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第17回 天文台の里にて、ビデオ会議で星を数える
- Subject: 第17回 天文台の里にて、ビデオ会議で星を数える
- From: みさと天文台 尾久土正己(おきゅうど まさみ)さん
- Date: 1996.06
1996年6月号 UNIX USER誌掲載「ルート訪問記」の過去記事
第17回 天文台の里にて、ビデオ会議で星を数える
今回は、和歌山県海草郡美里町にある町立「みさと天文台」 [注1]
の天文台長の尾久土正己(おきゅうど まさみ)さんを訪ね、イン
ターネットを通じて世界に情報を発信している同天文台についてお
聞きしました。インタビューには、研究員の坂元誠(さかもと ま
こと)さんにも加わっていただきました。
*人口5千人の町のインターネット
私(以下Y):はじめまして。ここ、美里町 [注2] は本当に自然
に囲まれたいいところですね。このようなのどかな町が、インター
ネットによる地域振興を進めていると聞き、意外に思って取材に伺っ
たのですが、すでにずいぶんと浸透されているようですね。
尾久土さん(以下O):はい。1996年度、美里町のすべての小中学
校(小学校5校と中学校2校)が、インターネットでつながる予定
です。INSネット64 [注3] を使って、すべての学校で、「どこで
もインターネット」を実現するのです。町の学校すべてというのは、
日本初でしょうね。そうなると、美里町出身の’99年以降に社会人
になる人たちは、すべてインターネット世代というわけです。
Y:「すべてが」ということに、意味がありますね。将来、“回覧
板をインターネットで回そう!”ということになったときのことを
考えると。
O:そういう意味で、美里町は全国で一番進むでしょうね。実は、
この町のほとんどが小規模校なので、大きな学校の1校分の費用で
すべてできてしまうのです。過疎を逆に魅力に変えているわけです。
町の中心にある学校には、十数台のパソコンを入れますが、その
他の全校生徒が十数人の学校には1台だけ置けば十分に間に合うの
です。
インターネットというと、どうも遠く海外とつながなくては意味
がないといった考えがありますが、国内のごく近い地域を結ぶだけ
でも十分に意味があります。
まずは、これらの学校で一緒に授業をさせたいと考えています。
小規模校は友達が少ないので、ホーム・ルームをい一緒に実施した
り、休み時間にテレビ会議で雑談したりできるでしょう。
Y:子供たちは、本当に自然に使いこなしていくでしょうね。
O:まあ、たまには遠くの人々とも交流するでしょうけど、それは
どこでもやっていることなので、町の中の交流にこそ期待したいで
すね。役場にもインターネットに接続したパソコンを置くことになっ
ているので、「美里町について考えましょう」という授業なら、子
供たちと役場の町長が自由に話ができるようなことも、インターネッ
トを使えば簡単でしょう。
もう1年後には、もう実現できていますよ。学校ごとにシステム
管理者を置くのは無理ですから、「それはすべて天文台の方でやり
ますよ」ということなんです。メール・サーバー、ニュース・サー
バー、WWWサーバーはここで集中管理しますから、各学校側はユー
ザーに徹していればよいのです。
Y:みさと天文台がセンターとなって、町の人が利用するというス
タイルですね。いまでも、町の人にここのコンピュータは開放され
ているそうですが。
O:はい、そうです。町内用のサーバーを2台、新しく準備する予
定です。マシンは1台がSPARCstationで、もう1台のIndyをビデオ・
サーバーにして、町のイベント関係の動画を編集しておき、オン・
デマンドで提供していきたいと思っています。いわゆるインターネッ
ト上の放送局を立ち上げて、生で流す情報とオン・デマンドとの2
本立てでいきたいですね。
Y:こういうことは、まだ数年先のことだと思っていましたが、考
えてみれば、いま、すぐにできることだったんですよね。こんなに
小さな町で。
坂元さん(以下S):ただ、ここまでこぎつけるには、最初のうち
は苦労も多かったのです。当天文台では、毎日のように停電すると
いう時期がありました。電力会社は、こんな小さな町でWSが動いて
いるなどと思いもよらなかったのでしょう。たびたび予告なしで停
電を実施されてしまい、われわれが停電地獄におびえる日々が続き
ました。さすがに最近はおさまりましたが。
*UNIXをサーバーにしたシステム構成
Y:ここのシステム構成について、教えていただけますか? この
天文台には、日本最大口径(105cm)の反射望遠鏡があって、コン
ピュータで制御されているんですよね。
O:はい。この天文台から外部への接続には、デジタル専用線 [注4]
でORIONS [注5] につないでいます。
望遠鏡カメラ制御ソフトは、Windows上のものです。専用ソフト
でカメラを制御し、撮像した画像をFTP [注6](Chameleon [注7])
で画像解析用のSPARCstation 4に転送する作業をしています。また、
天体画像解析専用のソフトウェアであるIRAFは、主にX [注8] 上
で使われているものですが、ここでは、OpenWindows [注9] 上で
動かしています。
IRAFはDECやHPのWS上でも動いていますが、日本のユーザーは圧倒
的にサンが多いということで、安心して使えるとの理由で同社の製
品を使っています。まだSunOS [注10] を使っている人が多いよう
ですが、ここでは思い切ってSolaris 2.4を使っています。
Y:この天文台で、UNIX WSをこれだけ活用するためには、もとも
とUNIXに詳しい方がおられたのでしょうね。
O:私は、前にいた天文台(兵庫県西はりま天文台)のシステムを
’90年に立ち上げたときに、UNIX WSの管理を行っていました。UNIX
のシステム管理の書籍がまだ日本ではほとんどないころでしたから、
manコマンド [注11] で表示される英語のオンライン・マニュアル
だけを頼りにしていましたね。
西はりま天文台は、WSを中心としたシステムが発達した天文台で、
望遠鏡に取り付けられたカメラで撮影した天体画像がWSに送られ、
天体画像解析専用のソフトウェア(IRAF)を使って解析しています。
また、天体のモデルの計算をしたり、望遠鏡では見ることのできな
い、星や銀河のような天体の内部の仕組みを明らかにするためにも、
WSが使われています。さらに、西はりま天文台では独自のソフトウェ
アの開発も行われており、会話的に天文画像の処理が行える「西は
りまイメージ」 [注12] を、実費で配布しています。
Y:ところで、みさと天文台は、昨年11月には土星の輪が見えなく
なる様子をCU-SeeMe [注13] を使って世界に生中継されて、一躍有
名になりましたね。どのように実現されたのでしょうか。
O:土星の輪の消失中継では、Reflector [注14] は和歌山大、佐
賀大、東北インターネット協議会、徳島大学、長岡技術科学大学、
東京大学など、合計9か所 [注15] が立ち上げてくれました。これ
ほどの数のReflectorを立てていただけたのは、和歌山大の渡辺さ
んが募ってくださったからです。また、佐賀大の学生さんがスタッ
フとして協力してくださったので、スムーズに作業が進みました。
Y:3月の百武すい星 [注16] の中継は、どのようにされたのです
か?
S:百武すい星のときは、10分ごとにホーム・ページに自動的にイ
メージ・データを貼り付けていく形式をとりました。自動更新のた
めのプログラムは、和歌山大の曽我さんが、CGI [注17] で書いて
くださいました。また、今回は、回線の混雑が予想されることから、
回線容量に余裕のある和歌山大にページを置いていただきました。
ハードは、望遠鏡のある塔のデッキに、小さな冷却CCDカメラ+
カメラ・レンズを据え、それを制御するDOS/Vマシン(エプソン
Endeavor)、撮像した映像にタイトルを入れるためのPhotoshopと、
和歌山大に画像データを転送するためのFTPを使用するPower
Macintosh 8100AV、これらをデッキに並べて行いました。撮影、処
理、転送まで一括屋外作業でした。
土星の中継にしろ、今回の百武すい星にしろ、突貫工事で行って
しまったもので、「土星の輪消失」のReflectorとしてかかわって
くださった方々、百武すい星のホーム・ページのCGIの記述にかか
わってくれた方々には、かなり無理をいってしまいましたね。
Y:ではこの誌面で、これらの方々に感謝の意を表しましょう。:-)
*CU-SeeMeを使って天文台からの遠隔授業を実施
Y:ところで、今年の2月に、この天文台から和歌山大学教育学部
附属中学校の1年生の理科の授業「金星の満ち欠け」を実施 [注18]
されたそうですね。
O:インターネットを使って何が実現できるかを考え、1つのアイ
デアが生まれました。それが、時差を利用し、昼の時間帯にある国
から、夜の時間帯にある国の望遠鏡をインターネット経由で使用す
ることです。
これが実現できれば、たとえばアメリカの子供たちがこちら(日
本)の望遠鏡を利用し、こちらの子供たちがアメリカの望遠鏡を利
用して授業を行えるようになります。
Y:なるほど。星がよく見えるのは夜だけど、授業は昼間だから、
別の国の望遠鏡が利用できれば都合がいいというわけですね。
O:はい。新しい技術に詳しい和歌山大の渡辺さん(渡辺健次先生)
と知り合い、何から始めればよいかを一緒に考えていたころ、私が
キューカムを買ったので、渡辺さんとテレビ電話ができるようになっ
たんですね。これは面白いと思い、10月の下旬に沖縄であったJAIN
[注19] のコンソーシアムで私が講演をしたとき、ちょうど、沖縄
で部分日食が見られる時期でもあったので、沖縄とこちらの天文台
との中継を強行しました。その会場で、「次のイベントとして11月
19日に土星の輪が消えるのを、生中継しよう!」ということになり、
先に話したように、CU-SeeMeを使って全国に配信したわけです。
ただ、そのときの感想は、相手が不特定多数だと、天文台からの
一方向の放送になり、せっかくのインターネットの特徴である双方
向性が生かし切れないということでした。そこで、次はCU-SeeMeを
使って特定のグループとの1対1の双方向性の授業をやろうという
ことになり、和歌山大学附属中学校の角田佳隆先生(数学科)の協
力を得て、この学校の1年生の理科の授業を選びました。
これは、ちょうど1年生の理科の学習内容に、太陽系の惑星(とく
に金星)の満ち欠けがあったからです。特別な時間に特別なことを
学ぶのではなくて、ちょうど金星について学ぶ授業に、天文台から
の映像を使った授業を割り込ませることにしたわけです。
Y:なるほど。勉強すべき内容をより具体的に学べるわけですね。
O:最先端の技術を追求するのではなく、どこにでもある簡単な装
置と環境の組み合わせで、教育効果の高い授業をしていくのが僕ら
の役割だと思っています。たとえば、この天文台と和歌山大学附属
中学校との間は、回線速度が64Kbpsしかない [注20] ので、この
速度でできる範囲での実施になりました。
2月20日と22日に2クラスずつ実施したのですが、初日の授業が
終わって1つ分かったことがありました。授業で大切なのは、1番
目が音声、2番目が共通の黒板(ホワイト・ボード)、3番目が動
画だということです。まず、音声が途切れたら授業になりません。
そして、いくら説明しようと思っても、黒板が使えなければ効果が
低くなってしまうことが分かりました。20日の授業では、共通の黒
板が用意できていなかったのです。授業というのは、100年以上黒
板を使って行われてきたわけで、それなしには成り立たないことを
痛感しました。
そこで、22日の授業には、学校側も天文台側も、2台のパソコン
を置いて、1台では「QuickTime Conferencing Kit [注21]」とい
うユーティリティの共有ウィンドウの部分だけを使い、もう1台で
CU-SeeMeを動かして授業を実施した結果、格段に充実しました。
S:同キットには、カラー映像と音声と共有ウィンドウがすべて付
いているので、回線さえ太ければCU-SeeMeとの2本立てではなく、
これ1本だけで遠隔授業が行えたはずです。しかし、同キットは、
音声制御がつながりっぱなしで、常時多量のデータを流します。
そのため、推奨スペックが、128Kbps以上となっていて、ここの
ような64Kbpsの環境はサポートしていなかったのです。そこでわ
れわれは、同キットの共有ウィンドウの部分だけを使うことにして、
会話時だけ音声データを流して(トランシーバのように会話時だけ
クリックする)、CU-SeeMeを併用したのです。
とくに、相手の和歌山大付属中学は付属小学校と同じ回線を使用
していますので、今回の方法でも、映像が止まるなど非常に混雑し
ました。
ただし、小学生が下校したあとの6時間目の授業は、快適に動き
ましたね。
O:CU-SeeMeの製品版がすでに出荷されており、かなり機能が充実
しているようです。QuickTime Conferencing Kitと同じように、映
像はカラーで、共有ウィンドウがついているとのことです。
CU-SeeMeは製品版でも、データ量を抑制できる利点がありますから、
これを使えば、1台のパソコンだけの利用で、映像と共有ウィンド
ウが使えるようになると思います。64Kbpsでは、カラーはしんど
いみたいですけど。これについては、今後、テストを重ねていく必
要があります。
Y:いま、教育現場で先生方が、インターネットの教育への活用を
模索されているようですね。学校関係者のホーム・ページからひし
ひしと伝わってきます。今回の試みは、今後は広まって当たり前の
ことになってくるんでしょうね。
O:近い将来、学校や公共施設にはネットワークが整備されるはず
です。そのとき、相手が附属校で当天文台だからできる授業という
のではなく、普通の学校が、普通の博物館や科学館から気軽に遠隔
授業を実施できるようになるでしょう。たとえば、授業の中の10分
間ぐらい、博物館の方からの説明を受けるようなことが一般化する
のではないかと思います。今回の試みは、そのときの見本になるで
しょう。「こんなすごいことをした」というのではなく、「簡単な
やり方で効果が出ますよ」という意味で。
画像や音声などの問題は、技術者が解決してくれますから、こち
らは運用面のノウハウを蓄積していけばよいのです。インターネッ
トを使った授業はどのように進めれば効果があるのか、お互いの負
担が少ないか、ノウハウを蓄積していきたいですね。今回、比較的
恵まれない環境下で実験を行った経験は、環境がよくなったときに
も無駄にならないと思います。
Y:天文台内のLANは、ATM [注22] のような高速ネットワークでは
なくて、イーサネット [注23] なんですね。
O:現状では、外部が高速なネットワークではないので、ATMなん
てもったいないですよ。64Kbpsで楽々通るくらいの映像しか、当
天文台からは出しませんので。むしろ、モデム・ユーザーを見捨て
たくないですね。
今回の百武すい星で感じたのが、11月の土星中継は大学、研究所、
学校など、職場のドメインからのアクセスが多かったのに、百武の
ときは、個人ユーザーが多数アクセスしてきたことです。あまり宣
伝していなかったのに、大勢の個人ユーザーが頑張って百武情報を
求め、自分自身の力で探してたどり着いたのです。半年で、世の中
が確実に変わってきたことを実感しました。
*インターネットは人と人との距離を縮める
S:この美里町にインターネットが引かれて強く感じることは、都
会でなく不便な場所ほど必要な物だったのだなあ、ということです。
当たり前といえば当たり前なのですが、インターネットが、不便
さやそれに伴う過疎化(高齢化)を防ぐ可能性があるアイテムだと
いうことを強く実感します。
Y:インターネットで町の人が交流できるようになると、年齢を超
えた友情なども深まるように思います。この町に嫁いできた若い女
性などが、ここに古くから住んでいる方々の知恵などをインターネッ
トを通じて引き継いでいくような活用もできたらいいですね。
S:本当にそうですね。人と人とを考えたとき、それを隔てるのは
距離感だけではありません。世代や社会的地位は、距離よりはるか
に厚い壁だと思います。ネットワーク上の世界は、誰もが、あらゆ
る制約なしに出会える場所です。交流を深め、さまざまな情報交換
が行われるようになるでしょう。ただ、それだけではバーチャルな
出会いかもしれませんが、実際に足を運んでその場所、その人に出
会ったときにはかまえることなく自然に溶け込んでいけるのではな
いでしょうか。
この町には埋もれかけている宝物が、たくさんあるような気がし
ます。それをもう一度輝かせるためにインターネットを活用できれ
ば素晴らしいな、と考えています。
Y:すてきな話ですね。今日は、貴重なお話をどうもありがとうご
ざいました。
[注1] 「みさと天文台」
和歌山県海草郡美里町にある町立「みさと天文台」は、1995年7月
7日にオープンした。天文台は、標高430m、山々を一望に見渡せる
森林公園の中にあり、すぐ近くには宿泊できるバンガローもある。
天文台の昼間の施設見学(9時〜18時)は無料。夜間の観望会(19
時〜21時・木〜日のみ)は、大人200円、小人100円。毎週月曜日お
よび毎月第1火曜日休館。
〒640-13
和歌山県海草郡美里町松ヶ峯180
電話:0734(98)0305
FAX:0734(98)0306
電子メール:info@obs.misato.wakayama.jp
ホーム・ページ:http://www.obs.misato.wakayama.jp/mo-e.html
[注2] 美里町
和歌山県海草郡美里町。貴志川や真国川の両川にはさまれ、自然に
恵まれた静かな町。町面積の80パーセントは山林で、杉、檜の良質
材が産出される。美里町の産物には、富有柿、金山寺味噌、棕櫚
(しゅろ)の木(タワシ、ホウキになる)などがある。環境庁の
「星空の街コンテスト」で1988年に入賞した。
[注3] INSネット64
NTT による高速デジタル通信の公衆網サービスの名称。INSとは、
Information Network Systemの略。送る情報や相手の通信機器に応
じて、通話モード、デジタル通信モード、パケット通信モードを自
由に選択して利用できる。1本の契約者回線で、複数の相手と同時
に通信できるのも魅力の1つ。
[注4] デジタル専用線
専用線というのは、あらかじめ決められた2点間専用の回線であり、
その2点間の距離と速度で、NTTに払う回線料金が決まる。料金は
固定制なので、通信するしないにかかわらず、一定の料金を支払う。
会社の事業所間の内線電話などに使われている例が多い。専用線に
は、アナログ回線を使った「一般専用サービス」と、デジタル回線
を使った「高速デジタル伝送サービス」の2種類があり、後者を俗
に「デジタル専用線」と呼ぶ。
[注5] ORIONS(Osaka Regional Information & Open Network System)
大阪地域大学間ネットワーク。学術研究・教育活動を支援する目的
のネットワーク。
[注6] FTP(File Transfer Protocol)
ファイル転送プロトコル。TCP/IP ベースのネットワークでファイ
ルを転送するのに使われる通信規約およびコマンドを指す。
[注7] Chameleon
TCP/IPスタックと多数のインターネットのアプリケーションから構
成されているWindows用の製品。この中にメーラーも含まれている。
販売元はネットマネージ ジャパン。
[注8] X
Xウィンドウ・システムのこと。米マサチューセッツ工科大学のア
テナ・プロジェクトが開発したUNIX環境用のマルチウィンドウ表示
管理ソフトウェア。UNIX上の標準のウィンドウ・システムとして普
及している。
[注9] OpenWindows
サンが正式採用しているウィンドウ・システムの名称。OpenLookウィ
ンドウ・マネージャがその実体。最近は、サンもMotifベースのCDE
を採用しているが、依然としてボタンなどにOpenLookライクな部分
が多数残されている。
[注10] SunOS
サン・マイクロシステムズの OS の1つ。一般的に「SunOS」と呼
ばれているSunOS 4.x は Solaris 1.xのことで、Solarisと呼ばれ
ているのはSolaris 2.x 以上のことである。
[注11] manコマンド
UNIX のコマンドの1つ。「man コマンド名」と入力すると、その
コマンド名のオンライン・マニュアルが、画面に表示される。
[注12] 「西はりまイメージ」を実費で配布
このソフト、名前こそ「西はりまイメージ」であるが、開発は、研
究員の時政典孝さん1人の作品とのことである。入手希望の方は、
西はりま天文台(〒679-53 兵庫県佐用郡佐用町西河内407-2)まで。
[注13] CU-SeeMe
「シーユーシーミー」と読む。米コーネル大学(Cornell
University)が全米科学財団の助成を受けて開発した、パソコン用
のテレビ会議システム(video conference system)。CU は、
Cornell University の略。ビデオを利用したチャット・システム
の一種であり、リフレクタと呼ばれるサーバーにログインして、そ
こに接続している参加者と会話を行う。ビデオ・キャプチャ・ボー
ドやビデオ・カメラ、サウンド・カードといった、通常の設備を用
意するだけで利用できる。しかし、動画像を取り扱うことから、
CU-SeeMe を使うとトラフィックが増加し、同じドメイン内の通信
を阻害することがある。
[注14] Reflector(リフレクタ)
CU-SeeMeのサーバーの名称。リフレクタとは「反射板」を意味する。
[注15] 合計9か所
tia-netman.tia.ad.jp(東北インターネット協議会)、
ishidasparc.cc.u-tokyo.ac.jp(東京大学)、k12.jain.ad.jp
(JAIN コンソーシアム)、pms.nagaoka-ut.ac.jp(長岡技術科学
大学)、cgsrv.nara-edu.ac.jp (奈良教育大学)、
narumi.eco.wakayama-u.ac.jp(和歌山大学)、
challenge.center.wakayama-u.ac.jp(和歌山大学)、
dors.ee.tokushima-u.ac.jp (徳島大学)、poe.is.saga-u.ac.jp
(佐賀大学)
[注16] すい星(comet)
太陽系に属する小天体の1つ。直径1〜10km、質量は地球の1兆
分の1程度。太陽に近づくと表面が溶け、ガスや微粒子が放出され
る。それらは太陽風や放射圧によって太陽と反対の方向に尾を作り、
その姿から「ほうき星」ともいう。百武すい星は、3月26日に肉眼
でも見えるほどになり、北極星の近くで一晩中、長い尻尾を伸ばし
ながら輝いたが、正式には「百武第2すい星」であり、今年1月31
日に新たに発見されたものである。
[注17] CGI(Common Gateway Interface)
Webサーバー上で実行させるプログラム記述に使われる機構のこと。
このプログラムは、CGIスクリプトと呼ばれ、シェル・スクリプト、
Perl、C言語などで記述される。
[注18] 和歌山大学教育学部附属中学校で「金星の満ち欠け」の授業を実施
和歌山大学教育学部附属中学校のWebページは、
http://www.ajhs.wakayama-u.ac.jp/ である。
[注19] JAIN(Japan Academic Inter-university Network)
学術研究を目的としたネットワーク団体。
[注20] 64Kbpsしかない
通産省が文部省の協力のもとに、全国100か所の学校をネットワー
クで結んでインターネットを教育に活用していこうとする「100校
プロジェクト」も、64Kbpsで結ばれている。
[注21] QuickTime Conferencing Kit
AV機能搭載のMacintosh用マルチメディア会議用パッケージ。相手
と向き合いながらテキスト、グラフィックス、音声、動画を扱える。
ビデオ会議向けに最適化されたビデオ・カメラとソフトウェアから
構成される。また、ネットワークの負荷に応じて自動的に帯域幅の
管理と制御を行うネットワーク保護機能を備えている。メーカー希
望小売価格3万9,800円。
[注22] ATM(Asynchronous Transfer Mode)
非同期転送モード。音声、画像、データなどの多種類の情報に対し
「セル」と呼ばれるヘッダ付きの短い固定長パケットを必要数割り
当てることで、統一的に扱う方式。
[注23] イーサネット
米ゼロックスとDEC、インテルが共同で開発、1980年に製品化した
バス構造のローカル・エリア・ネットワーク(LAN)。配線が比較
的簡単で、速度が速く(10Mbps)、装置が安価である。特殊ケー
ブル(同軸ケーブル)が必要である。1つの伝送路をすべてのユー
ザーが共有するため効率が悪く、過負荷に弱い。
以上
(UNIX USER誌連載「よしだともこのルート訪問記」より)
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