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2003年1月号掲載 よしだともこのルート訪問記

第75回 ネットデイを実施し、自らのインターネット環境を整備
〜日産学園 京都自動車工業専門学校 若竹寮〜

今回は、京都府宇治市開町の日産学園若竹寮を訪ね、日産学園 京都自動車工業専門学校教員の竹中章勝(たけなか あきまさ)さんから、自分たちの手によって学校と寮との間を無線LANでつなぎ、寮生の部屋でインターネット環境を使えるようにされた話を中心にお聞きしました。

竹中章勝(たけなか あきまさ)さん
日産学園 京都自動車工業専門学校 教育部 教務課。教員としての授業担当に加えて、学校のネットワーク管理も担当
加藤拡(かとう ひろし)さん
日産学園 京都自動車工業専門学校 研究科課程 学生
笠井香壱(かさい こういち)さん
日産学園 京都自動車工業専門学校 研究科課程 学生
※所属部署・肩書は取材当時(2002年12月)のものです。

■学校と学生寮とを無線LANで接続

よしだ(以下、Y):こんにちは。ここ若竹寮は、日産学園 京都自動車工業専門学校注1の学生寮ということですので、まずは、日産学園と若竹寮について紹介していただけますか。

竹中さん(以下、T):日産学園は、自動車整備士の資格取得を目指し、2年間の課程で自動車工学を専攻する学校です。日産学園は、日産学園京都自動車工業専門学校(以下、京都校)以外に、神奈川、栃木、愛知、愛媛にもあります。
 現在の京都校は、西日本全域から約700名が在籍しており、遠方出身の学生約200名が若竹寮に入寮しています。日産学園は男女共学ですが、若竹寮は男子寮です。寮は、全室南向きの日当たりがよい、6階建ての建物です。以前は、社宅として日産学園の教職員や日産車体の社員が住んでいた時期があり、私もここに住んでいました。

Y:最近、この寮にネットワークを引かれたのですよね?

T:寮生もPCを持ち込み、自分でPHSなどのモバイル環境でネットワーク利用をしている状況から、何とか安定した環境を多くの学生に安価で提供できないかと積極的に検討するに至りました。
 実はこの建物が築30年以上の古いもので、各部屋に電話が引けるようにはなっていません。各部屋への連絡は、インターフォンでの呼び出しになっています。つまり、各部屋からNTTの電話回線を引く手段はないので、学生が自室でインターネットを利用したい場合は、無線のモバイル環境を利用するしか選択肢がなかったのです。
 そこで、学生にとって有効的な方法は何かと考え、学内LANをこの寮にも延長することを検討していました。そうこうしているうちに、アライドテレシス社から比較的安価な無線LAN装置が発売になりました。スペックを見ると、直線約3kmの通信が可能とのこと。学校と若竹寮の間が約3kmの直線見通し距離であり、これは使えるかもしれないということでアライドテレシス社に問い合わせ、ご好意でテスト機を借りることができました。実験したところ、カタログ値ぎりぎりの3kmの距離でも2Mbpsの帯域が確保できそうだったので導入に踏み切りました。
 寮でかかった費用は、無線LANのアンテナが1セット約20万円で、両端に置いて約40万円。各階をまたぐ縦系統の敷設工事で、サーバーマシンを入れて約200万円でした。各部屋への横系統の工事まで業者に依頼するとさらに400万円かかるといわれたので、この部分は、実際に使う学生自身にも作業してもらう「ネットデイ」として、自分たちで配線することにしました。自分たちで接続したネットワークという意識を持ってもらう教育的効果も期待しました。
 その作業には、初日の7月1日から毎日、休日は朝から、平日は授業が終わった午後6時前後から夜まで作業をし、10日間ほどかかって最初に希望した25名ほぼ全員の部屋につなぐことができました。夏休み後に希望した学生の部屋の接続は、9月上旬に実施しました。

Y:業者に依頼すると400万円かかる作業を、自分たちでやり遂げた! というのがすてきですね。

T:9月時点で寮生の15%にあたる31名の学生注3がこの環境を利用しています。Squidを使ってそれなりにキャッシュのログ統計もしていますが、31名のうち1日平均10名程度が利用しているようです。

■寮に完成したネットワーク環境

Y:寮に完成したネットワーク環境について、詳しく教えてください。

T:7月1日のネットデイ初日に先駆けて、事前に無線LANのアンテナ工事と学生寮側のサーバー設置、縦系統の工事を行いました。構成は図1のとおりです。実際に工事をしてみると、学内から寮の間はコンスタントに3〜5Mbpsの帯域で通信が確立していました。

Y:「縦系統の工事」は、どういったものですか?

T:寮の建屋には各階を横断できる空配管がなかったため、業者にお願いして屋外用のUTPケーブルを外部壁面に敷設してもらいました。寮の外部壁面を見ていただくと分かるのですが、屋外用UTPケーブル注4は、UTPのケーブル線に支持線となる細いワイヤーがらせん状に絡まっていて、ワイヤーの両端を引っ張ることで固定できます。普通は、ケーブルを空配管(パイプ)に入線して使用するのですが、新たに空配管を設置するにはお金と時間がかかってしまいます。このらせん状のケーブルは、雨に濡れても大丈夫で、外壁にそのままむき出しで使うことができます。
 また、各階では、24ポートハブをハブボックスに収納し、かぎをかけました。そのハブボックスから各部屋への配線を自分たちでやったのですが、この作業には、研究科課程の学生2名注5が手伝ってくれました。
 彼らがネットワーク工事をするのは今回が初めてでしたが、少しやり方を助言すると、自分たちで考えながら工夫して作業してくれました。学生たちでLANケーブルの取り回し、RJ-45オス成端注6までしてくれたので、私はRJ-45メス成端とdhcpd.confの設定、アカウント発行、学生個人のPC設定に集中できました。
 そして寮内の寮管室にFreeBSDベースのオールインワンサーバーBoxQun注7を設置し、プロキシ、Web、メールなどのサーバーを担当させました。DNSは安定性確保のため、無線環境内では用意せず、UTPでつながっている学内サーバーに担当させるようにしました。
 ユーザー認証は、寮内のBoxQunが担当します。問題の切り分けなども含め、契約した学生のみが利用できるように、まずハブで接続・非接続で切り分けます。2段階目として、サーバーに学生が持っているPCのMACアドレスとIPアドレスをdhcpdに書き、DHCPでのプライベートIPアドレスのレンタルとしました。

Y:たしかBoxQunには、Web画面でMACアドレスとIPアドレスの一覧を記入し、自動的にdhcpdに反映してくれるような機能はないですよね。

T:はい。ですから自分で/etc/dhcpd.confを書き直しています注8。私のノートPCを学生の部屋まで持っていって、学生のPCのMACアドレスをサーバーに書き込みます。MACアドレスで管理することにしたのは、何かあったときに、だれが何をやったかが分かるようにしたかったのと、学生がある程度ネットワークの仕組みを意識して使うようにしたかったからです。
 また、ネットワーク管理のサーバーに、自作ではなく、オールインワンネットワークサーバーのBoxQunを選んだ理由は、管理者が変わって私ではなくなっても、問題なく運用できるようにしたかったからです。

Y:先ほどいわれた「ハブで接続・非接続を切り分ける」というのは、具体的にはどういう意味ですか。

T:まず、今回、加入する人の部屋の中にLANの口を作りますよね。今年はこの部屋に入っていた学生が来年度、卒業したり別の部屋に移ることでこの部屋につながなくなったとしたら、ハブボックスに収納している「24ポートハブ」の部分で、その部屋をLANから切り離します。配線自体は残しておき、LANからは切り離すということです。

Y: もし、寮生全員の200名の学生が希望しても、ハブの口さえ増やせば、対応可能なのでしょうか。

T:はい。その計算をしています。すでにハブは全室が利用できるだけの口数でそろえていますので、問題はないはずです。それよりも、上流の帯域が厳しくなるかもしれません。学生たちはテレビを見る感覚でWebサーフィンをしていますので、おのずと帯域を必要とするサービスが利用されています。今後、光ファイバのサービスがもっと安くなるなどして、広帯域のサービスが開始されれば、上流の切り替えで対処できるように思います。

図1 日産自動車若竹寮のネットワーク(2003年当時)
日産自動車若竹寮のネットワーク
表1 使用した工具と部材
工具
RJ-45圧着ペンチ(約4000円)
カッターナイフ
ニッパー
ドリル
インシュロック(約3000円分)、通称「しめしめ君」
縦系統用部材各階用
24ポートハブ×12
外部セグメント用8ポートハブ×2
屋外用LANケーブル
横系統用部材
LANケーブル(カテゴリ5)300m(約1万円)×3箱
RJ-45メス端末 露出型 (NationalNR31318、1000円程度)×部屋数分
RJ-45オスプラグ×100個(計約1万円)

■学生主体の「ネットデイ」見学に男子寮に侵入取材

 よしだは「ネットデイ」を体験するために、ネットデイ実施中の若竹寮を訪れることにしました。寮では、ネットデイ隊長の竹中さんが、研究科課程の学生の加藤拡さんと笠井香壱さんを中心とした学生とともに、ネットワーク工事を実施しておられました。

Y:休日の朝だというのに、お疲れ様です。作業を見学させてください。

T:いま実施しているのは、各階に置かれた24ポートハブから、各部屋へLANのケーブルを通し、ドアの上の壁をドリルでぶち抜いて、壁にLANの口(RJ-45メス端末)をつける作業です。LANケーブルは、300m巻きを必要な長さに切って成端し、フルーク注9を使って正しくできているかをチェックしてから、ハブと各部屋内のLANの口とを接続します。その後、ケーブルを廊下の天井にある配管に沿ってしめしめ君と呼んでいるインシュロックで固定したあとで、ケーブルに対して同じチェックをします。各階にエアコンのパイプがあり、これも後工事なので、天井にむき出しになっています。それにLANのケーブルを「しめしめ君」で等間隔に結ぶことで、廊下の頭上にLANケーブルを設置しています。

Y:ネットデイのために用意した、主な部品とその数を教えてください。

T:主なものを列挙すると、表1のようになります。ネットデイで使用する部材については「学校にLAN入しよう」という本注10に、とても詳しく書いていますので、ぜひ、そちらを参照してください。

Y:ここで、竹中隊長と一緒にネットデイを実施してきた2人の学生に、作業や得られたインターネット環境について、コメントをいただきましょうか。

笠井さん:私たちが行った作業は非常に簡単なものなので、作業に対しては特に苦痛は感じませんでした。それよりも、当初は探究心が勝っていて、楽しいくらいでしたよ。技術を要する部分は竹中隊長がすべて行っていましたからね。ただ、作業が単調なので慣れてくると、多少は休日の朝に作業を行うというのが辛かったです。

加藤さん:自宅でもインターネットを利用していましたが、寮のほうが速いし、安心して使えています。工事も自分で行った部分は難しい作業ではなかったので辛さも感じませんでした。なぜか、工事がレポート提出直前に入ってくるので、竹中先生の陰謀ではないかと思えてなりませんが(笑)。

■非情報系の学校の寮でのインターネット環境整備の意味

Y:ところで、学校で竹中さんが受け持っておられる科目を教えていただけますか。たしか、情報リテラシーも教えていらっしゃるんですよね。

T:いま現在担当しているのは、基礎自動車工学、材料製図、情報教育です。以前は電装品構造、シャーシ構造なども教えていました。現在は、教務課所属ということもあり、授業数は減っています。
 情報リテラシーといえるかどうかですが、本校では、1988年の開校以来、自動車工業専門学校でありながら、コンピュータを用いた、ビジネス文書作成、集計、自動車部品検索実習をしていました。1997年くらいから私がコンピュータの授業を担当するようになり、インターネットの光と陰も含めたリテラシー教育をはじめました。
 教育への利用という面では、Webベースの教材提示システムを作って使うようにしています。オフィスや大学のように、決められた内容を決められた時間内に話すためにはPower Pointは有効かもしれませんが、うちの学校の教育内容にはそぐいません。有機的につながらないと、技術の話はできないからです。Webなら授業中に、外部のサイトを利用した展開もできます。

Y:Webベースの教材提示システムを使うようにされたのはいつごろからですか。

T:1997年のことで、同時に学内LANを引き、すべての教室でプロジェクタを利用して、Webベースの教材を提示できる環境を作りました。これは、来年度から文部科学省が提唱しているスタイルです。
 いまの学生は、映像文化で育っているので、設計図を見せて「こう動くよ」と口で説明しても、実感がわかないじゃないですか。そこで、GIFアニメーションを作って、映像で理解を深めたかったのです。それには、Webベースが適していました。たとえば、板金塗装の授業で、直している過程を映像で見せるような使い方もできます。
 学校自体は、1995年に「インターネットワーク京都(Kyoto-INET)」ができたときに、6月からダイヤルアップでつなぎ、1995年12月25日に学校のホームページを立ち上げました。まだその時期は、NTTの「日本のサーバー一覧」に、京都の学校として、京大とダム(京都ノートルダム女子大学)しかなかった時期です。
 しばらく1台だけで運用し、たしか96年の終わりころはWinGateというプロキシソフトウェアをWindows上で動かして、職員室にある4台くらいのPCから外部につないでいました。

Y:竹中さんがその作業を授業の合間にやっておられたわけですか。

T:はい。当時はインターネットがいまほど必要視されておらず、当然予算もないので自分で設定をしていました。当初は、nissan.co.jpが使われていたのでnissan.ac.jpを取得できなかったのですが、その後、セカンドレベルドメインが異なれば取得できるようになったので、nissan.ac.jpをとり、それと同時に、いいタイミングでKyoto-INETがUUCP接続と独自ドメイン接続のサービスを開始してくれたおかげで、独自ドメインでメールサーバーを動かしはじめました。当然保守費用はないし、近い将来にIP接続を目指していたので、BSDの勉強をはじめました注11
 当時はWindows NTでIISなども動いていましたが、100校プロジェクトのML(aimiteno)やschool-techのML、NIFTYのフォーラム、書籍、雑誌を見ていると、ネットワークはBSD系がよいということでBSD/OSをSI業者に入れてもらいました。

Y:nissan.ac.jpを京都校が取得したので、日産学園のほかの学校がnissan.ac.jpを使えなかったのですね。

T:わざとKYOTOの文字は入れずに取得しました。当時nissan.ac.jpを取得し運用するようになったときに、今後、各学校でサーバー管理をすることは大変だと思ったのと、日産学園5校の中で、同じドメイン内だけでFTPやHTTPなどで閉じた環境も使用することになるだろうと予想していました。また、サーバー管理は大変だと身をもって体験していましたので、しばらくはnissan.ac.jpを京都に置いて、kyoto.nissan.ac.jp、aichi.nissan.ac.jpなどとサブドメインで分けて運用したらどうかと提案しました。しかし、実際には、そのころはドメインの重要性を認識してもらえず、気がつくと、各学校は独自のドメイン名でWebページを公開していました注12

Y:今回、寮のネットワーク環境をネットデイで作られたことを振り返ってみて、教育的効果はどのあたりにあると思われますか。

T:非情報系の学校なので、そういう学校の寮で、学生主体で実施できたというのがポイントかなと思います。接続技術をそれほど意識せずに、安全によい環境を自分たちで作って使う。自分でPPPするわけでもないし、グローバルアドレスを使うわけでもないので、外部から攻撃される脅威は少なくなります。そういう面には気を使うことなく、利用する側の視点だけに気を使ってもらう。テレビをつける感覚で、自分の部屋の中でインターネットを利用できるのが魅力ですよね。一般的な大学の寮だと、ネットワークを利用できるPCが数台置かれている部屋があって、そこでレポートを作成することになると思いますが、自分の居室で使わせたいという気持ちが強くありました。もちろん、自分の居室で使うことで、インターネットの陰の部分もでてくるわけですが、逆にそれをきっかけに教育になればいいかなと思いました。

Y:興味深い話を、ありがとうございました。


日産学園と若竹寮の通信
注1 日産学園 京都自動車工業専門学校
日産自動車株式会社注2が優秀なテクニカルスタッフやボディメイクスタッフの育成を目的として、1988年、京都府久世郡久御山町に設立。初年度の卒業生が国家2級整備士試験で100%合格という快挙を達成して以来、日本でトップクラスの合格率を誇る。ちなみに、卒業後に資格を取らなかった学生は創立以来の13年間で1名のみで、通算で日本一の合格率とのこと。学校について詳しくは、http://www.nissan.ac.jp/参照。学校の所在地は、京都府久世郡久御山町林。若竹寮のある京都府宇治市開町とは、中央に近鉄大久保駅をはさんで、約3kmの距離。

注2 日産自動車株式会社
1914年に箱形自動車を完成し、DAT自動車(脱兎号)と命名して発売。DATとは、資金協力者の田健治郎氏、青山禄郎氏、竹内明太郎氏のイニシャルを並べたものであった。1926年、ダット自動車製造となり、1933年、自動車製造株式会社創立。翌年に「日産自動車株式会社」と改称。1959年にダットサンの後継車であり、人気を集めたブルーバードを発表している。
日産学園 京都校のある近鉄大久保駅付近には、1949年に設けられた日産車体京都工場があり、日産自動車の関係者が多く住む町であった。しかし、日産自動車の経営再建計画「リバイバルプラン」に沿って、2001年3月31日、日産車体京都工場は操業を終了している。

注3 9月時点で寮生の15%にあたる31名の学生
その後さらに利用者が増え、10月末で38人。まだまだ利用者は増えるであろう。

注4 屋外用UTPケーブル
日本製線の0.5-4P NSEDT-LA-SSというケーブル。以下のURLで確認できる。
http://www.nscable.co.jp/EDT-LA.htm

注5 研究科課程の学生2名
研究科課程は、2級整備士課程を修了して、もう1年、高度な自動車制御の内容を学習する過程。

注6 RJ-45オス(メス)成端
UTPケーブルにRJ-45と呼ばれるコネクタを取り付ける作業。市販のコネクタ付きケーブルでは、長さが決まってしまったり、コストがかかったりするため、ネットワーク構築では一般的に任意の長さのケーブル作成を行う。

注7 BoxQun
ジェプロが開発した学校向けインターネットサーバー。ファイアウォールとして利用できるように、また安く提供できるように、イーサネットポートが2つあるPCにPC UNIX(FreeBSD)をインストールしたもの。あらかじめ、Apache、Squid、Sendmail、qpopper/YATserver、poppass、NAT、IP Filter、Samba、Netatalk、DHCP、FMLなどが利用できるようになっている。

注8 自分で/etc/dhcpd.confを書き直しています
竹中さんは、KIU(柏インターネットユニオン)インターネット教育研究フォーラムにて、WebベースでMACアドレスの設定ができるプロ
グラムが開発されたとの発表(「校内LAN情報コンセントのセキュリティ対策」
http://www.kiu.ad.jp/forum/18/index.html)を聞き、ソースをもらおう」と思ったそうだ。

注9 フルーク
株式会社フルークから発売されているネットワーク検査機器のこと。比較的高価なものが多いが、物理層やデータリンク層を検査できる「LinkRunnerネットワーク・マルチメーター」という製品であれば、10万円以下で購入可能。
http://www.fluke-jp.co.jp/products/index.htm

注10 「学校にLAN入しよう」という本
『学校にLAN入しようネットデイ実施マニュアル』、学校ネットワーク適正化委員会編、発行NGS、価格2625円(税込み)ネットワークサポートセンターinかんさい(http://www.nes-k.gr.jp/)のページで詳しく紹介されており、ここからの通信販売も可能。ちなみに、このサイトのサーバー管理も竹中さんがやっておられるそうだ。

注11 BSDの勉強をはじめました
UNIX USERをはじめとするUNIX系の雑誌を読んでいる時期に、ルート訪問記にも出合ってくださったそうだ。

注12 各学校は独自のドメイン名でWebページを公開
神奈川 http://www.nissan-mechanic.ac.jp/
栃木 http://www.nissan-gakuen.ac.jp/
愛知 http://www.nissan-gakuen.com/
愛媛 http://densan01.ecomnet.or.jp/%7Enissanehime/

私のUNIX #3 〜竹中章勝さんのUNIX〜

●OS環境:FreeBSD

 UNIXの環境は、BoxQun/FreeBSDです。BoxQun/FreeBSDは、FreeBSD 2.2.8-RELEASERがベースになっています。そのほか、OpenBlockSSでLinuxも触ったりしています。日本赤十字社の京都府支部とともに、災害救助のための訓練や、家庭看護救急救護などを訓練、実救護などを行う「レスキューチェーン京都」(http://www.rc-kyoto.jp/)に参加していて、そこで情報の共有化が重要視され、メーリングリストやWebサーバーなどを構築するために、OpenBlockSSを使って運用をはじめました。小さくて、できれば音がしないサーバーで運用したかったことと、万一京都で現実に災害が起こったときでも、小さなOpenBlockSSのサーバーを近隣の正常運用しているところへ送って、IPアドレス関係の解決がつけば、動くかなと思い導入を決めました。

●シェル:csh

 UNIXに出合ったのがBSD/OSで、たしかBSD/OSでcshが動いていて、そのままcshを使っていました。FreeBSDベースのBoxQunを使いはじめたときもcshだったので、標準のままです。

●シェルの設定:少し

 ほんの少しカスタマイズしていて、たとえば、「set filec」を設定しています。

●エディタ:vi

 普段の校務はファイルの共有性からWindowsを使っていますので、UNIXはネットワーク管理だけで使用しています。また、いろいろなサーバーを渡り歩いて管理しているので、エディタは多くのマシンで動いているvi一筋です。

●UNIXについて

 職員室で約70人が共有するファイルサーバーもSambaで構築し、ファイルのパーミッションを明快に分けてその組み合わせで円滑に作業をさせています。また、「cat foo | grep "hoge" |wc -l」などのように小さなコマンドを組み立てて必要な作業を行うとか、自分が知っている(把握している範囲)と、他人への権限委譲で分散管理するとか。うまくいえないのですが、UNIXは作業の効率性や見通しがよいと感じるときがあります。また、オープンソースというか、自分の成果をみんなで共有しようとか、ニューカマーを育てようとしている文化にも驚きました。「UNIXは文化だ」という言葉をよく聴きますが、本当にそう思いますね。UNIXの設定や構造を見ていると、実際の仕事にも応用ができて先達たちの知恵には感服します。

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Last modified: Mon May 21 13:51:28 JST 2007 by Tomoko Yoshida