また新たにネットワークやマルチメディアをサポートするというものです。
センターには教員が12名、工学部だと4講座(図書館情報学部門、データベースを含むメディアシステム部門、コンピューティングシステム部門、ネットワーク部門)があります。教育研究組織として、基盤支援や情報処理教育をサポートすることに加えて、大学院を作ろうという計画が当初からありました。
センター専任教員の大学院設置が遅れている間に、世の中では大学の位置付けが変わってきました。とくに公立大学の在り方が変わる中で、大阪市立大学に社会人向け大学院を作る計画があったため、我々の大学院も3つ目の専攻(都市情報学専攻)として、社会人向け大学院計画に加わることにしました。
Y:創造都市研究科3つの専攻(都市ビジネス専攻、都市政策専攻、都市情報学専攻)のうちの1つが、センターの先生方による大学院だったというわけですね。そのほかの専攻の先生は、どこから来られたのですか。
中野:学内の経済研究所からと、新規採用ですね。都市ビジネス専攻と都市政策専攻は基本的に社会人を対象としており、授業は大阪駅前第2ビルにある梅田サテライトで、平日の夜と土曜日に行います。梅田サテライトのパソコン室には、Red Hat LinuxとWindows XPをデュアルブートできるPCが36台入っています。こちらのPCの日々の面倒は、ほぼ業者に任せられる体制を整えました。
Y:それはいいですね。
中野:遠隔地ですから、センターの人間が細かい面倒を見るのは無理です。その意味では、必要となるお金を出してもらうための戦いはしましたね。
都市情報学専攻の中には、情報基盤研究分野と情報メディア環境研究分野の2つがあります。いずれもほかの2専攻とは異なり、社会人以外に「新卒の学生も特別枠を設けて募集」しています。来年度に向けて、情報基盤研究分野と情報メディア環境研究分野の2分野でそれぞれ20名程度入学者を採用するのですが、その4分の1程度が新卒枠で、残りが社会人枠です。社会人枠には、会社の許可を得て通うケース、今後の転職を考えて現在はフリーのケース、自治体からの派遣などのケースを含みます。社会人が大学院に通う場合、キャリアアップまたはキャリアチェンジを強く希望していると、すんなりいきます。
また、都市情報学専攻の1年次の授業は、梅田ではなく、大阪市住吉区の杉本キャンパスで行っています。週1日をコア日と決め、その日に授業を固める工夫をしています。おかげで院生は朝9時から夜までみっちり授業や課題研究をこなすことになり、かなりハードですけどね。この専攻の院生も、梅田サテライトで行われる授業が自由に取れるうえに単位にもなり、そちらは夜か土曜日に行っています。
Y:都市情報学専攻が、ほかの大学院と一番違う点を挙げていただけますか?
中野:「実践的な情報学の確立を目指す」ことができる点です。これは我々が大学院を作るときから掲げているキーコンセプトです。今後、授業のコンテンツはどんどんWebサイトに上げる予定で、「情報基盤ワークショップ」での招待講師の講義内容をVODで提供する予定もあります。それを見てもらえば、この大学院がほかの大学院とはひと味違うことを実感してもらえるでしょう。
■OpenOffice.orgを活用し中古PCを小中高校に配布
Y:ところで、(株)グッデイの前田社長が講義する「オープンソース論」は、都市ビジネス専攻と、都市情報学専攻の両方の院生が選択できる講義なんですね。
中野:そうです。オープンソースはビジネス分野を専攻する院生も知っておくべきと位置付けています。
また、オープンソースに関連して、我々のところの研究テーマとして、(株)グッデイさんと共同で進めようと思っているテーマに、オープンソースのOpenOffice.org注5のブロック化があります。OpenOffice.orgは、一般的には、マイクロソフトのオフィススイートとよく似ていることがメリットとされていますが、小中高校で教育用途で利用することを想定すると、あんなにコテコテした機能の多いソフトウェアは不要なんですね。単なるエディタっぽいもので良かったり、簡単な表計算ができるだけで良かったりします。そこで、OpenOffice.orgをビルディングブロックに分けてコア部分をとても小さいものにして、積み木のように積み上げていく使い方ができるようにしたいと考えています。
その狙いは、小学校、中学校に中古PCを配ることです。世の中には中古PCがたくさん余っているのですが、そういったハードウェアでは、現在のWindows XPなどは動きません。しかし、Linuxと簡単なオフィススイートを載せると、結構使えるPCセットができあがるのです。教育には十分役立ちますよ。
現在、大阪市立の小中高校は約450校あります。この大学も大阪市立であるつながりで、大阪市教育委員会に話を持ち込みやすいので、私はこのプロジェクトでできたPCセットをそれらの小中学校にやがては配布できると考えています。
Y:そういう素朴なPCセットを子供たちにぜひ使わせてあげてください。
■PC好きが自由にワイワイいえる関西発のオープンソースイベント
Y:中野先生はKOF2003の実行委員長ということですが、このイベントを始めたきっかけを教えてください。
中野:2002年の春ごろに、「東京では、オープンソースまつりがある。それの関西版をやりたいよね」という話を何人もの関西人にすると、みんな同じことを考えていながら、実現できずにいることが分かりました。
偶然、私は2つほど「タマ」を持っていたので、仲間との宴会の場でそれを出すと、急に「やろう!」という話がまとまり、昨年12月に第1回を開催できました。
1つ目のタマはお金でした。WINC注6のお金が230万円ほど余っていたので、それを最高で1年に100万円ずつ使えるということでした。
Y:JUNETのプロジェクト終了に際して、JUNETに接続していた企業サイトのために設立されたネットワーク組織がWINCでしたね。
中野:WINCを設立したのが1993年なんですね。オープンソースは、当時のインターネットを巡る動きと同じぐらい大きなムーブメントなので、関西の活性化のためにそのお金を使うのであれば、WINC関係者は誰も文句はいわないだろうと思いました。皆さんから了解を得られたため、「年100万円まで使う」ことを決めると、まず、イベント開催に関するお金の心配はなくなりました。今年も、招待講演のWietse Venema氏(IBM ワトソン研究所)を呼ぶ費用などに、このお金(いわゆるWINCの埋蔵金)を当てます。
そして2つ目のタマは、会場を無料で借りられる手段があったことです。昨年も今年も会場にしている本町の大阪産業創造館は、大阪市の建物なのです。昨年度は実費で2日間で50万円ほどかかったのですが、大阪市の外郭団体「ソフト産業プラザ イメディオ」注7の名前を主催者として入れると無料になります。そういうことには私たちはまったくこだわりがないので、会場費を無料にできました。イメディオは大阪のソフトウェア産業の活性化のための団体なので、積極的にサポートしていただいています。
イベントタイトルに「大阪」でなく「関西」と名付けたのは、京都や神戸でも、隔年でもいいから開催したいと思っているからです。また「オープンソース」の後に「フリーウェア」と続けたのは、Macintoshの人やWindowsの人もいっしょに楽しみたかったからです。
Y:私もイベント大好き人間なんですが、楽しんでいる人の平均年齢が上がってきているのが気になるんですよ。若い人にもっともっと来てほしいなぁと。さもないと、安心して年を取れないじゃないですか。
中野:そのためにも、「フリーウェア」も入れてMacintoshやWindowsの人も誘い出す工夫をしないといけないんですよ。ライセンスの厳密な定義や適用だけに教条主義的にこだわるのではダメだと僕は思います。難しいことをいい合うのではなく、使っているOSやソフトウェアの種類も関係なく、ソフトウェア好きやハードウェア好きな連中が自由にワイワイいえるイベントにしようというのが、僕と安田豊さん(KOF実行委員)など実行委員会の共通認識です。
昨年度は2日間で約1000人が集まり、全国からオープンソースの関係者が多く集まってくるという盛況ぶりでした。ただ残念ながら、いわゆる「普通の人」があまり来ていないんですよね。東京の「オープンソースまつり」は、秋葉原でやっているから普通の人もフラッと足を運べたのですが、大阪産業創造館は本町のはずれにあって、なかなか普通の人には来てもらえない。そこで、梅田のヨドバシカメラか日本橋の上新電機などに双方向のテレビ会議システムを置いてバーチャル参加できないかと考えています。
Y:今年はLinux Conference注8との併催なので、少しは客層が広がるのではないかと思います。成功をお祈りしています。ありがとうございました。
■ルートとアドミンの間に横たわる、深く暗い溝とは!?
大阪市立大学大学院 創造都市研究科 都市情報学専攻 情報基盤研究分野 修士課程には、柳原秀基さんと矢吹幸治さんが在籍しています。そこで、中野先生への取材を終えた筆者は、院生部屋におじゃましてお二人から話を聞くことにしました。
Y:柳原さん、はじめまして。会社を辞めて大学院生になられたとのことですね。そこまで踏み切らせた、ここの一番の魅力は何でしょうか。
柳原秀基さん(以下、柳原):この情報基盤という研究分野では、いろんな分野から集まった個性的な院生がコラボレーションするのがおもしろいと思うんですよ。中野先生、松浦敏男先生、石橋勇人先生を中心とした先生方と「濃い」同級生とで、ワイワイできる時間を2年間持てるのは、いろんな意味でチャンスだと思って進学を決めました。
ただ、サラリーマンとして、家を朝早く出て夜遅く帰る日々を約20年間送っていたので、平日の朝から、自分が「読もう」と思う本を読めるという身分は、最初はショックでしたね。「こんなことしてていいのやろうか」と。大学院での日々については、現在も連載中の「システム管理者の眠れない夜」に書いていきますよ。
Y:今回、改めて「システム管理者の眠れない夜」を読んで、「ルート訪問記」と対照的でおもしろいなぁという感想を持ちました。ルート訪問記は、具体的に書くと実は泥くさいことを、達成した充実感をさわやかに語る風に扱い、最後はハッピーエンドに終わるという流れがオーソドックスなスタイルです。でも、「システム管理者の眠れない夜」は、その泥くさいことをものすごく具体的に書いているのが魅力になっていますね。
柳原:俗にいうUNIX世界のルートと、Windows世界のアドミンの間には、相当、深く暗い溝があるんですよ。それは立場の違いからくるもので、「ルートな人」たちはとくに初期のころはツールも少なかったので、「良いものは自分で作っていこう」という伝統、そして「作ったぞ!」という達成感がありますよね。
その一方で、「アドミンな人」たちに対しては、(サードベンダーも含めて)マイクロソフト側が、手厚く、商品の形でたくさんのツールを提供しているんですよ。だから、アドミンな人はツールを自分で作ろうとはまったく思っていなくて、それらの提供されたツールをいかに使いこなすかという方面に走るわけです。それがルートな人には許しがたいようですね。
ルート訪問記には、アカデミックなところのルートが多く出てくるでしょう。アドミンな人たちは企業系が圧倒的に数が多く、彼ら企業系は利益追求ですべてを判断せざるを得ないわけで、その間に埋めがたい溝があって当然なんですよ。それを飛び越えて討論しても仕方ないやんと、僕なんかはさめて見ています。
Y:なるほど。アカデミックな世界にいるからこそ「美しいプログラム、美しいシステムを作る」という部分にロマンが持てるのですね。
柳原:自分の人件費を計算しなくてもいいですからね。ルートな人たちにも、もちろんつらい面もあるんでしょうけど、アドミンな僕の目から見て、ルートな人たちがすごく幸せだと思えるのは、アカデミックな世界で仕事をしているという点です。僕が「システム管理者の眠れない夜」の中に書いたことは、それとは無縁の世界なんですよ。「企業内で、猫も杓子もPC、つまりPCが大衆化した状況において何が起こるか」なんです。
この本についていただいた書評の1つに、アカデミックな方の書かれた「サーバーにWindows NTを使っていたら、こういう悲惨な状況になるのは当たり前。自ら掘った墓穴で本を書くとは何事や」というご意見があったのですが、「サーバーにUNIX系を使わせてもらえない世界もあることを、あなたが知らないだけやん」ということになってしまうんです。
矢吹幸治さん(以下、矢吹):企業の場合は、全社的にWindowsサーバーを導入すると決まってしまうと、1人だけ反乱を起こすわけにはいきませんから。
柳原:僕もサン・マイクロシステムズのワークステーションとか使いたかったのですけどね。会社では買ってもらえなかったし、自腹で買える金額でもないですし。いろいろいってきたことをまとめると、「UNIXのルートな人たちが一般と考えていることは、世間一般じゃないよ、それ以外の世界もあるよ」ということだけですね。ルートな人とアドミンな人との溝は、表面的にはどんどん埋まってきているけど、まだまだ、UNIX文化な人たちと、暗黒のマイクロソフトな人たちの間には溝があるということなんです。
Y:なるほどねぇ。ところで、矢吹さんは(株)グッデイでの仕事と両立して、中野先生のもとで研究なさっているそうですね。研究テーマは?
矢吹:はい。私の研究テーマは、オープンソースです。ただ、オープンソースといっても社会現象のレベル、ソフトウェアのレベル、プロジェクトの運動レベルなど多様な面があります。
現在は、OpenOffice.orgに興味を持っている人が多いので、オープンソース現象の表れとしての「Open Office.org」を研究テーマとしています。今後Debian Projectなど、ほかのオープンソースな開発手法やその成果物についても研究して、「良いものだ」という点を広めていきたいと思っています。
私自身も、Linuxをデスクトップ用途で使っている人間の1人ですので、いまとはちょっと違った(Yet anotherな)発展をしているコンピュータ文化、デスクトップ環境があっても良いと思います。基本的な考え方としては、世の中が、ある特定のもの一色になったらおかしいですし、ゆるやかな互換性を持たせつつやっていけたらと思います。
Y:期待しています。また、お二人はKOFの実行委員でもあるとのことで、私も関西におりますので、引き続き、情報交換させていただくのを楽しみにしています。今日はありがとうございました。
注1 (株)グッデイ
主要業務はオープンソースを利用したシステム開発、IT導入企画などの情報システム部代行サービス、システム導入後の運用サポートサービス。(株)グッデイのオフィスがある大阪駅前第2ビルに、大阪市立大学の梅田サテライトも入居している。
http://www.Good-Day.co.jp/
注2 情報基盤研究分野
情報基盤システムの構築に必要な基礎的かつ横断的な知識を持ち、システム設計や構築・運用を総括できる指導的人材を養成することを目的としている。
注3 システム管理者の眠れない夜【本当に価値のあるシステムを求めて】
柳原秀基著。1997年から月刊誌「Windows Server World」に連載中の同名エッセイをまとめた書籍。帯には「情報システムとそれに振り回される人々の真実の姿をお届けする泥くさいエッセイ集」と書かれていた。価格(税込)は1,575円。ISBN 4-87280-480-5。
注4 関西オープンソース+フリーウェア2003
2003年10月31日、11月1日に大阪産業創造館にて、オープンソースやフリーウェアを開発・利用しているコミュニティ自身によって開催される手作りイベント。
http://k-of.jp/
注5 OpenOffice.org(オープンオフィス・ドット・オルグ)
オープンソースとして開発されているオフィススイート。ワープロや表計算、プレゼンテーションツールなどが用意されている。「.org」まで含めるのが正式なソフトウェア名。Linux版、Windows版、Solaris版、FreeBSD版のほか、ベータバージョンとしてMac OS X版がある。2003年9月現在、新バージョンであるOpen Office.org 1.1のリリース準備が進行中。
http://ja.openoffice.org/
注6 WINC(関西ネットワーク相互接続協会)
1984年にスタートした実験ネットワークJUNETが、その使命を終えるのに先立ち、1993年3月に設立。大阪大学に接続していた企業サイトを中心にWINCを結成し、インターネットへのコネクティビティを確保した。学術系サイトはORIONS(Osaka Regional Information and Open Network Systems)とNCA5(Network Community Area 5)でまとめた。1993年4月に運用を開始(WIDE接続)し、1993年秋に商用接続(IIJ、後に東京インターネットへ)、1998年3月にその役割を終え、プロバイダ業務停止。
注7 ソフト産業プラザ イメディオ(iMedio)
大阪市のデジタルメディア産業の振興と育成を目的に、大阪市の委託を受けて財団法人大阪市都市型産業振興センターが運営する共同利用型インキュベータ施設。
http://www.imedio.or.jp/
注8 Linux Conference
Linuxおよびオープンソースソフトウェアに関する、さまざまな話題を討議するカンファレンス。2003年10月30日、31日、11月1日の3日間、関西オープンソース+フリーウェア2003と併催。
http://lc.linux.or.jp/lc2003/
●OS環境:FreeBSD 2.2.8および4.8、Windows 2000/XP、Mac OS X
学生時代は大型汎用機でFORTRANから入りましたが、研究室にミニコンを入れた辺りからOSにも興味を持ちました。いわゆるマイコン時代には学生と一緒に手作りマイコンを作りました。私の担当はソフトで、当時はTinyBASICを載せたりしていました。ミニコン時代も研究で再帰が必要なのでSIMPLという言語をミニコン用にインプリメントして研究に使っていました。その後、手作りマイコンはPC-8001に代わり、1980年代はMacintoshとNECのPC-98をクライアントとしていました。1983年に45日ほどバークレーで遊ばせてもらったのですが、そこでUNIXとARPANETに遭遇しています。そこから理論派から実践派になったようです。大阪に帰ったらUNIXもARPANETもなかった。
現在は、クライアントのPCという意味ではWindows機ですが、多くの仕事はメールも含めてMule+Mewを使っているので、Windows+FreeBSDがOS環境といえます。研究室のほうは若手が設定してくれるので、自宅の環境作りで(たまにですが)汗をかいています。自宅も基本的には同じような環境でドメインを持っていて、2つの回線(ADSLと光ファイバ)を適当に使いながら仕事をしています。
●シェル:csh、tcsh
シェルにはあまりこだわっていません。サーバー機やOSのバージョンが更新されることが2年に1度はあるので、そのたびに変わっていることがあるのに気が付かないというほど気にしていません。
●シェルの設定:
Pathを切って、よく使うコマンドラインをaliasしている程度です。ただ、主に自分用のサーバー機や、教員用、センター用、梅田サテライト用、全学用など多くのサーバーに入って作業する場合が多いので、よく入るサーバーではプロンプト表示を変えるなど、作業するサーバーが分かるようにはしています。
●エディタ:Mule
Muleを使っています。MUAはMewなので、半分以上の仕事はMule+Mew上でやっています。ホストOSはWindowsですから、SSH TeraTermでいくつかのサーバー機(主にFreeBSD)にログインして作業しています。研究室でも自宅でもWindows用ソフトウェアのファイルに対応できるように、セカンド用ノートPCでWindows系の操作をしています。モバイル中は携帯用PCだけで全部やってしまいます。
●そのほかのこだわり:
1995年4月に大阪市立大学に赴任して全学のネットワーク担当になったときに、Windowsを積極的に使うようにしました。理由はトラブルが起こる可能性が一番高いので、自分で身を持って体験してユーザーに対応しようと思ったからです。最近は遠隔講義やVOD講義などにも興味を持っていて、サーバーとしてのUNIXと、いろいろなアプリケーションのあるWindows系とを使い分けています。また、主に社会人対象の大学院を作ったので、サーバーとしてのWindows、クライアントとしてのDebianにも興味を持って、学生に教えてもらっているのが現状です。年齢とともに仕事の幅が広がってきて、大阪市を中心とした情報化でも動いています。仕事や生活、ボランティア活動から見たIT活用にUNIXやWindows、Macintoshをうまくはめ込めればと思っています。
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