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第16回 森を見て木を語り情報処理秘伝を伝授する



1996年5月号 UNIX USER誌掲載「ルート訪問記」の過去記事

第16回 森を見て木を語り情報処理秘伝を伝授する

今回は、京都国際文化専門学校 [注1](京都府京都市)の情報学
科情報システムコースの教員で、プログラミング言語教育担当の
有賀 妙子(ありが たえこ)先生を訪ね、同校のネットワーク環境
と、UNIXとC言語を軸としたプログラミング言語教育についてお聞
きしました。インタビューには、同校でC言語教育を担当されてい
る、北林寛子(きたばやし ひろこ)先生にも加わっていただきまし
た。

==========
[有賀妙子さんからの新規コメント]  

  雑誌記事では、所属する学校のネットワークの発達形態とプログ
ラムを中心とした情報処理教育について紹介していただきました。
あれから3年あまり経過し、いろいろなことが変化しました。大き
な変化は、学校がデザインを中心に学ぶ「京都芸術デザイン専門学
校」へと変わったことでしょう。京都造形芸術大学の姉妹校である
関係から、入学する学生の志向の変化に対応した結果です。

 私の属する情報デザイン学科でデザインの対象は、印刷されるグ
ラフィックデザインとスクリーン上で再生されるメディアデザイン
とに分けられます。メディアデザインではプログラムが欠かせない
カリキュラム要素になっており、C言語ならびにJava言語でのプロ
グラム教育を行っています。

 UNIXを基幹として、Windows、Macintoshが混在するネットワーク
構成には大きな変化はありません(接続台数はかなり膨れましたが)。
今もプログラミングの授業は主にUNIX上で実施しています。もう
Chameleonは引退し、現在はAstec-XというX端末ソフトウェアを使っ
ています。

 デザイン系の授業が増えたことに伴い、ファイルサーバの容量は
巨大に成長しました。MacintoshのファイルサーバとUNIX系サーバ
との連携を図るため、近々Mac OS X Serverを導入する予定です。

(1999.8.9、有賀妙子)
==========


*UNIXを中心とした学内ネットワーク環境を構築

私(以下Y):学内のコンピュータ・ネットワークが拡大されて、
WWWをはじめとするインターネットの機能が、UNIXマシンからだけ
ではなく、各種パソコンからも使えるようになったそうですね。

有賀先生(以下A):はい。以前から、UNIXマシンを中心とした学
内LANを構築しており、専用線UUCP [注2] で外部(ORIONS [注3])
に接続していました。

 今回、そのLANを拡張して、学校全体のコンピュータをネットワー
ク化しました。学内のコンピュータをスイッチング・ハブ [注4] 
につないで、外部(InfoSphere [注5])と、64Kbpsの専用線でIP
接続 [注6] したのです。内部ネットワークは、100Mbpsと10M
bpsの通信速度の線が混在しています。

 外部ネットワークへのアクセスに関しては、オープンにしていま
す。学内のLUNA [注7] 教室、Sun教室、DOS/V教室、Windows 95教
室、Mac教室の各コンピュータから、インターネットが利用できる
ようになっています。それぞれの教室には、20〜40台のコンピュー
タが設置されています。

Y:従来の学内LANがすっぽりと含まれてしまったわけですね。

A:はい。イーサネットを中心としたLANがすでにあったので、今
回のネットワーク化が非常にスムーズにいきました。すでにあるも
のをハブにつないだだけで、全世界につながったわけですから。外
部からダイヤルアップIP接続 [注8] できるように、モデムが4台
用意してありますから、学生や教員が家からアクセスすることも可
能です。

Y:従来の学内LANを外部(ORIONS)にUUCP接続する際の、技術的
な設定やIPアドレスやドメイン名の申請の手続きなどは、すべて有
賀先生がされたそうですが、そのあたりの苦労話をお聞かせいただ
けますか? LUNAがゲートウェイ [注9] になって、外部に接続さ
れていますね。

A:申請手続きはスムーズでしたし、ORIONSのスタッフの方が親切
に相談にのってくださったので、接続もうまくいきました。しかし、
IP接続に移行するする段で1つ問題が出ました。UNIXマシンをメー
ル・サーバー [注10] やDNSサーバー [注11] にする場合、ftpで必
要なソースを取ってきてコンパイルして使うのが常識です。しかし、
それは、SunOSなどのようなメジャーなOSを使っている場合の話で、
LUNA-2のUniOS-UのようなOSを使っていると、なかなかうまくいき
ませんでした。

 たとえば、インターネットを使うための基本的な機能として、
telnet、rlogin、ftpのコマンドがありますね。UniOS-Uのもともと
のtelnetコマンドでも、telnetの後ろにIPアドレスを書けば接続で
きるのですが、通常はホスト名を書きますね。すると、telnetコマ
ンドが/etc/hostsを見て、そこになければネーム・サーバーを見て、
IPアドレスを得て接続します。これは、telnetコマンドが、BIND
[注12] 対応のDNSのライブラリを使ってコンパイルされているから
できるわけで、その機能を持たないtelnetだと、/etc/hostsにない
ホスト名のIPアドレスが調べられないので、接続できないわけです。

 ネットワークに対応したこれらのコマンドが、オムロンのFTPサ
イト [注13] にあるのではと思って調べてみたのですが、残念なが
ら置かれていないようでした。古いLUNAが時代から取り残されてい
くようで、とても残念です。

 ただ、これはLUNAのUniOS-Uを、たまたまネットワーク・サーバー
として使おうとしたときに大変だったというだけで、UNIXの基本教
育やC言語教育には全然問題ありません。これからもここのLUNAた
ちをガンガン使っていくつもりですよ。

 とくに、UNIXマシンは、教室の中でネットワークを利用して使っ
ていくのには、非常に都合よくできていますから。


*学校でUNIXネットワークが発達した理由

Y:UNIXはデフォルトで、ネットワーク対応OSですものね。

A:だから、Windows NT以外のDOS/Vパソコン(Windows 95を含む)
や、Macintoshよりも、ネットワークの運用の面では、ずっと都合
がよいのです。学校というところは、教室のマシンを、いろいろな
生徒が入れ替わり立ち替わり利用するという、ある意味で特殊な環
境ですから、UNIXがマッチしているわけです。

Y:以前に取材で訪ねた学校の先生 [注14] も、同じことをいって
いました。それが、UNIXが学校関係のコンピュータ・ネットワーク
に広く普及した理由の1つであろうと。

A:そのとおりです。UNIXマシンを使っているかぎり、生徒に届い
たメールは、どのマシンで読んだものでも、自分のディレクトリに
保存できます。次の授業で別のマシンの前に座っても、まったく問
題なく、前に自分に届いたメールへの返事が書けます。

 しかし、パソコンの場合はそう簡単にはいかないわけです。パソ
コンでは、一般的にメールを読んだときに使っていたマシンのハー
ドディスクに、届いたメールがたまってしまいます。会社などのよ
うに、自分のデスクに自分のパソコンがある場合はそれでいいので
すが、学校などの場合はこれでは困ってしまいます。

  そこで、本校では、MacのEudoraというメーラー [注15] を使っ
てメールを読み書きする場合には、自分に届いたメールをフロッピー
ディスクに保存させています。生徒は、常にフロッピーディスクを
持ち歩き、そこに自分に届いたメールを保存して持ち歩くのです。

 Windowsの場合もほぼ同じ運用を行っています。Chameleon [注
16] のメーラーに、メールを読む人の名前を登録しておける機能が
あり、メールを保存するディスクも設定できるので、保存先をAド
ライブにして、生徒にフロッピーディスクを持ち歩かせています。

Y:そういう話を聞くと、「やっぱり学校のネットワークはUNIXよ
ねえ」と、声を大にしていいたくなりますね。

A:私たちみたいに、ごく自然にUNIX上で個人のメール・アドレス
と、自分のホーム・ディレクトリを持っていれば、自分のホーム・
ディレクトリとシステムのディレクトリとはきちんと分けられてい
るのが当然だと思うでしょう。

 でも、困ったことにパソコンの世界はそうではありません。たと
えば、Eudoraで普通にメールを読むと、届いたメールがシステムフォ
ルダの下の特定のディレクトリにたまっていくし、そこに個人の環
境ファイルもできるんですよ。自分のファイルとシステム・ファイ
ルは別の場所にあるのが常識であるものにとっては、信じられない
世界ですね。

Y:そう、そう。信じられないけど、そうなんですよね。私も、最
初にWindowsのディレクトリ構成を見た [注17] とき、「何これー?」っ
て驚きました。

 家や会社で1人で使っている分には、あれで問題はないけれど、
ネットワーク化された環境で複数のユーザーが共有して使うには苦
しいですよね。UNIXを使い続けてきた者にとっては、ちょっと許せ
ないものがある。:-)

A:今回のネットワーク規模の拡大によって、私のシステム管理の
枠に、突然パソコンの世界が入ってきたわけで、大変だと思えるこ
とは多々ありますね。

 逆に、これまでスタンド・アロンのパソコンで、ワープロや表計
算ソフトの教育を担当してきた先生方には、このようなネットワー
ク環境を理解してもらう必要があります。パソコン自体には個人の
ユーザー・アカウントはないけれども、そこで自分に届いたメール
を読む環境を持つ限りは、どこかに自分のユーザー・アカウントが
あるのです。だから、それをきちんと意識していただきたいと思っ
ています。

Y:これまではスタンド・アロンで使われていたパソコンが、突然、
インターネットという世界につながったわけですから、しばらくは
運用面で大変なことが続くでしょうが、頑張ってくださいね。


*UNIXをベースとしたC言語教育の現状

Y:では、次はいよいよ、UNIX教育、C言語教育の話に移っていき
ましょうか。本校では、4年前から本格的にUNIXとCを基本とする
情報処理教育が始まったのですね。

A:はい。UNIX教育の大きな柱は、ディレクトリの概念などファイ
ル・システムの基本教育と、ftp、mail、telnetなどのネットワー
ク・コマンド教育ですね。

 UNIXをある程度使える素地ができてから、1年生と2年生の2年
間にわたって、C言語を週6時間、みっちりと勉強していきます。
北林先生には、2年生の授業のC言語の教材を作ってもらって、こ
れがかなり効果を上げました。

北林先生(以下K):1年生で基本的な文法は終わっているわけで
すから、2年生では、1学期が終われば1つのシステムが組めてい
るという教材にしました。よくある簡単な「在庫管理システム」 
[注18] です。

 この教材を作る前は、2年生でも授業ごとに1つのプログラムを
教えていたので、基礎をすでにマスターしている生徒とそうでない
生徒の両方を満足させることは難しかったのです。しかし、現在の
教材を使い始めてから、1人1人がマイペースで自分で歩いていく
ようにしてみました。できる生徒はどんどん進み、そうでない生徒
は基礎を復習しながら進んでいくこととなり、生徒側の満足度は高
くなったと思います。その分、教える方は大変になりましたけど。:-)

A:卒業研究では、グループでプログラムを開発させるのですが、
この教材を使ったC言語の授業が実施されるようになって、スムー
ズに卒業研究ができるようになりました。自分の手でシステムを1
から作り上げた経験が生かされています。現カリキュラムによって、
彼らはプログラム開発の道筋をより理解できるようになったからで
す。これは、設計書を作成し、プログラムをモジュール化 [注19] 
し、さらに1つの関数として実際にコーディングする流れを、「在
庫管理システム」の教材を通じて学んだからです。

 そのおかげで、卒業研究では自分で設計書を書くところからスター
トできるのです。全体像が見えるということは、とくにプログラミ
ングが不得意な生徒にとって、大変貴重なことです。

Y:そうそう。プログラミング言語を使ってシステムを作り上げる
という全体像を知っていてこそ、hello world [注20] を出力する
プログラムの実習に意味が見い出せるんですよね。

K:Makefile [注21]、ヘッダー・ファイル [注22]、マクロ [注
23]、内部変数 [注24] の意義、分割コンパイル [注25] のメリッ
トなどいくら口で説明しても、実際に経験してみないと分かりませ
ん。実習していく過程で「なるほど」と分かっていくものですから。
2学期は、グループ分けして、複数の生徒で1つのシステムを作り
上げるようにしたかったんですけど。

A:卒業研究がそれですよ。でも、結局は、プログラムを書いてい
るのは1人で、プログラムが読み込むテキストを考えて打ち込んで
いる人、エンディング画面を作っている人、使い方などのドキュメ
ントを書いている人と、自然に分業制になっていますね。それぞれ
がまた、すごく楽しそうにやっているんですよ。ある程度、動くよ
うになったら、「ここをこうしたら、よりよくなるんじゃないかな」
といった工夫を、お互いが提案し合って、機能が追加されていくん
です。

Y:分業による作業など、実際の会社でのプログラム開発作業に通
じるものがありますね。UNIXとC言語を軸とした教育が、4年たっ
て、本格的にうまく回っているというのを聞いて、私もうれしく思
います [注26]。


*C言語教育の今後

A:いまは残念なことに、UNIXを使ってC言語を教えているという
メリットがあまり出せていません。情報処理技術者試験の二種の問
題を意識すると、マシンに依存する部分を減らさざるをえないので
す。

 UNIXのプロセス間通信を使った簡単な例としては、一方で
「hello」と打つと、他方のマシンで「hello」と表示されるといっ
た、すごく簡単なプログラムが考えられますよね。この簡単なプロ
グラムも、世界規模でネットワークが構築されているUNIXを前提と
して考えることで、より大きな可能性が見えてくるわけです。その
ような姿勢で、プログラミングを教えていきたいですね。

 言語文法というのは、プログラミング教育の中の要素としてはほ
んの小さな部分ですよね。制御の流れ、アルゴリズム [注27] など
の思考能力などが圧倒的に大きいわけです。ですから、それらを最
初に徹底的に教えたうえで文法を教えてこそ、プログラムが書ける
ようになると思うのです。

 昨年度、この学校の1年生を対象に、1年間のプログラミング教
育の前後で、論理的分析力 [注28]、手順解析力 [注29]、データ解
析力 [注30]、論理的思考力 [注31] が、どれくらい変化するかを
調査してみました。その結果を論文 [注32] にまとめて、平成7年
後期の情報処理学会で発表しました。結果は、「論理的分析力と手
順解析力は向上するが、データ解析力と論理的思考力は変わらなかっ
た」のです。この理由として、プログラミングというのは、複雑な
仕事を構造化・抽象化して、それを記述するという2段階のプロセ
スから成り立っていることがあげられます。

 はじめの段階で、生徒にかみ砕いたアルゴリズムを一方的に与え
すぎているため、抽象化された視点から問題をとらえる段階の教育、
すなわち、アルゴリズムを自分で作るあたりの教育が不足していた
というのが、この調査から得た結論です。

 早い段階で生徒に「処理の流れは自分で決めるもの」という意識
を植え付ける必要があると思います。C言語文法教育において、す
でに素養のあるプログラミング経験者と、まったくの未経験者では
カリキュラムを根本的に変える必要があるということでしょうね。

Y:なるほど。ところで、最近、オブジェクト指向言語、とくに
Java言語 [注33] が [注目されていますね。Java言語は、私たち3
人が以前使っていたGMWウィンドウ・システム [注34] 上で使われ
ていたG言語によく似ていますね [注35] 。オブジェクト指向言語
についても、教えていく必要性が高くなっていますね。

A:実は、オブジェクト指向言語の概念を、Xウィンドウ・プログ
ラミング(C言語+Xツールキット [注36] +Motifウィジェット・
ライブラリ [注37])環境で演習することが可能か否かを試みまし
た。それについては、「Xウィンドウ・システムによるオブジェク
ト指向プログラミング教育 −ウィジェット・ライブラリを使って
の演習の試み−」としてまとめて、情報処理学会に投稿しました 
[注38]。いまある環境で、お金を使わず、新しい言語も導入せずに、
それでなんとか生徒にオブジェクト指向言語の概念を教えられない
かと思い、検討しました。

 Xウィンドウ・アプリケーションをツールキットとウィジェット・
ライブラリを使って書くなどというのが、少々時代遅れであるのは
十分承知しています。それでも、いったんはごりごり書く苦しみを
知ってもらいたいという思いと、GUIツールのほとんどがオブジェ
クト指向であるその意味を知ってほしいとの思いがあります。

 もちろん、制約点は多々あります。C言語はオブジェクト指向言
語ではないわけで、ただオブジェクト指向ライブラリを使っている
だけですから。

 Javaは、オブジェクト指向プログラミングと、HTMLからスタート
したマルチメディア技術がクロス・オーバーするところに位置する
と思っています。私自身は、Javaを使うことで、ホーム・ページで
字が踊ったりすることにはあまり興味はないのですが、Java言語を
使うことによって、その人のプログラミングのアイデアをより明確
に表現できたりする点には注目しています。オブジェクト指向言語
が楽しく学べる手段かもしれませんから。

 たとえば、卒業研究で、生徒自身が「何か楽しいものが作りたい」
と思ったときに、Javaが生徒のアイデアをより膨らませ、より明確
に表現できるものである可能性は高いわけです。その可能性に期待
しつつ、いまのうちから十分に準備を行い教材を整え、世で十分に
認められたときに授業に取り入れていきたいと思っています。

Y:今日は、貴重なお話をどうもありがとうございました。


[注1]  京都国際文化専門学校

Kyoto Academy of International Culture(KAIC)瓜生山(うりゅ
うやま)学園によって京都北白川に開学された専門学校。国際交流
と産学協力体制が特徴。詳しくは、 http://www.kaic.ac.jp/ を
参照のこと。

1999年現在、学校名が「京都芸術デザイン専門学校」に変っている。


[注2]  UUCP(Unix to Unix Copy Protocol)

UNIXシステム間で電話回線を使用してファイル転送を行うためのプ
ロトコル。


[注3]  ORIONS(Osaka Regional Information & Open Network System)

大阪地域大学間ネットワーク。学術研究・教育活動を支援すること
を目的とするネットワーク。


[注4]  スイッチング・ハブ

ハブとは、スター型のネットワークをとりまとめるデバイスであり、
コンセントレータとも呼ばれる。スイッチング・ハブは、複数の経
路が同時に使えるタイプのハブのこと。


[注5]  InfoSphere

NTT PCコミュニケーションズによる商用インターネット・サービス。
詳しくは、http://www.sphere.ad.jp/ を参照のこと。


[注6]  IP接続

常時、外部のネットワークとTCP/IPを用いて接続されている形態を
指す。専用線などを用いた接続のため、各種インターネット・サー
ビスを高速に受けられる。


[注7]  LUNA

オムロンのWS。LUNAといえば、1990年に世界初のマルチプロセッサ
WS(MC88100×4チップ、OSにMachを搭載)として登場した
LUNA-88Kが有名である。この学校にあるのは、1991年発売のLUNA-2
(MC68040)で、OSは、SYSV系のUniOS-U。


[注8]  ダイヤルアップIP接続

商用プロバイダなどのホスト・コンピュータに、PPPやSLIPを用い、
そのつどダイヤルしてIP接続すること。一般公衆回線を使い安価に
IP接続できる。


[注9]  ゲートウェイ

複数のネットワーク間の接続をつかさどるマシン。ここでは、外部
と内部のネットワーク接続を行っている。


[注10]  メール・サーバー

メールの配送を行うマシンのこと。メール配送機構の中核をなして
いるのは、このサーバー上でデーモンとして動作しているsendmail
とPOPである。


[注11]  DNSサーバー

各サイト(WANの最小単位をなすLAN)内でIPアドレスとホスト名の
参照関係を管理するサーバー。通信相手のIPアドレスが不明な場合
に、DNSサーバーに問い合わせるとIPアドレスが返ってくる。そこ
で名前解決ができない場合には、より上位のDNSサーバーに問い合
わせが行われる。 [注12 BIND(Berkeley Internet Name Daemon)イ
ンターネットのDNSサーバーの実装のうち最も広く普及しているも
の。


[注13]  オムロンのFTPサイト
 ftp.wg.omron.co.jp  


[注14]  以前にルート訪問で訪ねた学校の先生

1995年12月号で訪問した、星稜女子短期大学(金沢市)の沢野伸浩先生。


[注15]  Eudoraというメーラー

もともとMacのメーラーとして広く使われていたものだが、Windows
3.1/95用のものも出ている。国内ではクニリサーチインターナショ
ナルが販売している。


[注16]  Chameleon

TCP/IPスタックと多数のインターネットのアプリケーションから構
成されている製品。この中にメーラーも含まれている。販売元はネッ
トマネージジャパン。


[注17]  Windowsのディレクトリ構成を見た

「UNIX命」の著者ではあるが、たまたまWindowsパソコンにかかわ
る機会を持った。詳細を知りたい方は、書籍『するするできるイン
ターネット松田一家のパソコン奮闘記』(吉田智子著,ソフトバン
ク)をご覧いただきたい。:-)


[注18]  在庫管理システムこのシステムの機能概

要は、商品の入庫・出庫に関して、商品ごとに日付、金額、相手先、
在庫数を管理するもの。処理は大きく、入庫処理、出庫処理、検索
処理、決算処理の4つに分類される。


[注19]  モジュール化

プログラミング技法の1つで、一定のまとまった機能を持つ部品ご
とにプログラムを作成する方法。バグ取り作業が効率的に行える。


[注20]  hello world

C言語の教科書として有名な、カーニハン&リッチーのCの本、
 “プログラミング言語C”,
 カーニハン&リッチー,
 共立出版
の最初に、“hello world”と表示させるプログラムが紹介されている。


[注21]  Makefile

コンパイル作業手順を指示するファイルで、xmkmfコマンドなどに
よって生成される。makeコマンドはコンパイル実行時にこの
Makefileを読み込む。


[注22]  ヘッダー・ファイル

ライブラリやシステム・コールの名称など、コンパイル時に毎回使
用する情報をまとめて記述しておくファイル。通例、OS内で用意さ
れているので、それをinclude(取り込み)すればよい。


[注23]  マクロ

この場合、コンパイラの内部で使用できる内部コマンドを指す。条
件コンパイルなど、コンパイル時の作業を記述しておく。


[注24]  内部変数

コンパイル作業時に参照する変数。


[注25]  分割コンパイル

モジュールごとに個別に行うコンパイルのこと。部品をあらかじめ
コンパイルしておくことによって、プログラム全体をコンパイルす
る際に、コンパイルずみの部品はリンクするだけでよく、コンパイ
ル時間の節約、事前に文法チェックをすませておけるなど、メリッ
トは大きい。


[注26]  私もうれしく思います

この学校でUNIXとC言語を軸とした教育がスタートした1992年から
の数年間、筆者はここでUNIXの授業を担当していた。それ以外にも、
日本語のテクニカルライティングの授業も担当していた。その時の
経験が、現在、教えている「ネットワーク・リテラシー教育」に活
かされていると、自分では思っている。


[注27]  アルゴリズム

問題を解決するための手順。プログラムによってある機能を実現す
る際の、処理の流れのこと。


[注28]  論理的分析力

与えられた状況を正しく理解し、評価・判断して、論理的な解答を
導く力のこと。テストでは、文章で与えられた条件を分析し、解答
を見つけられるかを試す。


[注29]  手順解析力

論理的手順を明らかにする力のこと。テストでは流れ図に従い、一
般的問題の手順を追えるかを試す。


[注30]  データ解析力

データを分析し、判断する力のこと。テストでは、示されたデータ
の意味を読み取れるかを試す。


[注31]  論理的思考力

問題を簡潔に表現する力のこと。テストでは、数学的定式化を行え
るかを試す。


[注32]  論文

「プログラミングと分析力・思考力との関係に関する考察」,有賀
妙子,有馬益弘,平成7年後期の情報処理学会第51回全国大会講
演論文集(1)教育−情報処理教育 4G-3。


[注33]  Java言語

サンが開発した、オブジェクト指向言語。インタプリタ形式である
ため、Javaで開発されたアプリケーションは、OSやプロセッサに依
存しない、クロス・プラットフォーム対応となり、アプレットと呼
ばれる。


[注34]  GMWウィンドウ・システム

UNIX上のウィンドウ・システムとして、オムロン、アステック、京
都大学が共同で開発したもの。Wnnとペアで開発された。1989年に
リリースされたGMW Version3(通称GSB)においては、GUIアプリケー
ション開発に並列オブジェクト指向言語のG言語を使用する。


[注35]  Java言語はG言語によく似ている

共通点としては、(1)並列オブジェクト指向言語であること、(2)仮
想マシンが存在し、そこでコンパイルしてシステムにロードさせる
こと、(3)他人の権限で動いているプログラムをロードして実行さ
せるときにはセキュリティ・ホールができる問題があること、など
である。


[注36]  Xツールキット

Xの機能を構成するプログラム群。


[注37]  Motifウィジェット・ライブラリ

Motifのルック・アンド・フィールを構成するためのライブラリ。
Motifそのものといえる。


[注38]  情報処理学会に投稿

有賀さんは、平成8年前期の情報処理学会の講演論文集に、「Xウィ
ンドウシステムによるオブジェクト指向プログラミング教育−ヴィ
ジェットライブラリを使っての演習の試み−」という論文を投稿し
た。


以上


(UNIX USER誌連載「よしだともこのルート訪問記」より)
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