[Date Prev][Date Next][Thread Prev][Thread Next][Date Index][Thread Index]
第34回 北上川沿いにそびえる町の誇り「情報の船」
- Subject: 第34回 北上川沿いにそびえる町の誇り「情報の船」
- From: 宮城県河北町「メディアシップ」佐藤 将(さとう まさる)さん
- Date: 1997.11
1997年11月号 UNIX USER誌掲載「ルート訪問記」の過去記事
第34回 北上川沿いにそびえる町の誇り「情報の船」
今回は、宮城県の河北町交流プラザ「メディアシップ」 [注1] の
佐藤 将(さとう まさる)さんを訪ね、メディアシップを中心と
した河北町の情報化や、メディアシップのネットワーク構築につい
てお聞きしました。また、インストラクタとして同施設に常駐され
ているコセキ(株) [注2] の堤 昌男(つつみ まさお)さんに
も、お話に加わっていただきました。
*自治体の施設ながら開館時間を工夫
私(以下Y):はじめまして。ちょっと旅行気分 [注3] でやって
きました。さっそくですが、河北町交流プラザ「メディアシップ」
について説明していただけますか。
佐藤さん(以下S):河北町交流プラザ、愛称「メディアシップ」
は、人、モノ、情報の交流拠点として町が建設した施設で、 ’97
年4月にオープンしました。ここでは、町民の方々にマルチメディ
アやインターネットなどを体験していただいたり、マルチビジョン
を利用したイベントを開催したりしています。
通常このような自治体の施設の利用時間は、「朝9時から午後5
時まで」と決まっているものですが、利用する人たちが余裕を持っ
て使える時間にしたいということで「平日・土曜は午後1時から午
後9時まで、日曜・祭日は午前9時から午後5時まで」としました。
休館日は月曜日と火曜日となっていますが、これは隣接する河北町
総合センター「ビッグバン」(図書室・体育施設・ホールなどがあ
る施設)が月曜日休館なのでそれに合わせたのと、加えてファイル
のバックアップなどの作業日が必要なので火曜日も休館としました。
Y:メディアシップで働いていらっしゃる方は、みなさん町の職員
なのですか。
S:私を含めて町の職員は合計5名で、それ以外にインストラクタ
としてコセキの堤さんともう1人派遣されています。この人数で、
コンピュータ部門だけではなく、マルチビジョンのある1階の野外
ステージやイベント広場で行われる催し物の企画・運営までを担当
しています。ワークキャビンと呼ばれる2階では主にマルチメディ
アの体験、ネットデッキと呼ばれる3階は主にインターネット体験
ができ、ともに無料で施設内の機器が使用できます。各フロアの名
称は、メディアシップの建物のイメージである船 [注4] からきて
います。町役場は少し離れたところにありますが、ビッグバンとメ
ディアシップが町のイベント関係の中心地になっています。
*真剣に講習を受けている女性たち
Y:2階と3階のPC関連機器の利用率は、どのような感じですか。
S:平日の午後の利用者は、子供が多いですね。3階のPCからは、
Webページを見ることができるようになっています。ただ、「キー
ボードからURLを入力するのは難しい」という意見があったため、
URL入力用のソフト・キーボードを設計しインストールしてありま
す。
夜間は水、木、金の週3回、3階のWindows 95マシンを使って
「Windows 95初級」セミナーを実施しています。一度に12人の受講
生で行い、毎週1回通って1か月(計4回)で「初級」コースを修
了します。
堤さん(以下T):内容としては、1回目でWindows 95の基本、2
回目でワープロ操作、3回目で表計算、最終回でインターネットを
体験して初級は終わります。
S:6、7月分(’97年)、合計72名の申し込み日には早い時間から
列ができて、5分で受付が終了してしまうほど好評でした。営利目
的のセミナーではありませんから、受講料が4回コースで2,000円
と安く、河北町に住んでいるか、働いている人ならばだれでも受講
できます。「セミナーを受講したかったら、この町に住んでね」と
いうことですね。
Y:受講生の年齢層は広いでしょうね。
T:はい。6〜9月までの受講生を見ると、下は10歳未満の子供か
ら上は80代までと、非常に広いです [注5]。
S:PC教室は平日の夜間実施していますが、受講生にはわれわれが
予想していたよりもずっと高年齢の方が多く集まりました。もう1
つの傾向は、女性、とくに30代の主婦の方々が多かったことです。
子供が学校に行くようになったから再就職しようと思ったとき、河
北町のような過疎地でもワープロぐらいできないと再就職できなく
なっています。ですから、主婦の方々はみなさん真剣ですよ。
*6月からプロバイダ業務がスタート
S:今年の6月には、町民の方々がここまでこなくてもメールを読
んだり、ネット・サーフィンできるようにプロバイダ業務 [注6]
をスタートさせました。ダイヤルアップPPP接続する場合には、接
続料として年間3,000円いただいています。ちなみに、ここからは
IIJ [注7] に128Kbpsの専用線で接続しています。
この程度の規模の施設なら64Kbpsで十分なところをあえて
128Kbpsにしたのは、将来、メディアシップを中心に町内の学校や
役場間を結んでいきたいと思っているからです。ただ、ここのドメ
イン名はmediaship.ne.jpなので、役場や学校を接続するときは地
域ドメイン名を新しく取ることになります。
私の理想は、各家庭から役場への問い合わせや役場から家庭への
連絡をインターネットで行っていくスタイルです。それ以外には、
町の小学校と老人ホームをCU-SeeMe [注8] でつなぎ、小学生と老
人の方が知り合いになって、実際に訪問するというような使い方が
したいと思っています。つまり、人と人との交流のツールとして使
うことですね。ここの2階に来る小学生でも、最初はお絵描きソフ
トで遊んでいますが、しばらくすると飽きてしまうんです。
T:飽きた子供がここにきて何をするかというと、われわれに話し
かけてくるんです。最終的には、人と人との交流を求めているわけ
ですね。
Y:現段階で、何人ぐらいの人が外部から電話で接続されているの
ですか。
S:’97年8月現在、外部接続の登録者は55名で、そのうちコンス
タントに接続されている方が80パーセントぐらいです。中には一度
に4時間50分間、接続された方もいらっしゃって、「電話代をあと
で請求されること分かっているのかな?」と心配したこともありま
した。まだ、目新しいということなんでしょうね。
Y:外部からの接続をサポートされるのも大変でしょうね。
S:Windows 95やMacintoshであっても、さまざまな接続ツールが
ありますから大変です。中にはノートPCを持って相談にきた人もい
ました。
最近では、モデムからの音を聞いたり、ログを見たりすれば、ど
こでどう間違ってつながらないのかが分かるようになってきました。
たとえば、モデムがプチっと切れるのはPPP接続用ツールの設定間
違いだし、ログを見てユーザー認証の段階で切れてしまうのはユー
ザーIDかパスワードの入れ間違いという感じですね。また、PPP接
続はできているのに、メディアシップから外に出られない(プロバ
イダ外部のマシンに接続できない)のなら、DNSの設定間違い、す
なわち(ネーム・サーバー [注9] の)IPアドレスの番号入れ間違
いです。
「トーン回線なのか、パルス回線なのか分からないですけど……」
という質問には、「電話局からの請求書を見て、プッシュ回線使用
料390円が記入されていたらトーン回線です」と答えています。さ
らに、親子電話用(または玄関のインターホンと電話を共有するた
め)に4芯ケーブルを使っていたために接続できなかったというケー
スもありました。
今後、河北町の商工業の方、農業の方が自分の店などの宣伝手段
として、Webページを持っていただけるような環境を積極的に作っ
ていきたいと思います。
*サーバーの構築にはUNIXの知識が必要
Y:ネットワーク関連のシステム構成を見せていただくと、UNIXが
動いているのはファイアウォール [注10] ・サーバーだけで、認証
サーバーやリモート・アクセス・サーバー、メール・サーバー、
Webサーバーは、すべてWindows NTなんですね。
S:私がずっと管理運用するならば、UNIXですべてを設計して運用
した方がやりやすかったと思うのですが、3〜5年程度で人事異動
があることも考えられます。「そうなった場合、サーバーがUNIXだ
と敷居が高いかな」という判断もあって、GUIに優れたWindows NT
で各種のネットワーク・サーバーを構築することになりました。
いまの段階だと、UNIXを使う方がベストだという感覚は持ってい
たのですが、結果的には、ファイアウォール以外はすべてWindows
NTになりました。ファイアウォールは、IIJがパッケージとして提
供しているBSD/OS+gauntlet 3.1+IIJパッチをPC上で走らせてい
ます。
このパッケージはIIJが一式提供するもので、こちらが「これこ
れこういう風にやってね」というと、IIJの担当者が設定し、でき
あがったものを納入してくれます。そこからの管理は各プロバイダ
に任されますが、管理マニュアルもあるので、それに従って管理し
ます。
これ以外のマシンはすべてWindows NTを使っていますが、この管
理はWindows NTの操作マニュアルの知識だけではできず、結局、ネッ
トワーク概念はUNIXの本(とくにナッツシェル・シリーズ)で勉強
することになります。
T:たとえば、「ユーザー認証は何のために必要なのか?」という
ような、UNIXを使っている人は当然のこととして知っていることを
理解しておかないと、いくらWindows NTがGUIに優れていても各種
ネットワーク・サーバーは構築できません。UNIXを使うか、
Windows NTを使うかという以前に、その概念を理解しておく必要が
あり、それらはすべてUNIX側の知識なんですよね。たとえば、ワー
プロ専用機を使う場合も、Windows 95上のワープロ機能を使う場合
も、「ファイルの保存とは?」などという基礎知識を知らないと使
えないのと同様です。
S:また、マイクロソフトのTCP/IP [注11] には独自にWindowsと
の互換を保つための拡張機能が付加されています。これだけでもファ
イル共有ができてしまうので、UNIXに慣れたユーザーは気をつけな
いといけません。
T:ローカルでネットワークを組むだけなら、Windows NTをサーバー
にして、そこにWindows 95とMacintoshを接続する方がUNIXよりも
簡単だと思います。しかし、よりグローバルにネットワークを構築
する場合を考えると、現時点ではUNIXの方が有利ですね。
S:結論としては、「両方にメリット/デメリットがあるので、サー
バーにどちらを使うかはケース・バイ・ケースで選びましょう」と
いうことでしょう。
Y:ネットワーク接続に関する苦労話などはありますか。
S:カテゴリー5の300メートル巻きのケーブルを購入し、適当な
長さに切断してコネクタ処理をしていきました。しかし、そのLAN
ケーブルがメーカーの不良品だったのか、ネットワークをすべて引
き終わってから通信できないことが分かり、結局、すべてはがして
引き直すことになりました。2度目は、一番信頼のおけるメーカー
のケーブルを手配しました。あれには参りましたね。「ケーブルは
ケチるな。信頼のおけるメーカーのものを最初から使え」という教
訓ですね。
*UNIXを使うことは高嶺の花だった
S:このところのインターネット・ブームとPC UNIX(Linuxや
FreeBSDなど)人気の相乗効果で、UNIXの認知度も高くなりました。
私はもともとMacintoshユーザーだったので、UNIXは職人の道具と
いうイメージを持っていました。WindowsやMacintoshが近所のスー
パーでも売っている一般的なカンナや金づちであるのに対して、
UNIXは大工職人が使うカンナや金づち [注12] という感じですね。
T:パーソナル・ユースの世界が広がる前のUNIXは、PCの何倍もす
るWSを購入しないと使えなかったわけですから、一般の人は手が出
ない「職人の道具」そのものですよね。私がUNIXのソフトウェアを
開発していたころ(約6年前)は、UNIX関連書籍は種類が少ないう
えに価格も高くて、個人ではなかなか購入できませんでした。現在
では、PCの書籍とほぼ同じ値段で購入できますし、種類も増えまし
たね。
S:私はUNIXをまったくの独学で学んだのですが、当時はUNIXに関
する書籍はほとんどありませんでした。雑誌などに「インターネッ
トで聞けばよい」と書いてあっても、そもそもインターネットに接
続する手段がないのだからどうしようもありません。
初めてインターネットに接続できたのは、いまから4年ほど前(
’93年)のことでした。当時はまだ、IIJのアクセス・ポイントが東京
にしかなかった時代で、東京に電話をかけてMacintoshでUUCP接続
していました。最初は、「インターネットは学術関係のネットワー
クだから、怖そうだな〜」とビクビクしながらアクセスしていまし
たね。
一時期WSが欲しいとも思いましたが、SPARCstation 2が何百万も
した時代ですから、とても役場の初任給では買えません。しばらく
してFreeBSDの存在を知り、中古のPC/AT互換機を5万円程度で購入
してFreeBSDをインストールしました。
PC UNIXの認知度が上がってくるとともに私もUNIXについて覚え
ていき、また書籍での勉強によって、ある程度詳しくなりました。
でも、まったくの独学ですから、専門用語の正式な読み方 [注13]
が分からない場合が多いのです。メディアシップのネットワーク
構築はインクリメントP [注14という会社の方にお願いしたのです
が、打ち合わせのときに「バインドが、……」といわれて、しばら
くたってから「あ、BINDのことだ」と気づくという感じでした。
まともに読めたのは、sendmail(センドメール)ぐらいだったと思
います。雑誌や書籍からの知識はあっても、だれかがそれについて
しゃべっているところを聞いたことがなかったのですから……。
Y:UNIX関連の専門用語 [注15] の場合、読み方が何通りもある場
合が多いですからね。私も、ルート訪問先でお互いの用語の読み方
が異っているために、話が通じないことがありました。ところで、
佐藤さんのご自宅のFreeBSDマシンでは、どのようなことをなさっ
ているのでしょうか。
S:まず、IIJの個人アカウントに届くメールを ~/.forward ファイ
ルを使って、メディアシップに転送しています。これは、cron で定
期的にIIJのPOPサーバーにメールを読みに行かせてメールを取り込
み、それをメディアシップに転送させています。さらに、特定の相
手からのメールが届いたときにはポケベルを鳴らすような使い方も
しています。メールのスプールを定期的に監視して、あらかじめ設
定したメール・アドレスがfromにあるかどうか確認し、もしある場
合はベルを鳴らしています。これは、pockebellというツール [注16]
を使っています。
それから、自宅にはFAXがないので、FAXから届いたデータを
FreeBSD側で受信し、そのままメディアシップにメールで送信して、
こちらで印刷するというようなこともしています。
これは、「Linuxを256倍使うための本」という書籍 [注17] の中で
「FAX送受信」の方法が紹介されていたので、参考にしました。受
信したデータを別の場所に転送する方法までは書かれていなかった
ので、G3形式をBMP形式に変換して、自分あてメールにそれを添付
して送るという方法で自動転送しています。
「ポケベルを鳴らす」のも「FAXの転送」も、FreeBSDを使い始め
て間もないころ、小さなコマンドを組み合わせることで便利に使え
るUNIXが楽しくて仕方がなくて、遊んでいたときのものです。
Y:ということは、ご自宅のFreeBSDマシンは常時電源オンなんで
すね。
S:はい。ある留守中、祖母に電源を落とされたこともありました:-)。
最近は、このマシンとは別にWindows 95の入っているノートPCに
BOW(Bsd On Windows)を入れており、そこでMuleやPerlやawkなど
のツールを使ってます。BOWを使えばWindows 95の画面はそのまま
にして、PerlやawkのUNIXツールが動きますから、お勧めのソフト
ウェアですよね。難点は、デーモンが動かないぐらいでしょう。
Y:BOWのCD-ROMには、mhやLaTeXなどの各種UNIXツールがバイナリ
で提供されていて、本当に偉大なソフトウェアだと思います。
S:一般的な会社ではWordなどのファイルで文書を統一しているわ
けですから、Windows 95は(好き嫌いはともかく)使わざるを得な
いOSです。
Y:確かにWord形式の文書ファイルが、当然のようにMIMEエンコー
ドされてメールで送られてくることもありますしね。私は、tm [注18]
を使ってMIMEデコードして対処していますが。今回は、とても
具体的なお話が聞けたと思います。
S:通常のルートさんに比べれば、私たちはネットワーク構築の素
人ですから、システムの内部がどうなっているという話はできませ
んでしたね。ただ思うのは、技術があまりに詳しいと、思考がどう
しても技術一辺倒になりがちではないかということです。問題は何
をやりたいかであって、結果的にそれができればよいわけなのに、
技術が分かりすぎていることで逆に視野が狭くなり、やりたいこと
が見えなくなってしまうこともあるのではないかと思います。その
意味では、私はやりたいことが先にあって、そのために必要な技術
を求めるタイプですから。
Y:なるほど。それはとても大切なことですね。今日は、どうもあ
りがとうございました。
[注1] 河北町交流プラザ「メディアシップ」
世界各国で急速に進展しつつある「情報化」に積極的に対応してい
くため、 ’97年4月にオープンした河北町の施設。施設内には各
種情報機器がそろっており、1階はコミュニティコート、2階はワー
クキャビン、3階はネットデッキと名付けられている。ここでは、
主に施設内設備の利用、ダイヤルアップIP接続、ホームページ掲載
サービスなどを行っている。所在地は宮城県桃生郡河北町成田字小
塚。詳しくは、http://www.mediaship.ne.jp/ を参照。
[注2] コセキ(株)
仙台市に本社を構える、「記録と再生に関する商品と、システムと
サービスを提供する」総合商社。メディアシップの情報機器設備の
全般を担当している。
[注3] 旅行気分
河北町へのアクセスは、次のとおり。東京9:56発の東北新幹線に乗
り、11:45に仙台着。仙台12:00発の快速「うみかぜ」に乗り、
12:56に石巻着。そこからタクシーに乗り20分程度でメディアシッ
プに到着。帰りのタクシーの運転手さんは、「メディアシップのよ
うな施設ができることで、子供たちに最新のPC環境を体験させてあ
げられることは、大人としてうれしいことだ」といっていた。
[注4] 建物のイメージである船
施設の傍らには北上川が流れており、メディアシップはかつて北上
川を往来した「交易船」をイメージしているとのこと。建物自体は
総ガラス張りで、関西空港や、新しい京都駅と似ている。
[注5] 非常に幅広いです
’97年6〜9月のPCセミナー受講者(143名)の年齢・性別の内訳
は以下のとおりである。
年齢 男 女
==============================
10才未満 0 2
10代 3 5
20代 9 14
30代 16 37
40代 19 21
50代 3 4
60代 6 0
70代 1 0
80代 1 0
不明 2 0
==============================
計 60 83
==============================
[注6] プロバイダ業務
インターネットへの接続を提供する組織。インターネットへアクセ
スするには、何らかのプロバイダと契約して接続しなければならな
い。なお、営利のプロバイダは、第二種電気通信事業者の登録・届
け出が必要である。
[注7] IIJ
日本の商用インターネット・サービス・プロバイダの1つ。正式名
称は、株式会社インターネットイニシアティブ(Internet
Initiative Japan Inc.)。 ’92年12月に設立され、 ’93年7月
にUUCPサービスを開始した。
[注8] CU-SeeMe
シーユー・シーミーと読む。米コーネル大学(Cornell University)
が全米科学財団の助成を受けて開発したPC用テレビ会議システム
(Video Conference System)。CUは、Cornell Universityの略。
ビデオを利用したチャット・システムの一種であり、リフレクター
と呼ばれるサーバーにログインして、そこに接続している参加者と
会話する。ビデオ・キャプチャ・ボードやビデオ・カメラ、サウン
ド・カードといった、通常の設備を用意するだけで利用できる。し
かし、動画像を取り扱うことから、CU-SeeMeを使うとトラフィック
が増加し、同じドメイン内の通信を阻害することがある。
[注9] ネーム・サーバー
ホスト名とIPアドレスの対応表を持つサーバー。通信したい相手ホ
ストのIPアドレスが分からない場合、このネーム・サーバーに問い
合わせると通知してくれ、そのネーム・サーバーが分からなければ、
上位のネーム・サーバーに問い合わせる。
[注10] ファイアウォール
インターネットと企業内LANなどの間に設置し、企業内LANなどを不
正進入から保護するシステム。IPアドレスの識別によって特定のパ
ケットだけを通過させる単純なものから、Proxyサーバーを用いる
ものまで、さまざまな防御手段が存在する。
[注11] TCP/IP
Transmission Control Protocol/Internet Protocolの略。米国の
ARPANETというネットワーク用に開発されたプロトコル。TCP/IPの
上位のアプリケーション・プロトコルとして、電子メールのSMTP、
ファイル転送のFTP、仮想端末のTELNET、ネットワーク管理のSNMP
などがある。
[注12] 大工職人が使うカンナや金づち
このカンナや金づちを、錆びないように磨かなければならない様子
は、UNIXの世界と同じように思う。本来は道具であるべき「カンナ
や金づち」を、常に新しいものにバージョンアップしているうちに、
そのための時間や興味がカンナや金づちで大工仕事をする時間を減
らしてしまうのは本末転倒だろう。ただし、ある程度は磨くことも
必要であり、よりよいバランスを保つことが一番難しい。
[注13] 専門用語の正式な読み方
取材時に読み方を議論した用語は、alias(えいりあす)、ARP(あー
ぷ)、CERN (せるん)、GNU(ぐにゅー、ぐぬー)、IPv6(あいぴー・
ぶいろく)、IEEE(あいとりぷるいー)、Linux(らいなっくす、
りにっくす、りぬくす)、MAC Address(まっく・あどれす)、
majordomo(めいじゃーどーも)、NetBEUI(ねっとびゅーい)、
~(ちるだ、にょろ)などである。
[注14] インクリメントP
メディアシップのネットワーク設計を担当されたのは、インクリメ
ントP(株)の藤井 浩さん、中野年章さんである。インクリメント
Pは東京の企業であるため、藤井さんたちは東京からこちらへ出張
してネットワークの設計を担当された。メディアシップを、今回の
ルート訪問先として紹介してくださったのが、藤井さんである。イ
ンクリメントPについては、http://www.IncrementP.co.jp/ を参照。
[注15] UNIX関連の専門用語
「UNIX 用語 由来/読み方辞書」(
http://www.cjn.or.jp/docs/dic/unix-term-dic.html )
には、UNIX関連用語の読み方が列挙されている。
[注16] pockebellというツール
ソニーの河野真治さんが作成してfj.sourcesに流されたPerlスクリ
プト。これは、東京テレメッセージとNTTドコモのポケット・ベル
をUNIXから呼び出すプログラムである。主な機能としては、(1)仮名
英数字を受け取ってポケット・ベルのシーケンスに直す、(2)モデム
を使ってポケット・ベルを呼び出す、(3)電子メールからポケット・
ベルを呼び出す(~/.forwardやaliasesのフィルタとして使う)と
いったものがある。
[注17] 書籍
この書籍は、「Linuxを256倍使うための本(改訂新版)」
(生越昌己・大内和博・阿倍博信 共著、アスキー出版局、
ISBN4-7561-1098-3)である。この中の155〜122ページにかけて、
FAXの送受信法が解説されている。
[注18] tm
tm(Tiny Mime)は、MuleやXEmacsなどを含むEmacs全般でMIMEを扱
うためのEmacs-Lisp。作者は守岡知彦さん。
以上
(UNIX USER誌連載「よしだともこのルート訪問記」より)
http://www.tomo.gr.jp/root/ に戻る