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2000年6月号掲載 よしだともこのルート訪問記

第63回 全学生がUNIXを使う理想の教育用システムの実現
〜東京女子大学 情報処理センター〜

 今回は、杉並区善福寺の東京女子大学注1情報処理センター(以下、センター)を訪ね、センター長の長田 直樹(おさだ なおき)先生(文理学部教授)、センター助手の浅川 伸一(あさかわ しんいち)さん、鈴木 克明(すずき かつあき)さんから、1999年10月に全面更新されたシステムの構築と運用、情報処理教育についてお聞きしました。
 会話には、文理学部情報処理教育委員長の永山 操(ながやま みさお)先生(文理学部数理学科助教授)、学生アルバイトの平岡 慶子(ひらおか けいこ)さん(文理学部、取材時4年生)、岡本 圭史注3(おかもと けいし)さんにも加わっていただきました。
 東京女子大学は、文理学部数理学科を除き、すべて文系の学科注4から構成されています。主に文系学生が利用するUNIXの教育用システムは、どのように実現されたのでしょうか。

■高速で信頼性の高い基幹ネットワークの構築

よしだ(以下Y):はじめまして。まず、全面更新されたシステムについて、教えてください。

長田先生(以下O):本大学では、1999年10月に、基幹部分に重点を置いたシステムの全面更新を行いました。マルチメディア化をにらみ、ネットワークの基幹にはギガ・ビット・イーサネットを採用し、すべてL4(レイヤー4)スイッチ注5を、また、Webキャッシュには専用機器を導入しています。
 安定性を最重要視し、各情報処理教室にはアプリケーション・サーバーに15台のSolarisを、端末として約200台のNC(Network Computer:Linuxベース)を採用しました。端末はすべてディスクレスなので、更新前に利用していたIntel版SolarisのPC端末に比べ、保守の大幅な軽減に成功しています。
 センターには、助手が3人(浅川 伸一さん、田中 聡さん、鈴木 克明さん)おり、この3人がネットワークの設計と管理のほか、情報処理教育のサポートを行っています。

Y:ネットワーク構成を説明してください。

鈴木さん(以下S):「高速で信頼性の高い基幹ネットワーク」を構築するために、学内の建物間をつなぐバックボーンはすべて、ギガ・ビット・イーサネットに、そして、建物内の部屋間は、すべてファスト・イーサネットになっています。また、ファイル・サーバーへは、3本のギガ・ビット・イーサネットで接続されています(図)。

浅川さん(以下A):バックボーンは、中央の3か所を相互に結合したトライアングル構成とし、この3か所のいずれか1つの回路が遮断されても、迂回路を経由して通信路が確保できる冗長性を持たせました。これが、今回の更新の一番のウリといえるでしょう。

O:どこか1本が切れても別のルートが使えるのは、まさにインターネットの思想ですね。

S:導入時に切断実験をしたところ、反応がなくなったあと、代替経路が自動的に選択され、約40秒後につながりました。地下のケーブルはコンクリートでカバーされていますし、校舎の中にあるケーブルが切れることはめったにないでしょう。でも、どこかの大学では、モグラが噛み切ったという話を聞いたことがありますね。
 また、高速なL4スイッチを使うことで、末端の端末まで、100Mbpsの回線速度を確保できています(詳しくは、後述)。
 ファイル・サーバーのディスク容量は、システムと学生のホーム用として1T(テラ)バイトを用意しています。1999年の10月までは、学生のホーム用が200Gバイトでしたが、70パーセントまで使っていました。3年後を見越して、これぐらいは必要だろうと判断しました。その結果、1999年度は20Mバイトだった学生1人のディスク容量の制限注6が、2000年度は100Mバイトまで大幅に増えます。
 外側と学内のそれぞれのネットワークの間にファイアウォールがあり、教育用計算機システムのネットワーク、研究室用のネットワーク、そして、PPPのネットワークが分割され、それぞれ異なるセキュリティ・ポリシーで運用しています。
 教育用計算機システムでは、ファイアウォールで守られた中にNIS+やWebなどの各サーバーがあり、1サービス1ワークステーションとしています。1台で複数のサービスを併用してはいません。

A:内部だけで解決するトラフィックも多いので、SSH(Secure SHell)/TELNETサーバー、Webサーバー、メール・サーバーは、内部と外部の両方からアクセスできるようにしています。
 Wnn6注7のキャンパス・ライセンスも購入しているので、このサーバー(jserver)を動かしているマシンもあります。

S:システムは全体的にプライベート・アドレスを使い、外部に公開するサービスを提供しているサーバーのみに、グローバル・アドレスを振っています。プライベート・アドレスのホストから外部に出たい場合は、NAT注8で解決しています。もちろん、NATでも許しているポートはSSHとTELNETなどの必要最低限のものぐらいですが。
 バックボーンのルーティング・プロトコルはすべてOSPF注9です。ルーティングにはL4スイッチを使っているので(図のSSR注10)。TCPやUDPなどのポート番号を識別し、QoS(Quality of Service)を設定できます。たとえば、ネットワークが混んできたら、NFSを優先させストリーム系を制限する設定が可能です。
 普通のイーサネット・スイッチではなくL4スイッチにしたのは、将来、マルチメディア・アプリケーションの導入時に別のルーティングをさせたかったという単純な理由と、イーサネット・スイッチの場合、基本的に、スイッチ・ファブリック(switch fabric)という全パケットを同時に処理できる容量が低かったんです。そのため、すべてのところからブロードキャスト・パケットが入ってきた場合に、処理しきれなくなるんですね。
 SSRを使えば、スイッチングの容量が、流れる最大の2倍から3倍まで持て、ネットワークにジャミングが起こらない設計にできるため、末端まですべてこれを採用しました。
 情報処理教育用の各教室のPC注11は、ディスクレス・ワークステーションのMiNT-ACC注12で、OSはMiNT-ACC agile Linuxです。つまり、Linuxを単なるXサーバーとし、そこへアプリケーション・サーバーからXを飛ばしています。単なるX端末だと、メモリー・リークにより落ちることがありますが、Linuxのディスクレス・ワークステーションでは、NFSでスワップが取れるため、より安定するというメリットが生じます。

O:学生が使う約200台のクライアント環境は、すべてこれです。情報処理教室が3つ、端末室も3つあり、授業がないときには3つの教室を学生に開放しています。

S:メディア・コンバータ用、つまり、フロッピーディスクを使いたい学生のために、各教室にフロッピーが使えるPCを置いています。そのマシンも端末と同じようにLinuxが動いていて、その上でXが動いています。教育用システムの中でも、Windowsアプリケーションを使いたいという要望があるので、実験的にWindows NT Terminal Server Editionを入れたのですが、アプリケーション利用時にほかの人に影響されないよう設定するのに、半年以上かかっています。Windows NTサーバー上のアプリケーションをX上に飛ばすMetaFrameを使っていますが、まだ使える状態ではありません。Windowsアプリケーションは、大勢で使うことを前提に作られていないので、管理者への負担がとても大きく、UNIXでサーバーを作るなら3日後には公開できるでしょうが、Windows NTだとなかなか難しいですね。ノウハウがないせいもありますけど。

Y:ところで、この新システムは1999年10月からスタートしたそうですが、設計時は、MiNT-ACCが出たばかりではないでしょうか。

S:そうですね。MiNT-ACCができ上がる前の開発途中段階から、開発の方と打ち合わせをしていましたからね。

O:1999年10月スタートのシステムだからこそ、Linuxベースのディスクレス端末が導入できたわけで、これが1年前だと、このような構成にはできなかったですね。

図1 東京女子大学のネットワーク構成図
東京女子大学のネットワーク構成図

■UNIXの環境の移り変わり

Y:これまでのシステムについても、教えていただけますか。

O:本大学の教育研究用計算機システムは、1993年に、それまでの中央集中型の大型汎用機から、より小型で安価なUNIXワークステーションと端末を、ネットワークによって相互接続する分散環境に移行しました。また、同じ時期に、外部のインターネットとも接続する広域分散環境を作りました。
 そして1996年に、すべてのPC端末のOSとして、サーバー・ワークステーションと同じUNIX(Intel版Solaris)を導入し、提供するソフトウェアやホーム・ディレクトリの一元管理が実現しました。

A:1993年当時の環境は、NetWareとソニーのNEWSを使っていました。

O:そのころはまだ、情報処理科目が一般教育の選択科目だったので、ユーザーの数は限られていましたが、1996年度入学生から情報処理科目が必修になり、1999年には全学生がアカウントを持ち、ユーザー数は約4,000人になりました。また、インターネットの爆発的広がりなどにより、扱うデータも桁違いに大きくなってきています。
 1996年に作ったシステムの長所は、
  1. 共通な環境の提供
  2. 安定運用
  3. 安全で快適なネットワークの維持
  4. メンテナンスの軽減により、長時間のサービス提供が可能
  5. パスワードの即時更新
  6. 電話回線による自宅からの接続
でした。「共通な環境」とは、たとえば情報処理教室で文書を作り、データの転送や運搬を使わずに、いつでもその続きを端末室や自宅で行えることです。これらをWindowsで実現するのは、面倒です。OSにUNIXを使い、パスワードにより利用者を識別し、また利用者ごとに各種の設定・ファイルなどを保存し、共有するホーム・ディレクトリを用意することなどで、実現できていました。
 「安全で快適なネットワーク環境の維持」とは、UNIXを使うことで悪意ある第三者(クラッカー)やコンピュータ・ウイルスなどの攻撃に強いシステムにできたことです。安全性を高めるため、個人利用を想定したシステム・アプリケーションの採用は控えました。
 また、「電話回線による自宅からの接続」によって、プロバイダと同様に、インターネット利用が可能になるだけでなく、一部の授業の課題・復習を自宅で行うことも可能です。
 逆に、1996年のシステムの問題点として、
  1. 慢性的に遅い通信速度への不満
  2. ハードディスクが頻繁に故障したこと
  3. 各教員が機種およびOSを自由に選択できなかったこと
がありました。1999年更新のシステム構築では、これらの解決を優先しました。
 まず「慢性的に遅い通信速度への不満」については、本大学の上流サイトである学術系のネットワークTRAIN(東京地域アカデミックネットワーク)の解散に伴い、不安定な学術系のネットワークではなく、商用プロバイダIIJに、従来の約3倍の通信速度で接続しました。IIJへの接続は、1999年2月に行われました。
 また、学術研究や学生の就職活動などで不可欠となっているWebですが、旧システムではソフトウェアで行っていたWeb内容のキャッシュを、専用Webキャッシュ・マシンを導入し、ハードウェアで行うようにしました。
 さらに「ハードディスクが頻繁に故障したこと」は、ディスクレス端末を使うことで解決しました。

A:1996年のシステムで、端末(PC)のハードディスクが頻繁に壊れていたのは、どうも、ハードディスクの製品不良だったようです。一度、すべてのハードディスクを取り換えたこともありました。また、Intel版Solarisが動いているPCの電源スイッチを、学生がパソコン感覚でブチブチ切ることもあったので、スイッチを本体から外していました注13

■UNIXオンリーの教育用システム実現への道

Y:1996年のシステムでは、教員の研究室にある端末にUNIX(Intel版Solaris)をプレインストールしていたのを、1999年のシステムでは、教員が選択できるようにしたそうですね。

O:はい。今回は、教員の研究室に置く端末は、OS(Windows、MacOS、Linuxなど)と形態(デスクトップかノートPCか)を自由に選択できるようにしました。やはり、WindowsやMacOSが使いたいという要望がかなりあったからです。セキュリティ面を考えて、教育用と研究室のネットワークの間にファイアウォールを設け、WindowsやMacOSは研究室のネットワーク内に置いています。
 また、それらの端末の保守は、センターが面倒を見るのではなく、サポートが必要な利用者が、個別に業者とサポート契約を行う形式に変更しました。1999年の夏までは、研究室の端末に関する依頼もセンターにきていたのですが、そちらのサポートはセンターの業務から切り離すことで、こちらの負担を大幅に減らせました。
 教員の方も、ハードウェア保守要望、各種設定に関する質問などを、遠慮しながらセンターに聞くよりも、お金を払って業者に堂々と聞く方が楽でしょうし、迅速で細かい対応が得られるようになりました。

Y:それは、いいアイデアだと思います。ほかの文系学部を持つ大学にも参考になるでしょう。
 センターの教育用システムをUNIXオンリーにすることを、先生方にはどのように説得注14されたのでしょうか。


S:まず、Windowsのセキュリティに関する設計思想上の問題や、蔓延しているウイルスなどについて資料をたくさん書きました。教育用には向かないOSだと説得する資料です。

A:よく使われる論理は、「社会に出るとWordやExcelを使えないといけないから、大学で教えなければならない」というものです。そういう意見に対しては、情報処理教育の理念を説明して分かってもらうことでしょうね。

S:一方で、研究室の端末に好きなOSを選べるようにしたことが、教育用はUNIXにすることを納得してもらう1つの理由になっていると思います。

A:これが、先生方の不満をかなり吸収したと思います。大筋では、「情報処理教育はこうあるべきだ。カルチャー・センター的な授業ではダメだ」というのは、文系の先生も分かってくださっていたのですが、「WordやExcelが使えないと……」と思っている先生がかなりいて、これは蓄積された研究のデータなどと関係しているから仕方がないのでしょうけれど、それと教育用システムを切り離すことで合意が得られました。

O:私は「たとえば、Windows環境だと、1時間目の学生がワープロの設定を変えてしまうと、その設定が2時間目に残ってしまうため、教育用には向かない」という話を委員会でしましたね。こういう話を聞くと、UNIXで一元管理するしかないな、という結論になります。まず、情報処理教育にかかわる先生が、UNIXの必要性を語り、そのような基盤の下で、更新委員会で「UNIXで教育するんだ」といえば、それほど抵抗がないですね。

永山先生(以下N):教育方針がしっかりしていて、よい教育内容が提供できると理解されれば、支持してもらえると思います。方向性のある情報教育を提供して、学内の雰囲気をリードしていくことがわれわれの務めです。

Y:高校までの学校教育でPCを使っている学生が入学してくるようになると、カルチャー・センター的な内容でお茶を濁していられなくなりますから、ここの教育はその時代の方向に向いてますよね。

N:「高校でこういうことをするようになるから」よりは「こういうことを教えたいから」という思いがあります。技術は時代がたてば変わりますが、シェルの概念といった普遍的な概念を教えていきたいという理想はあります。

Y:UNIX絡みの知識は、10年以上前にマスターしたことが、いまでも使えるという意味で、教育にも適しているんでしょうね。

N:それは、「いいもの」が最後に残っていくからです。なかでもいい設計は、最後まで残っていくのです。理論からではなく、社会における役割やコスト意識の結果、残る「いいもの」を教えていくのが、私の理想です。

S:UNIXの基本的な理念として、「基本的な概念に変なインタフェースをかぶせない」というのがあると思います。私は、ディレクトリはディレクトリ、ネットワークはネットワークでそのまま見せるのが正しいと考えています。でも、たとえばWindowsだと、ゲイツ好みのGUIによって、インターネットの基盤となっている技術の高度な抽象化を隠してしまっているんです。抽象化が分からない人にも分かるようにしているのかもしれませんが、その下にある技術の理念を理解する助けにはならないでしょう。これが、教育にはUNIXの方がふさわしいと思う一例です。

N:このように、教育にはUNIXが向いているという思いを持つ人たちがここには何人もいて、常に周りを説得し、この環境を作ったわけです。

Y:その環境から、それを理解してくれる学生が育っているわけですね。

N:これからそれを目指していくのです。これからは、大学でそういう教育ができる時代になると思いますし、学生もそういうものを求めて大学にくると期待しています。

O:大学の情報処理教育を提供する側としては、高校が変わろうが、変わるまいが、こうやるのが望ましいという理想はあるわけです。

■セキュリティ面を厳しくする理由とは

Y:セキュリティ面を厳しくされているところを具体的に教えていただけますか。

S:ここは、外から中、内から外へのアクセスを厳しく制限しています。外からログインできるマシンは1つだけで、しかも、SSHもしくはOTP(ワンタイム・パスワード)によるTELNET注15を推奨しています。インターネットにパスワードがプレーン・テキストで流れるようなことはしたくありません。
 また、ここがアタックされ、クラックされた場合でも、外への踏み台にさせない責任もあると思っているので、内部から外に対しても厳しくしています。

O:WebサーバーのCGIも許していません。学生からは自分のページにカウンタを付けたいという要求が強かったのですが。

S:いまの運用ポリシーでは、セキュリティと利便性のどちらを取るかというと、セキュリティを取ります。少人数の管理者で安定した環境を提供するには、仕方がありません。

Y:SSHもしくはOTPによるTELNETを、学生に徹底するのは難しくないのですか。

S:このようなアカウントを発行するときには、セキュリティに対する意識を持ってもらうように、パスワードの重要性やネットワークの存在意義などを全部教えています。

Y:ところで、学生がメールの読み書きをする環境は何ですか。

O:XEmacsの上でMew(Message interface to Emacs Window)を使っています。学生は1996年からメール以外でも、ウィンドウ環境にはCDE(Common Desktop Environment:共通デスクトップ環境)、WebブラウザはNetscape Navigatorを使っているので、今回の全面更新後も、ユーザー側の操作は変わっていません。

Y:このような環境だと、就職活動時に人事からWord形式の文書をメールで受け取ってしまった学生から、どうすれば読めるかを相談されるケースもありますよね。

O:就職関係だと、Webページに「半角カナで入力」と書かれているものもありますね。

S:ヘッダーには「ISO-2022-JP」となっているのに、中身はシフトJISの日本語文字コードで書かれているWebページもあります。

Y:就職活動などで、世の中にWindows環境しかないと信じている人々とのメール交換によって、クライアントまでUNIXを使っている文系の学生は少数派だと実感してしまうようですね。

A:いずこも同じ注16なんですね。

S:私はこのような特定環境に依存した使われ方や誤りを見つけるたびに、メールの差出人やWebマスターに「なんとかしろ」とメールを出しています。

Y:私の場合、知り合いがメールをHTML形式にしていたり、Wordの文書をメールに添付してきたときには、問題点をきちんと説明するようにしてるんですけどね。
 TOやCCのフィールドに、メール・アドレスをドーッと並べてメールを送ってくる友達には、BCCの使い方を教えて感謝されたりもしています。


S:BCCを使う以外に、同じようなことができる方法として、To:フィールドにグループ名を書いて、「:」と「;」の間にメール・アドレスを「,」(コンマ)で区切って並べておくと、メールを受け取った方には、グループ名だけが残って、メール・アドレスはまったく表示されません。たとえば、

To: TWCC:Aさんのメール・アドレス,Bさんのメール・アドレス;

というメールを出せば、「:」と「;」の間のアドレスが全部消えて、届いたメールには、「To: TWCC:;」とだけ表示されますから、だれにメールを出したか、相手には分かりません。この例の、TWCC注17としたグループ名の部分は、どんな文字列でもかまいません。この文字列は、一度きりのものです。

Y:Mewで、これがサポートされているんですね。

A:MewのIM注18もサポートしていますが、この文法自体はRFC 822注19で定義されているので、別のメーラーでも使えるはずです。

Y:ところで、実際にWordファイルが添付されたメールがきたときは、学生にはどのように指導しておられますか。

A:wvWare注20を入れてあるので、HTMLに変換して読む方法を教えています。PDFファイルを読める環境は、すでに整えていますので、こちらについては大丈夫です。

■情報処理教育論と学生アルバイトの活用

Y:UNIXオンリーでの教育用システムを希望する学校、とくにシステム管理者は多いようです。そのような方には、この大学の話は、興味深いでしょうね。

N:本大学では、少数のシステム管理者が、授業用の大量の端末を常に安定した環境で提供するので、UNIXという選択肢がベストだという判断をしました。
 予算をかけて、外部のサポート業者にシステム管理をすべて任せれば、Windowsを教育用システムに選択できるでしょうが。

S:ここのシステムの運用は、外部に丸投げする予算の10分の1ぐらいですんでいるのではないでしょうか。

O:助手の3人の能力が高いことに加えて、外部からきてくれている学生アルバイト注21が、かなり能力のある学生たちです。外部のSEに月額100万円以上払うよりも、はるかに働いてくれています。

N:それは、ここの助手たちが、能力のある人を見極めて、ひっぱってくるからです。新システムの入札でも、ここの助手たちの能力を知ると、いいものを提案してきます。

Y:だませないから(笑)。その、優秀な助手を見つけるコツを教えていただけませんか。

O:一般的な公募をしても優秀な助手は集まらないでしょうね。管理能力がある人たちの集まっているメーリング・リストで募集するとか、人づてに探すのがいいでしょうね。

S:スキルが高くて、ポリシーを決定できる人が1人いるだけで全然違うのに、3人もいるのですからね。先日、ある大学から「事務員としてネットワーク管理者を雇いたいが、紹介してくれないか」と聞かれたので、「よいネットワーク管理者は、研究職でないとこない」と答えました。その理由は、最新の技術を追いかけていない人は、ネットワークの管理はできないと思うからです。事務員として雇う方が一定の給料で雇えますが、研究職でなければ、どんどん変化する環境に対応できず、ポリシーの決定や最適な設計はもちろん、安定した運用はできないでしょう。

O:たとえば単なる技術者だと、NetWareは管理できるが、新しくなったらできないという面があるでしょう。ソフトウェアの寿命は短いですから、研究職でないと、それを追っていくことができないというわけです。

N:いい助手たちに恵まれて、その人たちならではのよいシステムが提供できたことは、初期の判断がよかったのでしょう。たった3人で、約4,000人の学生のコンピュータ環境を提供しているのですから。

O:センターには、1993年ごろから助手が3人いたのですが、そのころはユーザー数が数百人でした。いまは、約4000人に増えただけではなく、利用頻度が爆発的に増えたため、3年ぐらい前から、外部のアルバイトを頼み、順調に運用できるようになりました。

Y:アルバイトはどのような仕事をするのですか。

O:センターのアルバイトには、3種類あります。1つが、外部の大学で情報を専門としている方に、システム管理を手伝ってもらうもの。もう1つが、センターの業務をサポートするアルバイト。これは、OG(卒業生)が1人(中岡 真理子さん)で、平岡さんを含めて、あとは全員ここの学生(学部生)です。そして、実習授業のアシスタントです。
 平岡さんは、2年生のときに実習授業のアシスタントを始めて、いまは、センターのアルバイトをしています。学生からの質問メールへの対処、マニュアルの作成、新しい環境のテストなどの業務を、OGの中岡さんを含めて6名が担当しています。
 学生アルバイトは、1〜3年程度の短いスパンで変わりますから、ノウハウを蓄積する意味で、OGの存在は大きいです。
 マニュアルというのは、毎年4月に改訂版を発行している「東京女子大学計算機利用の手引き」注22で、「情報処理I」の教科書にもしています。
 現在(3月中旬)、4月の新学期に向けて、学生アルバイトの間で分担を決めて、前年度のものを書き直してもらっている最中です。そのあと、助手と私とでチェックを入れてから、印刷します。

平岡さん(以下H):実習授業のアシスタントは1つの授業に1人ずつつきますが、最初の授業は大変なのでアシスタントが2人つきます。昨年、あるいは一昨年にその授業を受けた学生がアシスタントとなり、学生が分からなくなったことに対して、親切に教えていきます。

Y:授業や自習時のアシスタントをしていて、どのような質問を受けましたか。

H:授業中には、大文字の入力方法が分からない、パスワードの変更がうまくいかない、画面がおかしくなったといった問題に対応しました。自習のときに多いのは、日本語が入力できなくなったという問題です。

Y:平岡さんがアシスタントをすることになったきっかけは?

O:アシスタントが不足しているので、私が「情報処理II」注23の授業の中で、「情報処理I」のアシスタントを募集したからです。
 条件は1年生の必修科目「情報処理I」の単位が取れていることで、「技術はいりません。アシスタントをしながら学んでください。やる気さえあればできます」といいました。

H:私は最初、アシスタントはボランティアだと思っていました。でも、人のトラブルを聞くうちに自分が詳しくなるのならやってもいいかなと思ったので、長田先生に「全然分かりませんが、いいですか?」と聞くと、「最初はセンターの人を呼びにいくだけでいいから……」といわれて、立候補しました。

O:ちょっと詐欺っぽいですね……(笑)。

H:本当に最初は何も知らなかったのですが、だんだんと詳しくなってきました。

Y:平岡さんの学部での所属学科は?

H:英米文学科です。

N:アルバイトの中には哲学科の学生もいますし、学部はあまり関係ないですね。関係ある部分もあるのかもしれませんが。

S:数理の人の方が論理的思考に強いと思いますけど、基本的な、その人が持っている性格によると思います。仕組みに興味を持つことが重要です。仕組みに興味を持たない学生も多いんですよね。

Y:たとえば、メールが読み書きできることに満足してしまって、どういう仕組みで届いているかには興味を持たない。

N:必修の「情報処理I」では、どうしてもメールの出し方だとか、エディタの使い方だけで半期が終わってしまうために、仕組みへの興味にはあまり答えていません。
 これまでは学生に仕組みへの興味を引き出すようなカリキュラムがなかったので、操作ができる学生は実習の授業は飽きてしまうし、できない学生は、操作方法を詰め込まれるだけだから消化不良を起してしまうのです。

O:「情報処理I」が必修になったのは、1996年度からです。これまではメールの出し方、Netscape Navigatorの使い方、ホームページの作り方、ワープロや表計算の使い方のような操作を教えていたのですが、それだけでは大学の情報処理教育としては不十分だろうということで、1999年度の1年をかけて、情報処理教育委員会で方針を決めて、どのようにカリキュラムを変えていくかを審議しました。
 その結果、2000年度からは、使い方だけでなく、仕組み(インターネットの概念、電子メールの原理、検索エンジンの原理)や情報倫理も含めた内容にします。ファイルやディレクトリの概念がないと、ホームページを作る実習のときに、ファイルを特定のディレクトリ下に置く操作の意味を理解するところまでいかなかったからです。
 2003年から新しく高校で「情報」の授業がスタートしますから、そういう授業を受けた学生が入学してくるころは、大学の授業も変えていかないといけませんが、本大学では、現在も、大学らしい情報処理教育を目指しています。

N:私は数理学科で、専門科目としてCのプログラミング(テキストは、Eric. S. Roberts, The Art and Science of C, Addison Wesley)を教えるときには、学生をグループにして、その中で問題解決させ、どうしても分からないときだけ、先生に聞くよう指導します。最初の授業で、疑問解決アルゴリズムをきっちり教えます。
 「まず、同じ問題をやっている人に聞く、それで分からなかったら、よくできるクラスメートを探して聞く。ただし、よくできる人は、あなたと同じ問題を考えているわけではないし、あなたがどこでどう分からないかを知らないのだから、自分の状況を十分に説明しなさい。それでも分からなかったら、先生に聞きなさい。しかし、先生はもっと状況が分からないのだから、さらに、筋道を立てて、詳しく説明しなさい」というように、同じ知識を共有していない人に質問するときは、文章であっても、言葉であっても、うまく表現しなければ、決して解決しないことを教えます。
 そうすると、みんな的を射た質問をするために、まず考えるんですね。これが、将来役立つのです。そういう訓練は、中学・高校でやっているものだと思うかもしれませんが、実は違います。だから、それを大学で教育する必要があるのです。

Y:なるほど。とても参考になりました。
 さて、この大学は1996年から教育用端末が全部UNIXだということでしたが、ワープロと表計算は、どういったソフトウェアで実施されていたのでしょうか。


O:Solarisの上にWabi注24というWindows 3.1のエミュレータが載っていて、Word 6.0とExcel 5.0が使えるようになっていました。

Y:卒業論文はLaTeXで作成するのですか。

O:LaTeXの授業(「情報処理IIC」)を受けている学生は使うケースがありますが、大部分は、Wordか一太郎、あるいは、自宅のワープロ専用機で卒論を仕上げています。

Y:大学でUNIXを日常的に使っている学生も、自宅での作業にはWindowsやMacを使っているということになりますね。

■勉強会の実施

Y:学生アシスタントと助手を中心に、勉強会を実施されているそうですね。

H:最初は、助手の3人と私と1つ上の先輩の5人でメーリング・リストを作ったのが始まりでした。

H:サークルでの勉強の内容は、「TCP/IPのネットワーク構築」という本をテキストにして勉強していったり、暗号とセキュリティに関することを週に1回、輪講という形でみんなで集まって勉強しています。いまの学生メンバーは、6名ほどです。

S:勉強会を始めたいと思ったのは、学生にコンピュータやネットワーク基本概念を教えたいと思ったからでした。メールを書く操作が得意だといっても、ネットワークがどのように動いているかが分からないという質問を受けたからです。こちらが一方的に教えるだけではだめで、まずは自分たちで本を読みなさい、それで分からないのなら聞いていいから……というスタンスで進めています。

Y:大学の教育用環境が、UNIXで統一されていれば、安定した環境をコストを抑えて提供できることが分かっていても、なかなか実現できないのが多くの日本の大学の実情だと思います。その中で、文系の学生が9割という東京女子大学が、UNIXを使った教育用システムを構築されている事実は、UNIX USERの読者に大きなインパクトを与えたと思います。今日は本当に長時間、ありがとうございました注25

学生教育用の環境はUNIXで統一
注1 東京女子大学
北米のプロテスタント諸教派の援助のもと、新渡戸 稲造注2(にとべ いなぞう)を学長に1918年(大正7年)に創立され、戦後の学制改革に伴い、1948年(昭和23年)に文学部からなる東京女子大学として発足したキリスト教系の女子大学。1961年に7学科からなる文理学部となり、1988年には4年制の現代文化学部も発足。キャンパスは、1924年(大正13年)から、豊多摩郡井荻村(現在の杉並区善福寺)にある。学生は約4,000名、教員は約200名。詳しくは、http://www.twcu.ac.jp/参照。

注2 新渡戸 稲造(1862〜1933)
1891(明治24)年札幌農学校教授となり、北海道庁技師を兼任。農学博士、法学博士。1906(明治39)年第一高等学校校長、東京帝国大学農学部、法学部教授を兼任。1918(大正7)年東京女子大学初代学長に就任。

注3 岡本 圭史(1967〜)
早稲田大学理工学部情報学科助手。1999年12月号に掲載した、ルート訪問記の早稲田大学訪問のときにもお世話になった。2000年4月からは、東京女子大の「情報処理I」の非常勤講師も担当。

注4 すべて文系の学科
文理学部には、文科系6学科(哲学科、日本文学科、英米文学科、史学科、社会学科、心理学科)と、数理学科の7つの学科がある。現代文学部の3学科とは、コミュニケーション学科、地域文化学科、言語文化学科。

注5 L4(レイヤー4)スイッチ
L4スイッチとは、レイヤー3およびレイヤー4の情報に基づいて、ワイヤスピード(内部でも外部接続と同等のスピードで処理される)でパケットをスイッチングまたはルーティングする。これにより、帯域のボトルネックが解消され、ネットワーク利用率が高まる。

注6 ディスク容量の制限
ユーザーのディスク使用量を制限している。この容量を超えて一定時間経過するとそれ以上ディスクを使用できなくなる。主に、セキュリティ的な問題に対応するために設定しているそうだ。

注7 Wnn6(うんぬ・シックス)
オムロン・ソフトウェアから発売されている、かな漢字変換ソフトウェア。詳しくは、http://www.omronsoft.co.jp/参照。フリー版のWnn(うんぬ)は、FreeWnn(フリーうんぬ)という名前で、FreeWnn Project(http://www.freewnn.org/)から公開されている。

注8 NAT(Network Address Translator)
一般にグローバル・IPアドレスとプライベート・IPアドレスの変換に使われるもので、RFC 1631によって規定されている。

注9 OSPF(Open Shortest Path First)
RIP(Routing Information Protocol)の後継として開発されたプロトコル。RIPでは、ルーターから目的のネットワークへのホップ・カウントによって、距離を設定し、最もホップ数が少なくなるルートを採用する。一方OSPFでは、すべてのルーターがネットワーク全体のパス構成とそれぞれのパスのコストを把握し、最もコストが低くなるルートを選択できるルーティング・プロトコル。

注10 SSR(SmartSwitch Router)
SSRはCableTronの製品で、レイヤー2およびレイヤー3の機能に加え、レイヤー4のアプリケーション・フローをワイヤスピードでスイッチできる。毎秒1,500万〜3,000万パケットのルーティング・スループット、ギガ・ビット単位のワイヤスピード・ルーティングを実現し、従来のルーターと比較して100倍を超えるパフォーマンスを、従来のコストの数分の1で提供している。

注11 情報処理教育用の各教室のPC
情報処理センターの事務室やマシン室のある4号館の第1端末室に30台、第2端末室に42台。これ以外の学生用PCは、24号館の情報処理教室に45台、9号館の情報処理教室-1(9301教室)に33台、情報処理教室-2(9302教室)に33台、コントロール・ルーム(9304教室)に15台の合計、約200台。

注12 MiNT-ACC というNC端末
高岳(たかおか)製作所のMiNT-ACC(アジャイル・クライアント・コンピュータ)。これは、幅35mm、高さ200mm、奥行き173mmの小さなボディとスマートなデザイン。機能別に5つの種類(X端末、JavaVM、Linuxのディスクレス・ワークステーション、Windows-Based端末、大型機ダム端末)があり、1台で複数(2〜5種類)の機能に対応できるマルチプラットフォーム・モデルもある。詳しくは、http://www.mintwave.co.jp/参照。

注13 スイッチを本体から外していました
大学の規模がもう少し大きければ、ユーザーが勝手に触れないものを作ってもらえるかもしれないが、200〜300台程度では出来合いの製品を使うしかないため、どうしても自分たちで作業するしかなかったそうだ。結果として、これまで防げなかったトラブルが一気に解決できたとのこと。

注14 先生方にはどのように説得
筆者は「先生は自分専用のPCを持っているので、そこにPOPでメールを取り込めば別にUNIXでなくてもいいんです。でも、学生はいろんな端末の前に座るから、UNIXがとても都合がいい……」と説明している。

注15 OTP(ワンタイム・パスワード)によるTELNET
固定的なパスワードの漏洩を防止するためにアクセスするたびにパスワードが毎回変わる方式。POPでメールを読む場合などは、プログラムが処理を行うため利用者がOTPを意識せずにすむが、TELNETやFTPなどでの対話的なログインの場合は、利用者が意識する必要がある。そのためのツールとしてワンタイム・パスワード生成器がある。

注16 いずこも同じ……
この取材後、「全員にUNIXを使わせている女子大のネットワークを管理しているものたちが、情報交換会をする機会を持てれば有意義だろうな……」と思った。

注17 TWCC(Tokyo Woman's Computer Club)
コンピュータやネットワークのことをより深く知るための勉強会。

注18 MewのIM
Mewバージョン2.xxで登場するIM(Internet Message)シリーズは、メールとニュースを統合するためのPerl 5スクリプト。

注19 RFC 822
取材時に「RFCの何番ですか」と聞くと、鈴木さんは、「番号までは覚えてない。番号まで覚えていたら異常だよね…」と笑いつつも、「SMTP関連なので、RFC 822じゃないかな」といわれていた。確かに、RFC 822の『6.2. SEMANTICS - 6.2.6. MULTIPLE MAILBOXES』に書かれていた。

注20 wvWare
Word文書をHTML化するフリーのソフトウェア。外国製ではあるが、UTF-8を使っているため、日本語もUTF-8対応のHTML UserAgent(たとえば、Netscape Navigator)なら、とりあえず内容は読める。以前は、MSWordViewと呼ばれていたが、Microsoft Word Viewerと名前が紛らわしいということで、wvWareという名前に変わった。詳しくは、http://www.wvware.com/参照。

注21 外部からきてくれている学生アルバイト
センターに外部からきているアルバイト学生たちは、一般的な外部の業者のSEよりも、はるかに技術力があるそうだ。慶應義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス)の村井 純研究室の院生3名と、東京工業大学数理・計算科学専攻の渡辺 治研究室の院生で、それぞれの専門を生かした仕事をサポートしているとのこと。

注22 「東京女子大学計算機利用の手引き」
1999年度版は220ページからなるもので、この大学が提供している環境を使い込むための操作方法や概念が、とても詳しく書かれていた。また、最初の数ページには「東京女子大学 教育・研究用システム利用細則」が掲載されていた。このマニュアルの整形には、LaTeXが使われている。

注23 「情報処理II」
「情報処理I」は1年生の必修であるが、「情報処理II」は選択科目。この中の「情報処理IIA」はHTML入門の授業、「情報処理IIB」は、コンピュータの原理と役割の授業、「情報処理IIC」はLaTeX2e入門の授業である。
さらに上のレベルの「情報処理IIIA」は、Javaプログラミング入門の授業、「情報処理IIIC」は、Cプログラミング入門の授業である。すべて半期1コマで「情報処理IIB」を除いて実習科目。最近では、文系学部出身の女子大生のうち、SEとして就職を希望する学生も増えているために、これだけの選択科目を用意しているそうだ。

注24 Wabi
Wabiはサン・マイクロシステムズが開発した、 UNIX上でWindowsアプリケーションを実行するためのエミュレータ。

注25 ありがとうございました
この取材は、1999年度まで東京女子大学で非常勤講師をされていた、神戸大学発達科学部の辰己 丈夫さんのアレンジで実現しました。ありがとうございました。辰己丈夫さんは、4月20日に共立出版から「情報化社会と情報倫理」(ISBN4-320-02964-X)という書籍を発行された。

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Last modified: Mon May 21 14:21:02 JST 2007 by Tomoko Yoshida