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1999年12月号掲載 よしだともこのルート訪問記

第57回 5万人規模のネットワーク構築・運用の教訓
〜早稲田大学 メディアネットワークセンター〜

 今回は「早稲田大学注1メディアネットワークセンター」を訪ね、辰己 丈夫(たつみ たけお)さん、前野 譲二(まえの じょうじ)さんから、約5万人の学生が使うネットワーク環境の構築・運用についてお聞きしました。その席には、楠元 範明(くすもと のりあき)さん(早稲田大学教育学部講師)、安田 豊(やすだ ゆたか)さん注2(神戸大学)、岡本 圭史(おかもと けいし)さん(早稲田大学理工学部助手)、大羽 聡(おおば さとし)さん、寺尾 洋子(てらお ようこ)さん注3にも加わっていただきました。
 さらに、取材当日、早稲田大学では「現職教員のための夏季コンピュータ講座」が開かれており、「ハードウェアネットワークコース」(辰己さんが講師)の講習会も見学しましたので、そちらの内容も併せて紹介します。

■5万人の学生が利用するネットワークの運用

よしだ(以下Y):はじめまして。まずは、「早稲田大学メディアネットワークセンター(以下MNC)」について紹介してください。

辰己さん(以下T):MNCは、全学的な情報化推進計画を実行するため、1996年6月、それまで業務系統別に独立していた情報関連組織を再編成して発足し、全学総合ネットワークの構築と運営を担当しています。
 MNCが提供している主なシステム・サービス注4には、mn(mail/news)システム、SAS、TSPなどの統計処理システムをUNIX上で利用するシステム、UNIX上でC言語、FORTRAN、Prologなどのプログラミング言語やLaTeXなどの文書整形ソフトを利用するためのguxシステム、WWWシステム、高速UNIXシステムがあります。
 私は、その前身となる機関で'93〜'96年の3年間、助手をしていました注5。'99年4月からは、神戸大学で講師をしていますが、いまも、MNCでは非常勤講師をしています。
 早稲田大学の場合、理工学部のある大久保キャンパス(約1万人)と人間科学部のある所沢キャンパス(約3,000人)以外の「文科系のキャンパス」では、MNCがコンピュータ環境のサポートなどを行っています。また、上記のキャンパスの学生も含めて、全学的にMNCがアカウントを発行しており、現在は、5万3,000人のアカウント注6を発行しています。
 早稲田大学のネットワーク(図1)は、100Mbpsで対外接続され、そこから先は、大手町のIXP-2に接続されています。PPP接続のアクセス・ポイントは、大手町と(人間科学部のある)所沢にあります。

Y:PPP接続の回線数はどのくらいですか。

前野さん(以下M):大学側が用意しているのは、大手町と所沢合わせて621回線です。ただし、入試時期はそのうちの半分弱(276回線)は、入試合否案内などのために使われるので、それ以外の期間(4〜12月)にPPP回線として使っています。
 また、プロバイダと契約して、学生には割安な値段でアクセス・ポイントを提供しているため、千葉や神奈川に住んでいる学生でも、市内料金で接続できます。

Y:MNCは全体で何台ぐらいのコンピュータを管理しているのでしょうか。

M:直接MNCが管理・運用しているコンピュータ教室は、24号館のAからEルーム、9号館端末室、22号館コンピュータ自習室の合計7室で、約500台の端末があります。後者の2つが自習専用です。22号館の自習室は、日曜・祭日を含め24時間利用できます。
 これ以外に、各学部が設置している標準仕様端末室が19室、約1,200台あり、これらは、MNCが決定する仕様に基づいて、各学部が設置しています。標準仕様端末室のOSはWindowsで、標準のソフトウェアが導入注7されていますから、同一使用形態で使えます。
 もちろん各学部によって、独自のソフトウェアが追加されている場合もあります。私のいた商学部では統計処理用のSASが、心理学部ではSPSSという統計ソフトが入っているなど、学部ごとにカスタマイズされています。

Y:標準仕様端末はWindowsなんですね。

M:はい。ほとんどがWindows NTで、一部がWindows 95です。独自仕様端末室として、理工学部にはUNIXワークステーション(およびX端末)、人間科学部にはiMacも導入されています。

楠元さん(以下K):よしださんもご存じだと思いますが、WIDEというプロジェクト注8に入っていた理科系の学部を抱える大学のネットワークは、ある程度、似たような状況からスタートしています。いわゆる、UNIXべったりからのスタートですね。早稲田大学のネットワークも、当然そのような中から成長しました。

T:そのため、「メールもニュースもUNIXで」という環境が長年使われてきましたが、全学生が使える環境を目指した結果、'94年度からはWindowsを基本とするインタフェースも提供することになりました。それがmnシステムで、'94年度から基本設計を開始し、'95年度に本格運用開始となりました。その基本設計を担当したのが、私でした。その後、利用者の数が増え続け、'99年には約5万3,000人にまで広がったというわけです。

安田さん(以下や):それは、アカウントの発行数ですか、それとも、利用者数ですか。

M:アカウントを発行している数です。もちろん、その数と実利用者数は一致しませんが、
'98年12月の1か月間の利用者数が、延べ人数ではなく同一人の複数回利用を1とカウントして約2万3,000人ですから、実利用率も、かなり高いと予測できます。
 また、ダイヤルアップIP(PPP)接続の利用者数は、'98年12月の統計結果では、約1万人でした。こちらも、延べ人数ではないので、利用率は非常に高いといえるでしょう。

や:一般的に大学で、PPP接続の利用率が高いのは、学校で使える機会が少ない、あるいは、学生が学校に来る機会が少ないためなので、個人的には望ましい状態だと思っていません。学生には、「とにかく学校にこい。そうすれば、ネットワークに接続したコンピュータ環境を好きなだけ利用できる。家に帰ってまでつなぐな」というのが理想でしょう。

M:われわれが学生に十分な数の端末数を提供してないという点は否定できません。5〜6人に1台の割り合いで端末を用意してはいますが、授業での占有率も高いですから。

K:先に各学部が独自に設置している、標準仕様端末の話が出ましたが、教育学部には、標準仕様端末室が3つあり、そのうちの1つは、常に自習専用にしています。残りの2つの教室に関しても、授業の割り振りをうまくすれば、常に3つのうちの2つは自由に使えるようにできます。

M:MNC管理の端末室も同じで、常にオープンになっている部屋を2つ確保し、それ以外の5つの部屋のうち、少なくとも1つは自習用に確保する運用をしているのですが……。導入台数が限られてしまう一番の理由は、使える部屋が限られる、つまり土地がないという問題ですね。

や:計算機の部屋を作っていて、最近、つくづく思うことは、設備費は安くなりましたが、一番のネックが土地だという点ですね。

Y:現在は、使いたい学生が部屋の前に並んでいるような状態なんですか。

M:そうですね。昼間は学生が待っている状態が非常に多いですね。とくに、昼休みの時間帯を中心に……。
 大学の構内では、内線として利用しているPHSを使って、学生のノート・パソコンをネットワークにPPP接続できる仕組みを提供しています。教室によって多少異なりますが、1教室当たり16台程度のノート・パソコンがPHS(無線)で、キャンパスLANに接続できます。
 これは「マルチメディア・モデル・キャンパス」注9構築の一環で、テスト的にPHSを学生200名に無料で貸与しました。

T:土地的な問題には、それでなんとか対応しています。人的な問題に対しては、いまは、なるべくアウトソーシングし、助手に負担がかかりすぎないようにしています。

M:昔は早稲田大学の場合も、fj的に比較的有名注10な助手の先輩方がいて、そういう方々がシステムを作り、管理者も務めるという状態が続いていました。その後、だんだんと職員のスキルも向上しましたし、外部の業者に作業自体を外注する体制もできて、システム的にも、完成度が高くなっています。

Y:人数的にはどんな感じなのですか。

M:mnシステムに関しては、専任の職員が2名で、外注の方と合わせて5名程度で管理しています。ネットワーク全体、つまり、バックボーンの管理などを含めると、30名前後が管理に携わっています。

図1 早稲田大学のネットワーク(1999年当時)
早稲田大学のネットワーク

■新入学生へのマナー教育の実施

Y:早稲田大学は、学生への初心者教育が徹底しているそうですが、そのあたりについて教えてください。

T:初心者教育は、'97年から実施しています。入学時に配布する資料中に、実習を伴う90分の講習会の日時を指定し、学生のアカウントとパスワードを記述したものを含めています。4月の初旬、授業のスタート前に一斉に講習を行います。それを受講しない場合、アカウントは5月1日をもって停止すると広報しているので、出席率は非常に高いです。
 新入生、約8,500人への講習会を10日間でこなすので、センターは一種のお祭り騒ぎになります注11
 学生には、ネットワークを使うに当たって、守らなければいけない概要、たとえば、認証とは何か、パスワードを盗まれたらどのように困ったことが起こるかなどを教えたあと、実際にメールの読み書きを実習させます。最初に総長から「すべての道は早稲田に続く」というメールが入っているので、それに対して総長あてに返事を出すよう指示します。うまく送れると、総長から返事がきます。

Y:うわぁ、総長、返事を書くのが大変 :-)。

M:総長からの返事は、自動返送される仕組みになっています。

T:また、このときの学生への教育には、こんな悪用をした場合はこういう処罰をしたという「おどし」も含みます。初心者教育を始めた'97年はリテラシー中心でしたが、'98、'99年は、マナー教育の比率を高めました。

M:5万人もいれば、毎年、数十人は変なことをして、コンピュータを使用禁止にされる学生も出てきます。その場合、大学は教育機関なので、自分が何をしたのか、なぜ、悪いのかを教育して、納得させないといけないのです。単に罰するのではなく、話を聞いて、最終的に反省文を書いてもらいます。

T:実際に学生が起こした事件注12の中で有名なものに、次のようなものがあります。
 『ある学部の4年生の学生が、自分の卒業論文で、ネットワーク利用の意識調査を行うため、約2,000名の学生に向けてアンケート・メールを送りました。メール本体は1Kバイト程度でしたが、全員のアドレスを書いたヘッダー部分が60Kバイトの大きさになり、メールのスプールを120Mバイト使用したばかりではなく、巨大なヘッダーを処理できないメール・クライアントが不正終了し、ロック・ファイルが残ってしまい、メール・クライアントを起動できなくなるという障害が頻発しました。』
 メール版不幸の手紙や、SPAM注13(スパム)は、初心者でもわずかな教育で簡単に防げますが、「献血依頼メール」や「研究のためのアンケート」などの問題の根深さを初心者に理解させることは難しいわけです。
 そのため、このような事件の再発防止対策には、一定の大きさを超えるヘッダーを含む電子メールは配送しない方法があります。
 また、電子メールやネット・ニュースの情報流通を目的とするシステム上で、大規模な数値計算を行うプログラムを走らせたり、逆に、計算のために設置されている計算機のハードディスクに、電子メールやそのほかの計算とは関係ないファイルを保持する不正利用も発生します。これは、「計算資源そのものが足りない、それぞれの計算機の設置目的が周知されていない」という理由から発生するため、「計算資源を増やす、計算機の設置目的を広報する」必要があります。
 しかし、当面の対処として「不正な利用ができないように、quota注14によってファイル容量の上限を設定」します。実際、早稲田大学では、「不正な利用ができないようにする」ための対処法として、電子メールのシステム上ではUNIXのシェルを起動できなくしています。

Y:学生はUNIXにログインできないということですね。

M:はい。mnシステムは裏ではUNIXが動いていますが、学生にはログインを許していません。シェルが使えると、「ls ..」のようなコマンドを起動すれば、ディレクトリ名からユーザーのアカウントが漏れ、メール・アドレスまで分かってしまいます。
 「UNIXへの学生ログインは禁止しよう」の提案者は私だったのですが、5万人もの利用者に安全に使ってもらうには、UNIXへのログインは禁止せざるをえないんですよね。

や:では、「mailコマンドでメールが読みたい!」人への代替手段はないのですか。

T:理工学部ではクライアントとして使えるUNIXがあったため、理工学部のマシンにメールをフォワードする方法などで対処が可能でした。申請さえすれば、理工学部以外の学生でも使うことができます。

M:学生というのは、通常、4年間でどんどん卒業していくので、現在では、入学時から与えられたWindows環境を、何も文句をいわずに使っている学生がほとんどです。UNIXに興味を持つ学生には、mnシステム以外のUNIXが使える環境を用意しています。
 5万人規模のシステムを運用するには、「画一的なものを提供し、安定したシステムを安心して運用する」というポリシーにのっとり、mnシステムへのシェル・ログインは、切り捨てなければいけない部分だったのです。
 ただ、私自身、UNIXのシェルで育ったので、センターが提供する環境でのメールの読み書きにUNIX環境が使えないことで、将来、管理者になる可能性のある学生の芽を摘むようなつらさは伴います。

Y:これまでのUNIX文化が途切れてしまうようで、もったいない気もしますね。

K:文科系の各学部や研究室で独自にUNIXを持ち、サーバーを立てるような運用も活発化しましたから、それでUNIX文化は継承できていると思いますよ。

Y:ところで、Windows上でのメールの読み書きに使われているソフトウェアは何ですか。

M:mnシステムには、WinYAT32というものを使っており注15、これはメールをサーバーで一括管理できます。そのため、どのパソコンからでも同じメールを参照でき、教室など不特定のマシンを使用する環境に適しています。
 ユーザー・インタフェースが単純なので、これまでMHを使っていた人でも、それほど違和感なく使えます。サーバー用ソフトウェアがPerlで書かれ、ソース・コードが公開されているのも、都合がよかった点です。

■インターネットと教育

Y:マルチメディア教材作りの環境も整っているそうですね。

K:はい。早稲田大学にはマルチメディア・コンテンツを作るための充実した施設があります。たとえば、14号館のマルチメディア実習室(14-602教室)は、スキャナ、VTR、音楽キーボードなどの入力装置、および、それらから入力されたデータを画像/動画/三次元動画/音声などに編集するための代表的なソフトウェアが用意されています。
 また、22号館のMCC(Multimedia Contents Cannery)では、教職員のマルチメディア教材を作成し、ネットワーク上に公開することを支援するために、ノンリニア・ビデオ編集、三次元CG制作、マルチメディア編集、電子化設備(スキャナ、ビデオ・キャプチャ、OCRソフト、CD-Rなど)を完備しています。

Y:大学に、マルチメディア・コンテンツを専門的に作る学科があるのですか。

K:いいえ。早稲田大学では、学科、学部に関係なく受講できる「全学共通科目」注16があり、その中の1科目「マルチメディア原論」で、デジタル・サウンド・デザインやデジタル画像デザインを扱っています。

M:このような科目の場合、実際に現場でマルチメディア・タイトルを制作している方を講師として招くこともあります。

T:楠元先生と私と別の先生との間で、いま、小学生のためのマルチメディア・コンテンツを作ろうという試み注17を進めています。小中高校の先生は、コンテンツ作りの環境を持っていません。逆にわれわれは環境を持っていますが、コンテンツを持っていません。そこで、大学がこの環境を提供して、両者が協力し合って良質のコンテンツを作り、われわれのWebサーバー上で公開し、それを小中高校の先生が活用するシステムを作ろうという試みです。
 現状では、多くの先生方は、情報科教育というものと、各教科の情報化との切り分けに気がついていないようです。たとえば、英語の先生が、海外文通にインターネットを使うのは「外国語科教育の情報化」であって、情報科教育ではありません。ですから、授業にコンピュータやインターネットをツールとして活用したからといって「私は情報科教育を実施している」とはいえないわけです。

寺尾さん:現在は、各教科の情報化のために、パソコンの使い方も教えなければいけない状況なので切り分けにくいのでしょう。
 小中高校から情報リテラシーを身につけるようになれば、状況は変わるでしょう。情報リテラシー教育は、中学では2002年、高校では2003年からスタートします。2006年になると情報リテラシーを身につけた学生が大学に入ってくるわけです。そのときに、大学がどのような専門教育を提供するかを考えておくべきなのに、まだ考えられていませんよね。

T:一般には、2006年になってから考え始めるのでしょう。一口に情報教育といっても、情報機器の使い方を教えることと、各教科の情報化、つまり、高校なら英語や社会、大学なら会計学や医学などの授業を情報機器を使って実施すること、さらに情報科学の情報とでは、教育内容がぜんぜん違ってくるわけです。

■現職教員のためのコンピュータ講座の実施

Y:最後に、昨日と今日、辰己さんが講師となって実施された、「ハードウェアネットワークコース」について、紹介してください。

T:これは、楠元先生と私とで企画したもので、主催は、早稲田大学教育総合研究所、大学院教育学研究科、教育学部、稲門教育会です。受講生24名は、現職の先生方でした。
 内容は、パソコンを組み立てて、そこに、LinuxとWindowsをインストールし(デュアル・ブート)、Linuxを利用してネットワークを構築するというものでした。パソコンのパーツは、理工学部の授業の組み立て実習で使われているものを借り、理工学部の助手の岡本さんや、理工学研究科大学院生の手塚さんに、アシスタントとして協力していただきました。

Y:『ホップ! ステップ! Linux!』注18をテキストに採用してくださっていましたね。

T:受講生には、事前にあの本を購入してもらいました。テキストとする本を選ぶときに、偶然書店で見つけたのですが、あの本は、ユーザーとしてのUNIXの利用についてだけでなく、管理者の心構えや業務についても分かりやすくまとまっていたからです。付録CD-ROMのPlamo Linux注19が決定打でした。
 今回は、組み立てて、OSをインストールし、ネットワーク設定、そして解体というスケジュールを2日間でこなしたため、駆け足になってしまった部分がありました。次回は、同じ内容を3日間で実施できればと思います。

K:希望者には、自分が組み立てて、OSをインストールしたパソコンを持って帰れるといいですよね。

Y:確かに、自分で組み立てて、設定したマシンには、愛着があるでしょうね。
 今日は見学させていただき、現職の先生方が熱心に受講されていた姿に感心しました。本当に、ありがとうございました注20

■参考文献

  1. 情報処理学会の「コンピュータと教育」部会の'98年11月13日の研究報告の論文集より『辰己丈夫、原田康也:初等中等教育における情報倫理教育のあり方について』
  2. 『インターネット時代の書法と作法 〜OSフリーの文書作成・管理・マナー・法律〜』辰己丈夫 著、サイエンス社、'99年5月発行、1600円
  3. 早稲田大学教育総合研究所発行「コロキウム(No.27 '99年6月発行)」より『第4回 教育の現場に活かすコンピュータ講座 開講のお知らせ』
  4. 『PC・ネットワーク利用ガイド1999年版』早稲田大学メディアネットワークセンター、'99年4月発行(約200ページからなるローカルガイド)

悪意がなくても大量のメール送信は障害の原因となる
注1 早稲田大学
早稲田大学は「学問の独立」を理念に、1882年(明治15年)に東京専門学校として創設。1902年(明治35年)に早稲田大学と改称し、1907年(明治40年)、近代日本を設計したひとり、大隈重信が総長に就任している。現在は、9学部・28学科・32専修をようする総合大学である。詳しくは、http://www.waseda.ac.jp/参照。

注2 安田豊さん
この取材は、1999年当時神戸大学におられた安田さんのアレンジで実現した。1999年当時、辰己さんが神戸大学の講師をされており、安田さんと知り合いだったため。

注3 寺尾洋子さん
寺尾さんは、京都から取材に同行してくださった。

注4 システム・サービス
MCNは、システム・サービス以外にも、研究教育部門の活動、多様な教育・研究を支える環境の構築、学術情報システム、電子図書館・電子博物館プロジェクト、基盤システム、大学業務システム、全学総合ネットワークなどの構築と運用を担当している。詳しくは、http://www.waseda.ac.jp/mnc/index-j.html参照。

注5 助手をしていました
辰己さんは当時、Cisco AGS、ニュース・サーバー、メール・サーバー、ターミナル(モデム)サーバーの設定・管理や、TeXの導入、httpd導入、各種規約の制定、および機器購入や「早稲田大学ホームページ」コンテンツ作成チームの監督などを担当していたそうだ。

注6 5万3,000人のアカウント
早稲田大学の全学生数は約4万8,000人、それに教職員、聴講生、早稲田大学付属の高等学院の人数を合わせて、約5万3,000人となるそうだ。
ちなみに、学校法人早稲田大学が経営する付属高校には、早稲田大学高等学院と早稲田大学本庄高等学院がある。早稲田高等学校と早稲田実業学校は、系属高校である。

注7 MNC標準仕様端末に導入されている標準ソフトウェア
Word、Excel、PowerPoint、Access、Microsoft PhotoEditor、TYPEQUICK(タイプ練習)、WinYAT32(電子メール、ネット・ニュース)、Netscape Navigator(Webブラウザ)、TeraTerm(遠隔端末機能)、WS-FTP(ファイル転送)、LHMelt(ファイル圧縮・解凍)、秀丸エディタ。

注8 WIDEというプロジェクト
'88年に始まった、広域ネットワークを実際に構築し、それをテスト・ベッドとして大規模広域分散環境における諸問題を実証的に研究するプロジェクトの名称。

注9 マルチメディア・モデル・キャンパス
大学の複数キャンパス内にPHSデータ通信技術、同時多重アクセス技術、メディア統合通信技術等を利用したモバイル・キャンパス・システムを構築する。

注10 fj的に比較的有名
ネット・ニュースのニュース・グループの中で、日本語で運営されているものの代表が、fj.*である。インターネットが一般に普及する前の時代は、fj.*の数自体も少なく、利用者も限られていたため、fj.*によく記事を投稿する人の名前や人となりは、そう意識しなくても記憶に残った。そういう人のことを、俗に「fj的に有名」という。

注11 センターは一種のお祭り騒ぎになります
約8,500人の新入生に対して、50人ずつ90分の講習をするには、150コマが必要になり、この10日間は、センターの助手と講師、約60人が総動員で、1コマ目から6コマ目までの講習に当たるそうだ。

注12 学生が起こした事件
論文『辰己丈夫、原田康也:初等中等教育における情報倫理教育のあり方について』[1]によると、ネットワーク・システム運用上の「事件」の発生原因は、「初心者の過失」、「初心者の無知」、「非初心者の過失」、「非初心者の無知」、「非初心者の故意・悪意」の5つに分類できるとのことである。

注13 SPAM
多くの人を対象に送られる望まれないメール。営利目的の情報発信に使われるダイレクト・メールもそのひとつ。

注14 quota
ユーザーごとに、ハードディスクの使用量を制限するコマンド。

注15 mnシステムには、WinYAT32というものを使っており
(株)ジェプロのメール/ニュース・クライアントウェアWinYAT32は、インターネットの代表的サービスである電子メールやネット・ニュースを利用するためのWindowsアプリケーション。主な役割として、メールを読む、メールを送る、ニュースを読む、ニュースを投稿するという4つの機能を備えている。

注16 全学共通科目
「マルチメディア原論」のほか、「情報処理入門」、「マルチメディア入門」、「コンピュータによる統計処理」、「プログラミング入門」、「情報化社会概論」が開講されているそうだ。

注17 小学生のためのマルチメディア・コンテンツを作ろうという試み
プロジェクトの名称は「小学生のためのマルチメディア・ネットワーク教室」である。第1回の会合が、9月25日に実施されたそうだ。

注18 『ホップ! ステップ! Linux!』
'99年4月翔泳社発行の書籍で、吉田智子 他著である。付録CD-ROMには、Plamo Linux 1.4.2が収録されている。自慢は、入門書でありながら、システム管理の基礎を含んでいることで、これがルート訪問記を楽しむ、最低限の基礎知識だと位置付けられる。

注19 Plamo Linux
Slackware Linuxを基にインストーラを日本語化したディストリビューションで、インストールすれば、即、日本語環境が利用できる。

注20 ありがとうございました
取材後、とてもおいしい「カンボジア料理」のお店に連れていっていただきました。

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Last modified: Mon May 21 14:36:02 JST 2007 by Tomoko Yoshida