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第45回 普通のOLからrootへの華麗なる転身



1998年12月号 UNIX USER誌掲載「ルート訪問記」の過去記事

第45回 普通のOLからrootへの華麗なる転身

今回は、有限会社マウス [注1](以下マウス)の代表である菅沼
真理(すがぬま まり)さんを訪ねました。菅沼さんは自ら会社を
作り、現在は主にWebコンテンツ制作の仕事をされています。そこ
で、マウスのネットワーク環境構築に関する話を中心にお聞きしま
した。


*希望のネットワーク環境が構築できた喜び

私(以下Y):こんにちは。UNIXの大先輩から「自分で会社を興し、
FreeBSDによってネットワーク環境を構築した女性がいますが、会っ
てみますか?」といわれて、二つ返事でやってきました。まずは、
Webコンテンツ制作会社を興された経緯からお話しいただけますか。

菅沼さん(以下S):短大を卒業してから5年間会社勤めをしたの
ですが、 ’95年12月に退社しました。ちょうど、Windows 95が日
本で発売されたころです。そこで、友人と一緒に会社を作ったので
すが、残念ながら半年後につぶれてしまいました。その後、約1年
間は1人で仕事をしていたのですが、 ’97年9月にマウスを設立
したんです。主な業務内容は、Webコンテンツ制作とPCサポートで
す。

Y:会社で5年間勤務されたときは、どのような仕事をなさってい
たのですか。

S:いわゆる普通のOLです。銀行系のシステム開発会社だったので
すが、短大卒の事務職でしたし、配属もシステム開発の部署ではな
く研修室勤務だったので、社内研修のお手伝いをしていました。あ
とは、「ニコニコしたり、お茶の用意をしたり」という具合です。

 社員には1人1台98noteが配布されており、IBMの大型計算機の
端末エミュレータと、「一太郎」および「Lotus 1-2-3」が使える
環境がありました。そこで、社内研修ではこのようなアプリケーショ
ンの使用法を教えたり、「システム構築とは?」という内容の講習
を実施していました。もっとも、私は講師ではなく、資料を印刷し
て配るような役目だったのですが……。

Y:そうだったんですか。続いて、マウスのネットワーク環境につ
いて教えていただけますか。

S:外部とは、NTTのデジタルアクセス64 [注2](DA64)という専
用線で接続しています。

Y:なぜOCNエコノミーではなく、DA64を選択されたのですか。

S:OCNエコノミーは複数(最大24ユーザー)で1回線を共有する
ため、ある特定の時刻になると非常にネットワークの接続が悪くな
ることもあると聞いていました。また、専用線を扱っているプロバ
イダの方が、大変親切だったのです。技術面のサポートを含めて、
顔の見えるプロバイダがいることは、非常に心強いものでした。東
京都内に限ると、価格的にベストなのはOCNエコノミーですが、常
に同じ速度を保ってくれるのなら多少高くてもよいと思ったわけで
す。

 なお、マウス内部とプロバイダ側には同じルーターを置いていま
す。ルーターとしては各機種が販売されていますが、知人からの
「実績や機能面でRT80i [注3] が優れている」という情報、およ
びプロバイダから勧められたこともあり、RT80iに決定しました。
ほかの機種は全然考慮に入れず、事前に調査もしませんでした:-)。

 結局、秋葉原で2台のRT80iを購入して、専用線工事の前にプロ
バイダへ2台とも送り、設定してもらったんです。設定後、1台は
返送されてきましたが、プロバイダ側が行ってくれるのは基本的な
部分だけなので、あとは自分でtelnetによって追加設定しました。

Y:専用線の開通日というのは、どんな様子なのでしょう。

S:屋内配線を含めてNTTに依頼したため、NTTの担当者がきて回線
確認後、初期設定のすんだルーターを設置していきました。工事自
体は、だいたい30分くらいでした。その後、プロバイダに回線が開
通したことを連絡し、向こう側から確認していただいてすべて終了
です。プロバイダの担当の方には、かなりお世話になりましたし、
一度打ち合わせをしていたので、開通まではとてもスムーズな流れ
でした。

 ただ、DA64というサービスは首都圏でしか利用できないので、そ
の点では都内のSOHOは恵まれていますよね。私の実家は長野ですが、
まだOCNエコノミーしかありません。同じことをやろうと思っても、
DA64を利用した自由度の高いネットワーク環境を作ることは難しそ
うですからね。

Y:なるほど。各種ネットワーク・サーバーは、FreeBSDの上で動
いているのですね。

S:はい。ネーム・サーバーやWebサーバーとして使ったり、内部
LANのファイル・サーバーとして使っています。

 Webコンテンツ制作などの業務では、(クライアントとして)
WindowsやMacintoshを使用しています。文書ファイルはWindows上
の秀丸エディタで入力し、画像はMacintoshを利用するといった具
合です。このように、複数の環境でファイルを作るため、内部にファ
イル・サーバーを置いたことによって各環境上で作成したファイル
の管理が楽になりました。

 現在のネットワーク環境ができ上がったのは、今年の5月です。
いまは、希望していた環境が構築できて大変幸せですが、あと1つ
だけ「FreeBSDによるPPPサーバー」を用意しようと計画しており、
これは現在作業中です。

Y:専用線接続になって、快適さに変化はありましたか。

S:専用線接続の効果は非常に高いですよ。たとえば、Webコンテ
ンツ制作を請け負っている客先のサーバーなどにtelnetで入り、
CGI [注4] の動作チェックの実験をする場合など、すぐに1、2
時間かかってしまいます。また、こちらで作ったコンテンツを客先
のサーバーへ転送する際も、かなりの時間がかかります。専用線接
続する前は、電話料金などのコストを考えて23時以降のテレホーダ
イ [注5] の時間にこれらの作業を実施していたので、完全に昼と
夜が逆転していました。ファイル・サイズの大きいものを深夜に転
送し、1時間置きに目覚まし時計を鳴らして、「終わったかな?」
と画面を見に行った経験もあります。

 専用線接続にしてからは、作業効率が非常に上がりました。そし
て、最も痛感したのは、「インターネットは、専用線接続で使って
こそ、その価値が分かる」ことです。インターネットの初心者向け
の書籍では、「インターネットは生きたデータベース」と書かれる
ことがありますが、ダイヤルアップ接続では「読み物」程度しか威
力を発揮していないと思いました。

 ただし、常時接続することでリアルタイムにバンバンとメールが
届くようになりましたから、それにすぐ返事を書くと、またすぐ返
事がきて……と、仕事が進まないんですよね(笑)。「客先との円
滑なコミュニケーション」は大切ですが、あとになって「この件は
電話で話した方が早かったな」と思うときがあります。


*最も苦労したのはfreeWAIS-sfによる検索エンジンの構築

Y:メール・サーバーの設定(/etc/sendmail.cf)は難しいと思
うのですが、いかがでしたか。

S:sendmail.cfは、本当に難しかったですよ。実際には、CF-3.6W
というマクロ言語処理で生成しました。そのほか、ネーム・サーバー
の記述も難しかったですね。「正引き? 逆引き? それは何?」
というレベルからのスタートだったので……。当時はダイヤルアッ
プ接続なので、テレホーダイの時間になるのを待ってInfoseekに行
き、検索文字入力部分に、

逆引き | FreeBSD | ネームサーバー  

と入力して、検索結果のページを片っ端から見て [注6] いきまし
た。

 WebサーバーはApacheを利用していますが、これはportsとして用
意されていたため、インストールはすごく楽でしたね。PC UNIXに
アプリケーションをインストールするのは、(先達の努力もあって)
Windows 95よりもはるかにスマートだと感じました。ボランティア
として、バイナリを用意してくださっている方々に感謝したいです。
最終的にportsを利用したのは、Apacheとbash、freeWAIS-sf [注7]
(クライアント)でした。

 freeWAIS-sfというのは情報検索のために使用されるWAIS(ウェ
イズ)のフリー・ソフトウェアで、これをWeb上から利用するには
SFgateというCGIパッケージも必要です。客先から「うちのWebペー
ジにも全文検索エンジンを付けてほしい」といわれ、「UNIX USER
の’98年3月号の特集に、freeWAISによるサーチ・エンジン構築法
が載っていたから簡単にできるかな」と思い、気軽に「フリーのも
のを使ってサーチ・エンジンを構築します」と企画書に書いてしまっ
たんです。「では、お願いします」といわれてから、freeWAIS-sf
とSFgate、Perlなどをインストールしたのですが、これには非常に
苦労しました。構築方法のドキュメントは、freeWAIS-sfのサイト
にあるPDFファイルを取ってきて全部印刷しましたが、分量が多い
うえにすべて英語なので、読むだけでも大変なんです。

 また、freeWAIS-sfをApacheで使うには、srm.conf中の、

#ScriptAlias /cgi-bin/ /usr/local/apache/share/cgi-bin/
		:
#AddHandler cgi-script .cgi

の部分の“#”を削除して、cgiスクリプトを実行可能にしておく必
要があるのですが、これを忘れてしまうという失敗も経験しました。
この状態で検索すると、Webブラウザの画面にスクリプトが出てき
てしまうのです。「なぜダメなんだろう……」と丸2日悩み、20回
ぐらいインストールし直して [注8] 、最後の最後にsrm.confの中
の「cgiを引っ張ってきたい場合は、この行を有効にしろ」という
記述に気づきました。このように苦労したので、キーワードを入れ
て検索結果が表示されたときは非常にうれしかったですね。

 現在は日本語未対応のfreeWAIS-sfを使っており、これでも十分
なのですが、将来的にはChaSenなどを使った日本語全文検索システ
ムを構築していきたいです。

Y:日本語全文検索システムを構築する方法としては、ほかに
Namazuがありますね。こちらの方が、freeWAIS-sfに日本語化パッ
チを当てるよりもはるかに簡単みたいですよ。


*MacintoshやWindowsを経てFreeBSDと出合う

Y:菅沼さんは、書籍『FreeBSD 2.2.5の世界』 [注9] の著者で
もいらっしゃいますよね。

S:はい。でも、UNIX自体を知ったのは、’97年7月なんです。そ
の直後、この本を書くことになりました。編集の方や共著者の方は、
「UNIX経験のない」私に書かせることで、初心者にとって親切で分
かりやすい本を作ろうとされたようです。

 こういう状況でのスタートでしたから、執筆には非常に苦労しま
した。本を書き終わったあとでも、編集者から「原稿はいかがです
か?」という電話を受ける夢を見たほどです。

 ただ、原稿執筆のために、FreeBSDのインストールを何度も経験
しましたから、ものすごく速くなりましたよ。「次の画面は何で、
選ぶのは上から何番目の項目か」ということも、はっきりと覚えて
います。ですから、もしFreeBSDのインストールの速さを競う大会
があれば、かなりよい成績だと思いますよ。ノートPC部門 [注11] 
があると、なおうれしいです。

 現在、Libretto 70とLibretto SS1000にFreeBSDを入れています
が、なかなか便利で、仕事にもかなり役立っています。後者には購
入したその日にPAO [注12] を使ってインストールしたのですが、
これは非常に優れたツールだと思いました。PCMCIAカードの扱いに
関していえば、Windows 95よりもFreeBSDのほうがスマートだと思
います。Windows 95ユーザーがPCMCIAカードを抜く際、「面倒だ」
と思わないのが不思議でしょうがありません。

 また、Librettoには両方ともXを導入しており、外出先での
SFgateのデモ用に活躍しています。Libretto SS1000については、
標準ではまだチップ・セットが対応していなかった [注13] のです
が、/etc/XF86Configを修正して動くようになりました。

Y:UNIX USER編集部主催「FreeBSDのインストール・スピードを競
うコンテスト」を提案しておきますので、これが実施されたときは
ぜひ優勝してくださいね:-)。

S:私の場合、必要に迫られてUNIXユーザー歴なしにいきなりroot
になりました。やっとインストールできたかと思えば、「lsって何?」、
「ifconfigって何のこと?」という感じの毎日でした。ただ、この
ときの「自分でオンライン・マニュアルを見ながらコマンドを覚え
ていった経験」は、サーバー構築の際に大変役立ちました。何もか
も初めて作るので、すべてが新鮮に見え、またシステムそのものが
シンプルで美しく思えたのです。

今後はこのようなケースも珍しくなくなるのでしょうね。たとえば、
まずインターネットが必要で、そのためにクライアントとして
MacintoshやWindowsを使用し、「これらのファイル・サーバーを用
意したいな。UNIXが便利そうだから、一度使ってみよう」とか、
「Web/メール・サーバーを構築するために、UNIXというのを一度使っ
てみよう」という流れです。

 私の場合も、最初はMacintoshを使ってインターネット接続して
いました。しかし、頻繁に落ちるためWindowsを使うようになり、
Windowsも不安定だからUNIXに行き着いたわけです。欲しいのは
「UNIXそのもの」ではなく、「快適なネットワーク環境」です。そ
の環境を実現するための選択肢としてUNIXしかないから使っている
のです。ですが、「この選択肢は間違いないな」と思っています。

Y:そうですね。少し前までは、「まずUNIXを使っていて、それが
少しずつ相互接続されてインターネットを利用できるようになった」
というUNIXユーザー/管理者が多かったわけですが、今後はまった
く反対の流れでUNIXと出会う人が増えていくのでしょうね。

 では最後に、これからの抱負などを教えていただけますか。

S:現在は、Webコンテンツ制作が業務のほとんどですが、今後は
「PC UNIXで各種サーバーを立ち上げたい」という会社のネットワー
ク構築をサポートしていくような仕事をしていきたいですね。

 Webコンテンツ制作という仕事に限らず、「インターネットにつ
ながないと仕事にならない」という業務や会社は、今後も確実に増
えると思います。そのときに、サーバーとしてPC UNIXが選択され
るケースも増えるはずです。そこで、「ネットワーク・サーバーを
構築したい」という客先へ出かけて行き、「ネットワークを構築し
まーす」といってドライバやCD-ROMを出して作業し、「PC UNIXを
ベースに、WebサーバーはApacheで組んでおきました」と、さらり
といえるようになりたいです。

Y:それは楽しみですね。Linuxではサポートを行っている会社が
いくつか集まり、組織を作っていますよ [注14]。

S:すでに大きな会社もLinuxなどに興味を示したり、投資してい
る現況 [注15] がありますから、今後が楽しみですね。私はたまた
まFreeBSDでサーバーを組みましたが、Linuxでも同じことができる
はずなので、今度はLinuxも導入してみようかと思っています。

Y:Ladies' Linux Users Group [注16] という会もできています
ので、よろしかったらいかがですか。別に、Linuxを使ってなくて
も参加できますので。

 最近、「SOHOスタイルで働く」ことに興味を持つ方、とくに「女
性がそのようなスタイルで働くこと」に興味を持つ方が増えていま
すね。筆者自身、自分の体験を話すような機会 [注17] が増えてき
ました。そのような中で、今回の菅沼さんのお話はとても興味深く、
自分のためにもなったように思います。

 今日は、とっても楽しかったです。ありがとうございました。こ
れからも、よろしくお願いします。


*Cobalt Qubeでのサーバー設定について

 先月紹介したCobalt Qube [注10] について、「どのようにサー
バーを設定するのですか?」というメールが筆者のもとにたくさん
届いているので、少し設定画面を紹介しておきましょう。

 同マシンは初期設定以降、すべてWebブラウザから設定できます
(図A)。また、中身は素直なRed Hat Linux(Cobalt Linux
release 2.2の場合は、Kernel 2.0.33 on a mips)なので、Webブ
ラウザでの設定変更後、「実際に、どのファイルが変更されたのか
な」とtelnetコマンドを実行して確認するのも楽しいですよ:-)。

 筆者のマシンにおいて、自分でインストールしたものは日本語全
文検索のNamazu関係とメーリング・リスト用のFMLだけですが、両
方ともmake一発でした。これも、中身がLinuxのおかげですね。


*訪問後記

 ルート訪問記の取材での出会いが大きな意味を持ったことはこれ
までにも多く、すでに4年近く、ルート訪問記と称して多くの方々
と会ってきた筆者は「人との出会いは、不思議なものだ」と痛感し
ています。

 通常、ルート訪問記の取材では、立場の違う方とお会いするので、
「ふーん、そのようにネットワークを構築されたのですか。なるほ
ど」と軽い受け答えをして、冷静に記事にまとめることができたの
です。しかし今回は、少し勝手が違いました。菅沼さんとは、立場
が似ていたのです。違うのは「自分のネットワーク環境作りに、真
剣に取り組んでいるかどうか」という点だけです。

 よい刺激を受けたことで、現実満足型の筆者としては珍しく「自
分のWebサーバーを持ちたい」、「そこから発信するコンテンツに
は、日本語全文検索エンジンを付けたい」と積極的なことを考える
ようになったのです。こうしてでき上がったのが、 ’98年9月末
に公開した「ルート訪問友の会のページ」
( http://www.tomo.gr.jp/ )です。

 「人との出会い」というのは、やはり偉大ですね。皆さんにとっ
ても、「記事を通じた各ルートさんとの出会いが、よい意味での刺
激になるといいな」と思っています。



[注1] 「有限会社 マウス」

1997年9月8日に設立された会社で、所在地は東京都港区麻布十番
3-1-5。主な業務内容は、マルチメディア・コンテンツ作成、PCサ
ポート業務。詳しくは、 http://www.moo.co.jp/ 参照。


[注2]  デジタルアクセス64

30km以下の近距離を対象とした、64Kbpsの回線速度を提供するデジ
タル専用線。「月額2万8000円〜」という低料金だが、インターネッ
ト接続するには別途プロバイダとの契約が必要となる。詳しくは、 
http://www.nttls.co.jp/senyo/service/service6.html 参照。


[注3]  RT80i

ヤマハから販売されているリモート・ルーター。詳しくは、
http://www.rtpro.yamaha.co.jp/rt80i/ を参照。


[注4]  CGI

Common Gateway Interfaceの略。Webサーバーとバックエンドで動
作するプログラムとの仲介を果たすインタフェース。Webサーバー
とデータベース・サーバーを連携する場合などに用いることが多い。


[注5]  テレホーダイ

毎月一定の料金を支払うことで、特定の番号に対する通話が、23時
から翌朝8時の間だけ回数や時間に関係なく定額となるサービス。
詳しくは、
http://info.ntt.co.jp/shop/annai/th/th-k.html  参照。


[注6]  検索結果のページを片っ端から見て

菅沼さんからは、「これもダイヤルアップ接続で行ったので、生産
性の低さは推して知るべしです」とのコメントをいただいた。


[注7]  freeWAIS-sf

freeWAIS-sfは、WAISという全文検索エンジンのフリー版である。
これを日本語化するには、奈良先端科学技術大学院大学で開発され
た日本語の形態素解析ツールChaSenを使う方法と、「分かち書きパッ
チを当てたKAKASI」を使う方法の2種類ある。いま人気のフリーの
日本語全文検索エンジンNamazuでも、日本語文字列を単語ごとに区
切るために前述の2つのいずれかを使うが、デフォルト設定は後者
となっている。

詳しくは、書籍『日本語全文検索システムの構築と活用』を参照。
なお、同書のサポート・ページは、
http://www.kusastro.kyoto-u.ac.jp/~baba/namazubook/support.html 
である。


[注8]  20回ぐらいインストールし直して

筆者も、たびたびこういう経験をしているため、「1人で悩みなが
ら、ひたすらインストールをやり直すのって、つらいですよね」と
いう話題で非常に盛り上がった。とくに、納期が迫っているときの
孤独な作業は……。


[注9]  『FreeBSD 2.2.5の世界』

’98年3月にソフトバンクから発行された書籍で、著者は菅沼真理
さんと胡桃さん、監修が花井浩之さん。菅沼さんとは、「自分が書
いた本が書店に並んでいるのを見るのは、とてもうれしいものです
よね〜」という話題で非常に盛り上がった。


[注10]  Cobalt Qube

Cobalt Networks,Inc.( http://www.cobaltnet.com/ )が開発した
インターネット・サーバーで、日商エレクトロニクス、ADAMNET、
ぷらっとホーム、ふぁすとばっく、日本テレマティークなどから日
本語化された製品が販売されている。なお、すでにオフィシャル・
ユーザーズ・グループのページ( http://cobaltqube.org/ )も存在
する。


[注11]  ノートPC部門

筆者の周りには、ノートPCにFreeBSDを導入している人が多い。
「Windowsは使わないぞ!」という強い意志を示すため、DynaBook
SS-3010の4GバイトのハードディスクをすべてFreeBSDのパーティショ
ンにしてしまった方までいる。よく議論されるのが、キーボードと
ビデオ・コントローラの話である。NeoMagic製のビデオ・コントロー
ラが嫌われる傾向にあるが、「キー配列はxmodmapでいくらでも書
き換えられるからこだわらない」、「NeoMagic製のビデオ・コント
ローラでXが動かなかったころは嫌いだったが、現在は動くので気
にしない。Xさえ動けば、ビデオ・コントローラは何でもよい」と
いう意見に、筆者は賛成。


[注12]  PAO

FreeBSDでモバイル・コンピューティングを実現するための総合パッ
ケージ。PAOにはPCMCIAカード用ドライバ、APMドライバの拡張、お
よび各種ユーティリティやデーモンが含まれている。


[注13]  チップセットが対応していなかった

Libretto SS1000にはNeoMagic製ビデオ・コントローラが採用され
ており、なおかつ垂直周波数と水平周波数が高いTFT液晶画面が使
用されている。そのため、通常のXF86Setupでは、自動的にセット
アップされない。このようなマシン上でXを動かしていること自体、
すでに「尊敬すべきPC UNIXオタク」だといえよう。


[注14]  組織を作っています

Linux Business Initiative( http://www.linux.or.jp/lbi/ )
には、 ’98年9月10日現在、16社が登録されている。


[注15]  興味を示したり、投資している現況

詳しくは、http://www.zdnet.co.jp/news/9810/ 06/compaq.html 
や http://www.zdnet.co.jp/news/9810/06/b_1005_08.html を参照
してほしい。


[注16]  Ladies' Linux Users Group

女性Linuxユーザー会。通称LLUG(エルラグ)。 ’98年6月末に発
足し、主にメーリング・リストによる活動が行われている。詳しく
は、 http://llug.linux.or.jp/ 参照。


[注17]  自分の体験を話すような機会

実は、’98年11月28日(土)13時から、滋賀県女性センターにて開
催される『インターネットは女性の武器になりえるか』というセミ
ナーで講師をする予定。詳しくは、
http://www.biwako.ne.jp/~bmail/bevent/  参照。


以上


(UNIX USER誌連載「よしだともこのルート訪問記」より)
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