2003年6月号掲載 よしだともこのルート訪問記
第80回 Linuxがサーバー構築や教育事業に活躍!
〜株式会社メディアジョイ〜
今回は、株式会社メディアジョイ注1を訪ね、同社が展開しているネット販売やストリーミング配信、教育事業で、Linuxが大いに活躍している様子をお聞きしました。Linux関連の講習では、女性からの問い合わせが多いとのことです。
和田 行弘(わだ ゆきひろ)さん
(株)メディアジョイ 代表取締役 社長
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村瀬 真美(むらせ まみ)さん
(株)メディアジョイ 教育事業部 チーフ
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中西 暁洋(なかにし あきひろ)さん
(株)メディアジョイ システム開発課
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※所属部署・肩書は取材当時(2003年4月)のものです。
■趣味が生きて事業が発展
よしだ(以下、Y):こんにちは。こちらの会社では、すでにネットワークのサーバー群でLinuxが活躍していて、さらに、Linux関連の資格試験対策の講習も準備されているとのことでしたので、お話を聞かせていただきたくてやってきました。まずは代表取締役 社長の和田さん、株式会社メディアジョイについて紹介してください。
和田さん(以下、W):創立は平成14年11月ですが、前身は平成7年発足の三和土地株式会社 メディア事業部でした。事業の3つの柱は、デジタルコンテンツの制作、カメラ販売、パソコンスクールの運営です。カメラ販売に関しては、平成7年からネット販売を開始していますから、ネットショップの老舗ともいえます。
実は、カメラのネット販売を最初から行ったわけではなく、Webページ制作を本業としていました。カメラ屋さんに「ネットで販売しませんか?」と営業したのですが、なかなか理解してもらえず、そのうち友人が「それなら自分ではじめたら?」と勧めてくれたのがきっかけです。もともとカメラは好きで、撮影も自分で工夫し、カメラの台数もかなり所有していたからです。
このような事情でスタートしたカメラのネット販売も、そのうち中古カメラだけでなく、オリジナルの商品も作りました。とりわけ、当社のライカ用ソフトフォーカスレンズは発売してすぐに大きな反響をいただきました。私自身がカメラ好きで、カメラファンや撮影現場で何が求められているかをある程度分かっていたのが大きかったと思います。しかし、本来はWeb屋ですから、ガラクタカメラのオークションのページを作ったり、海外向けのページも1週間ぐらいで制作したりと、ずいぶん楽しませていただきました。
Y:8年前からネット販売をされているということは、ネット販売が一般的になる前からなんですね。
W:はい。その時代はSSLもまだ形になってなかったので、クレジットカードの番号だけは、ネットワークを利用するのではなく、電話またはFAXで連絡してもらい処理していました。最初のころは、社内でオリジナルの在庫管理システムを作って運用していました。
いまでは、専門的な中古カメラもネット販売で扱っており、お客さまに商品の状態をWebカメラで見ていただくこともできます。リクエストによってどんなアングルにもおこたえしていますよ。
趣味のカメラ注2が最初の仕事になったわけですが、教育事業をスタートさせたのも、私自身、専門分野は違いますが教師をしているからです。
■サーバー群ではLinuxが活躍!
Y:サーバー群にLinuxを導入した理由を教えていただけますか?
W:平成7年の導入当時、Solarisは値段が高く、また、Windowsのインターネットサーバーはセキュリティ的に問題があったために、結果的にLinuxを使うことになりました。
Linuxディストリビューションは、最初はRed Hat Linux、その後しばらくはTurbolinuxを使っていましたが、管理者がDebian GNU/Linuxに慣れているということで、現在はDebian GNU/Linux 3.0が使われています。導入当初から、Linuxは非常に安定していて、サーバーとメールサーバーは別のマシンに分けて運用していたのですが、約3年間、一度も落ちませんでした。
現在は、Web、メール、ファイルサーバーは、WindowsとLinuxの両方を使っており、各サーバーの管理は中西が担当しています。
Y:中西さん、社内のネットワークはどのようになっていますか?
中西さん(以下、N):本社7階には、Windowsマシンが10台、Macintoshが5台のネットワークがあります。加えて、1台のLinuxサーバーがDNSキャッシュ、Squid、DHCP、PPPoE、NATゲートウェイを担当し、フレッツ・ADSLでインターネットと接続されています。そのほかに、Windowsのファイルサーバーが2台と、Linuxのファイルサーバー(Samba+Netatalk)が1台あります。
パソコンスクールのある6階にはLinux講座用に、グローバルアドレスを振り当てたLinuxマシンが10台ほど、社内ローカルネットとは別でNATを利用したMacintoshが10台ほど存在します。現在の契約ではOMP注3からのレンタルルーターを使用しており、設定変更が頻繁に行えません。しかし、不特定多数が使用するということで、ほかのネットワークとは別にセキュリティ制限を設けたいため、6階ではProxyARP注4を利用しています。
Y:先ほど和田社長が、「Debian GNU/Linuxを選んだ理由は、管理者がDebianに慣れていたから」とおっしゃっていましたが、中西さんがDebianファンなのですね。
N:私も個人的に昔から利用していたのですが、前管理者もDebian GNU/Linuxを利用していました。Debian GNU/Linuxの長所は、パッケージ管理機能が優れていることです。CD-ROM7枚分、8000以上ものコンパイル済みソフトウェアパッケージのうち、基本のパッケージ機能を利用するだけで、100MB以下での極小構成から大規模な構成まで、さまざまな構成を効率よく構築できます。また、安定版では、収録バージョンが古いものの慎重に選ばれており、セキュリティパッチのリリースも早いためサーバー用途として十分安心できます。
Y:実際、非常に安定しているそうですね。
N:はい。安定度については、ソフトウェアが原因でダウンしたことは一度もありません。しかし、レイアウトや移転などの理由でシャットダウンすることがあったので、私が確認できる最長稼働時間は現在稼働しているWebサーバーの5か月です。
Y:外部とのネットワークはどうなっているのですか?
N:現在メディアジョイにはクラスCのグローバルIPアドレスが2つ割り当てられており、OMPの1.5Mbpsの専用線でルーティングしています。ただし、グローバルアドレスが必要でないインターネット接続については、コストの都合上、別回線を利用しています。この別回線としてフレッツ・ADSLを利用しており、主に社内のローカルネットワークからのインターネット接続に使っています。
光については、前管理者のときに別回線のフレッツ・ADSLをやめてBフレッツを導入する計画があったのですが、ビル工事の際に問題があり、うやむやになってしまったようです。また、外向けにサービスを提供しているサーバーなどは、すべてOMPの1.5Mbpsの専用線を利用しています。そのためBフレッツを導入しても、内部のインターネット環境がよくなるだけなので、それほど必要というわけでもありません。
Y:ところで中西さんはもともと、サーバー管理者として入社されたのですか?
N:いいえ。入社から1か月もたたない間に当時のサーバー管理者が退社されることになり、私が外部サーバーおよび社内ネットワークの管理者になりました。
私は2002年6月に、「何でもやります!」といって入社し、当初はホームページの作成や部分修正、当時のアルバイトが担当していたファイルサーバーのアドバイスなどもしました。しばらくして、メディアジョイのWebサイトの完全リニューアルに着手しました。
リニューアル作業とともにWebサーバーの構築・管理の担当となり、ファイルサーバーの担当がファイルサーバー構築の途中で退社されたのでファイルサーバー構築・管理も担当して、いつの間にかサーバー管理者として認識されたわけです。
といっても、高校のころからPC UNIX(Linux)を使いはじめ、フレッツの開始をきっかけに自前サーバーを立てていた私にとって、サーバー管理は趣味というか、日常生活の一部です。
Y:サーバー管理を楽しんでおられるようですが、苦労されたことをあげるとすれば、どんなことがありますか?
N:強いてあげるとすれば、2002年7月4日に行った、Webサーバーを含むサーバー群の移動でしょうか。この日、それまで伏見営業所にあったメディアジョイのサーバー群を、現在の烏丸本社に移転しました。このときは、搬送や配線などが大変でした。
切り替え時用の特別なシステムを用意せず、事前に特別な準備もせずに、Webサイトも半日くらいダウンさせて、本社ビルまでは別の者が運び、そこから稼働までを私が担当しました。物理的な移動は社員3〜5名くらいで行ったのですが、私の手元に届いたときには、
- どのマシンが何のサーバーなのかが、外観からは分からなかった
- シャットダウンさせずに電源を落としたらしく、HDDにエラーが大量に見つかった
といった問題が発生しました。しかも、サーバールームの配線がむちゃくちゃで、ケーブル類がのたうち回っていたのですが、どのケーブルが何に使われているのかが分からないのです。さらに、LANケーブルが無駄に長い、電源が少なすぎる、UPSが少ないといった状況で、どのようにサーバーを配置するのがよいか分からず、何度も棚への上げ下ろしをしました。また、複数のサーバーを一組のディスプレイとキーボードで扱うわけなのですが、切り替え器が設置されておらず、しかもサーバーの棚が壁にピッタリとつけられていたため、操作するのに何度もサーバーを動かして、ディスプレイとキーボードをつなぎ替えるという苦労もありました。
Y:食事もろくにしないで作業をし続けたのですか?
N:いいえ。もうこれは、腰を据えるしかないと思い、サーバーがダウンしているにもかかわらず、コンビニ弁当にがっついていたことを覚えています。とうてい1日ではすべての不具合を改善できなかったので、とりあえずWebサーバーだけを稼働させ、その日は切り上げました。
そのあと何度も、サーバールームの不具合には悩まされ、そのたびに改善作業をしています。現在も「サーバーの棚が壁にピッタリ」などの不具合が残っているので、一度本格的に整理整頓し、本格的にラックマウントサーバーを導入したいのが本音です。
■動画音声配信のWebマガジンにも挑戦!
Y:メディアジョイでは、ブロードバンド時代に向けて、新しい試みを実施されているそうですね。
W:はい。2003年2月にPHOTOVOICE(フォトヴォイス)BB(ブロードバンド)をスタートさせました。PHOTO VOICE BBとは、カメラや写真の動画、音声コラム情報をブロードバンドで配信するWebマガジンです。 2月23日には、写真家、田中長徳先生のトークショーがメディアジョイで行われ、その模様をストリーミング配信しました。
Y:で、その技術担当が中西さんだったわけですね。
N:はい。このプロジェクトがスタートしたのが2月13日で、イベントまで10日間しかありませんでしたが、スタート時に決定していたことは、イベント内容、公開日、ライブストリーミングをするということだけでした。
当初は、さまざまなフリーソフトウェアが利用できることから、1台のLinux PCで、エンコードからサーバーまでを担当できるだろうと考えていました。そこで、Linuxカーネル2.4のIEEE 1394ドライバを利用して、RAWビデオを取り出し、FFmpegでエンコードして、FFserverで配信する注5システムを考えました。この方法は、さまざまなエンコードとプレーヤに対応でき、万能のシステムに思えました。
しかし、上記の作業をリアルタイムで行うためには、
- Linuxカーネル2.4のIEEE 1394ドライバからRAWビデオを取り出す際に、転送エラーなどが起きても正常な映像を取り出すよい方法がなかなか見つからなかった
- FFmpegでは、取り出したRAWビデオをパイプ経由などでリアルタイムにエンコードできなかった
という問題がありました。徹夜で検証したのですが、うまく動作させることができなかったため、この方法は断念することになりました。
次に、方向性をまったく変え、Windows Media Encoderを利用したシステムを組みました。これはとても素直に動作し、テストもばっちりだったのですが、Windows Media Encoderの同時アクセス数の上限が50に制限されているのと、Windowsのライセンスに詳しくないため、できれば利用したくないと思いました。
そこで、最後に試したのが、Mac OS XのQuickTime製品群を利用する方法でした。Mac OSはサーバー関連で使ったことがなかったものの、Mac OS XはUNIXということで、以前から使ってみたいと思っていました。具体的には、QuickTime Broadcaster(これはMac OS X 10.2以上でのみ動作)でエンコードし、QuickTime Streaming Serverで配信する方法です。実はMac OSに尻込みしていただけで、これも素直に動作しました。しかし、エンコード時にCPU利用率が高くなってしまいました。さらに慣れていないOSを外部にさらすという行為にも気が引けたので、結局Mac OS X上でQuickTime Streaming Serverを動かすのは断念しました。
幸い、はじめにインストールしたLinux機があり、結局はLinux上でDarwin Streaming Serverを動かすということで一件落着しました。
Y:またまたLinuxが活躍したわけですね。
N:はい。最終的な構成は、
- 社内のイベント会場
- Power Mac G4 1台(QuickTime Broadcasterでムービーエンコード)
- Power Mac G3 1台(QuickTime Broadcasterで音声のみエンコード)
- 大阪市立大学の当社のインキュベータセンター
- Pentium4/2.4GHz搭載のLinux PC
(Darwin Streaming Serverでストリーミング配信)
ということで決定しました。
当日の作業はビデオカメラの操作に1人、その近くにMacintoshを2台置いて、IEEE 1394とマイク端子で接続、LANケーブルをサーバールームまで引き込みました。それぞれのMacintoshにはVNCをインストールし、私が遠隔でMacintoshのエンコードを監視すると同時に、大阪市立大学のDarwin Streaming Serverの状態も監視するという体制で臨みました。
QuickTime Playerでの再生は、ダウンロードの手間があったり、接続環境の自動設定などがなかったりするため、Real PlayerやWindows Media Playerでの再生に比べ、とっつき難いもので、結局、当日のアクセス数は全部で400件、同時アクセス数は平均では約10件、最大同時アクセス数は18件でした。
現在ではオーディオのエンコード方式を変更することで、Real Playerでも再生できることが分かり、今後はライブ配信、オンデマンド配信の両方で、高品質なサービスを提供できると考えています。
Y:お疲れさまでした。メディアジョイで働いていると、いろんなことが体験できるんですね。若くても責任者として(笑)。チャレンジ精神にあふれる方注6に紹介したい会社ですよ。
■パソコンスクールでLinux関連講座をスタート!
Y:メディアジョイのパソコンスクールではすでに、MOUS注7対策講座、ビジネスマナー、Photoshop、デジタルカメラなどの講座を実施しておられて、2003年度はLinux関係の講座を積極的に実施していく予定だそうですね。女性の受講生が多いパソコンスクールで、Linux関係の講座の実施にとても興味を持ちました。
村瀬さん(以下、M):よしださんのほうがよくご存じだとは思いますが、これからLinuxの活躍の現場は増していくばかりだと思います。UNIXでシステム開発をする現場にも女性の技術者はいましたが、10年前に比べてIT業界に進出している女性の割合は増えていますし、結婚後も責任のある立場で活躍している方も多いと思います。これから、パソコン操作にとどまらず、技術者として活躍していきたいと望む方には、WindowsやMac OSだけでなく、Linuxの技術も身に付けることで、活躍の範囲はとても広がると思います。
そこで当スクールでは、不足しているLinux技術者を育成するために、すでに「Linux初級講座」と「Linuxサーバー構築」の短期集中講座を開講しています。問い合わせの数は、男性より女性のほうが約2倍多いです。
Linux初級講座では、現在Vine Linuxを採用して、インストールから基本コマンド、Emacsを使ったテキストエディタの活用方法などをご紹介しています。実際にオンラインを使ってソフトウェアをダウンロードし、カーネルの再構築を行うなどしますので、机上の理論ではなく、実技形式で講座が進んでいきます。
サーバー構築では、DNS、メール、メーリングリスト、Web、FTPなどのサーバーを構築していく中で、DNSやSMTPの仕組み、インターネットのセキュリティなどについて、学ぶことができます。
しかし、Linux初級講座とサーバー構築を受講するだけでは、具体的な目標(ゴール)が見えづらい。また、どの程度のスキルを持っているのかを評価したいという方のために、LPI認定試験注8(以下、LPIC)の対策講座も開講しています。
Y:LPICには私も興味を持っているんですよ。
M:LPICのいい点は、試験対策をしながら体系的にLinuxを学べ、飽きることなくLinuxのスキルを伸ばせることです。私自身、LPICの参考書を利用することで、Linuxの知識を身に付けました。この資格は、一般にも注目されはじめていますが、特定ディストリビューションに依存しない業界標準のLinux技術者であることが証明できる資格として、今後さらに注目されると思います。
Y:すでにMOUSなどの資格を持っている女性が、1つ上の資格として挑戦するようになるといいですね。その場合、受講者の現在のレベルによって、いろいろなレベルの講座を用意するといいと思います。すでにUNIXコマンドをかなり使い込んでいる人には試験対策だけで十分でしょうけど、「OSとは何か」から学ぶ必要のある人もいるはずです。そういう人にも、順序立てて勉強してもらえるような講座を用意するわけです。
M:そうですね。私自身もそうなのですが、WindowsからIT技術に興味を持ち、ITスキルアップを目指す女性に向けて、LinuxそしてLPICの取得者をたくさん増やしていければすてきです。
Y:うまくいくといいですね。今日は楽しくためになる話をありがとうございました。
注1 (株)メディアジョイ
平成14年11月に、三和土地株式会社 メディア事業部より分社。主な事業内容は、電気通信事業(一般第2種電気通信事業者)、Webサイト制作、DVD/CD-ROM制作、ネットワーク構築支援ホスティングサービス、ドメイン取得代行、パソコンスクール運営、カメラ販売、カメラ関連書籍販売など。本社所在地(平成15年1月、新装)は、京都市中京区烏丸通錦小路上ル手洗水町662メディアジョイITビル。
注2 趣味のカメラ
http://www.mediajoy.com/GALLERY/のページから、「世界の名機や珍機を使いこなす和田行弘氏の写真展」が閲覧できる。さらに和田さんは、古墳時代を含む古代史の先生とのことで、メディアジョイからは、大阪府立近つ飛鳥博物館監修による古墳学習用CD-ROM「CDロムで学ぶ 古墳なぜなに教室」(4,750円)が販売されている。詳しくは、http://www.mediajoy.com/products/kohuncd/ 参照。
注3 OMP
大阪メディアポート株式会社(Osaka Media Port Corporation)のこと。第1種キャリアで、関西電力の送配電線、大阪市営地下鉄、阪神高速道路という3ルートを基幹ネットワークとして、通信インフラを提供している。
注4 ProxyARP
代理ARPともいう。IPネットワークではネットワークポートのMacアドレスを調べるのにARPパケットを利用しており、ProxyARPは、あるコンピュータに対するARP要求パケットをルーターが代わりに受け取り、そのコンピュータの代わりにARP応答パケットを返信する。これによって、遠隔地のLANを同一セグメントのようにしたり、セグメントを切り分けたりできる。
注5 FFmpegでエンコードして、FFserverで配信する
FFmpegは、MPEG、MJPEG、Real Video、Macromedia Flashなどに対応したコンバータ。FFseverはビデオとオーディオに対応したストリーミングサーバー。両者とも、FFmpeg Multimedia Systemのプロジェクトで開発されている。
http://ffmpeg.sourceforge.net/
注6 チャレンジ精神にあふれる方
メディアジョイの「スタッフ募集」ページには、ネットワーク、ソフトウェア技術者の求人が掲載されており、取材時に和田さんからも「Linuxに詳しいスタッフを募集している」との話を聞いている。
http://www.mediajoy.com/mjc/arbeit.html
注7 MOUS
MOUS(Microsoft Office User Specialist)は、Microsoft Officeの利用スキルを証明するマイクロソフト主催の資格試験制度。
注8 LPI認定試験(LPIC)
LPI認定試験(LPIC:Linux Professional Institute Certified)は、国際的なLinuxの認定資格。2000年4月に日本におけるLinux技術者認定試験の普及・促進を図るため、特定非営利活動法人「LPI-Japan」(理事長 成井 弦)が設立され、同年12月より日本語試験を実施。日本で日本語版のテストを受験する受験料は1万5,000円。試験はVUE(バーチャル・ユニバーシティー・エンタープライズ)とアール・プロメトリックが代行する。
http://lpi.or.jp/
取材後日談
LPI-Japanに多くの面で貢献しておられる濱野賢一朗氏に、LPICに関する最新情報を書いていただきましたのでお届けします。
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現在、日本でのレベル1認定取得者は2000名程度、レベル2認定取得者は100名程度といわれています(2003年3月末時点)。昨年から受験者が急増しているとのことなので、いままで以上の勢いで認定者も増えていくと思います。
レベル1試験は、5月1日にリリース2として改訂されました。それに伴ない試験範囲などが変更になりました。主な変更点としては、
- USBデバイスやOpenSSHに関する出題などが加わった
- パッケージ管理システムの出題で「RPMパッケージ管理」、「Debianパッケージ管理」のいずれかを選択できる
などがあげられます。具体的な試験範囲や変更点についてはLPI-JapanのWebサイトで確認できます。
レベル1リリース2に対応した教材として、次のようなものが提供されていますので、参考にするとよいでしょう。
- 『Linux教科書 LPIC レベル1』
中島 能和/濱野 賢一朗 著、翔映社、3,8000円、ISBN4-7981-0292-X
- 『SKILL-UP TEXTシリーズ LPI Linux レベル1』
LPI Linux受験研究会 著、ソフトバンク パブリッシング、3,400円、ISBN4-7973-2276-4
- 『合格Expert LPI Linux認定試験 レベル1』
濱野 賢一朗/中島 能和 著、技術評論社5月16日発売予定
- 『iStudy for LPI レベル1』(CD-ROM教材)
システム・テクノロジー・アイ、1万8,000円
また、現時点ではレベル2に対応した市販教材は提供されていませんが、今夏中には出版できるように準備を進めていますので、ご期待ください!
株式会社びぎねっと(http://Begi.net/)
取締役副社長&COO 濱野 賢一朗
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●OS環境:Debian GNU/Linux
高校のころにPC UNIXを使いはじめたのですが、きっかけは、書店でLinux Japanの創刊号(1996年11月発売)を手に取ったことです。OS自体はFreeBSDなどにも興味があったのですが、敷居が高いような気がしていたので、もっぱらLinuxでした。ディストリビューションはSlackware、Red Hat Linux、Turbo linuxなど固定することなく、次から次にインストールしていました。しかし、当時はお金がなかったうえに、日本語の文献が少なく、インターネットも高値の花だったため、思うように情報収集ができず、結局何もしていなかったような気がします。現在、メディアジョイのサーバーに使っているのはDebian GNU/Linux 3.0です。また、専攻は流体力学だったのでVAIO-C1にLinuxを入れて、OpenDX(IBMの可視化ツールVisualization Data Explorerのオープンソース版)を動かしてシミュレーションモデルの解析などをしようと考えています。
●シェル:bash
以前いた群馬大学では設定してあったtcshをそのまま使っていました。現在も基本的に、システムの標準シェルを使用しています。これはどのような環境に対しても、スムーズに対応できるように力をつけておきたいのと、まだシェルを固定するほど使いこなしていないからです。ただし、現在はbashでの作業がほとんどとなっています。
●シェルの設定:デフォルト
カスタマイズは一切せずにデフォルトで使っています。これはシェルを固定していないのと同じ理由です。ただ、個人的に好きな設定は、「ls -la」をlaにエイリアスさせることです。現在の~/.bashrcは、次の設定だけです。
eval `dircolors -b`
alias ls='ls --color=auto'
PS1='\u@\h:\w\$ '
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●エディタ:vi
場合によってedやsedなどを使っています。現在はクライアント環境にWindowsを使い、秀丸を使っています。クライアントにLinuxを使っていた時代には、Muleを使っていました。
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