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第13回 地球のデータを料理するのは、かもめ印の秘伝のソース



1996年2月号 UNIX USER誌掲載「ルート訪問記」の過去記事

第13回 地球のデータを料理するのは、かもめ印の秘伝のソース

今回は、金沢工業大学 [注1] の経営工学科、日下(くさか)研究
室 [注2] の佐渡秀治(さどしゅうじ)さん(工学研究科)を訪ね、
日下研究室のコンピュータ環境および経営工学科のユニークなコン
ピュータ環境についてお聞きしました。


*地球環境の研究にはUNIXが必需品

私(以下Y):はじめまして。今日はよろしくお願いします。この
研究室の研究内容をWWW [注3] で予習しましたところ、佐渡さんの
研究分野は地球環境やリモートセンシングとのことですが、これら
とUNIXがどう結び付いているのでしょうか。

佐渡さん(以下S):地球環境の分野は、なぜかUNIXの愛好者が多
いのです。人工衛星から撮影した地球の画像データは膨大な容量に
なるため、これらのデータ処理を行うためには、パフォーマンスの
高い機械が要求されます。その結果、最終的にUNIXに行き着くわけ
です。

 さらに、手軽にUNIXが使える環境となると、フリーのUNIXしかあ
りません。最近のPCは数年前のSPARCstationより速いですから、実
用性も十分です。ここの大学にはLinux [注4] の愛好者が多くいま
す。

Y:フリーのUNIXには、FreeBSDなどもありますが、Linux派として、
そのよさを語っていただけますか?

S:まずは、導入のしやすさでしょう。インストールは、FreeBSD
などよりも簡単です。Linuxは、もともとMINIX [注5] で実装され
なかった機能を補う意味で作られたもので、最初はニュース・グルー
プ“comp.os.minix”の中で発表されました。Ver. 0.12のリリース
が“comp.os.minix”にアナウンスされたのが、’92年1月5日の
ことです。このバージョンからは、POSIX準拠のジョブ・コントロー
ル、仮想記憶がサポートされ、ほぼ1つのOSとして完成を迎えまし
た。

 しかし、Linuxの存在が、結果的にMINIXの作者であるタネンバウ
ム博士とその支持者たちのひんしゅくを買い [注6] 、Linusさんた
ちは、“comp.os.minix”を追い出され、新天地を求めて放浪の旅
に出たのです。

 その後、“comp.os.linux”が開設され、同年3月にはVer. 0.95
がリリースされました。しかし、4月に、386BSDが公開されたため、
Linuxの苦難の道は続きました。

 BSDは実績のあるブランド品ですから。Linux教の信者たちは、自
分たちの「経典」を守るべく、ますます布教活動を活発化させたわ
けです。その結果非常に使い勝手のよいUNIXができ、その実績が世
間にも認められ、Linuxは1つのOSとして確固たる地位を確保した
というわけです。このあたりの話は、あくまで私見ですが。

Y:そんな歴史があったんですね。

S:Linuxの2つ目のよさは、「アプリケーションなどのサポート
の早さ」です。OSが成熟するにつれ、信者が増え、それによりまた
新しいコードが生まれていく、というサイクルができ上がっている
んです。

 Linuxは、しょせんカーネルだけが本質ですので、そのほかは信
者がコードを移植したり書き直したりしているんですね。このあた
りがBSD系とも一線を画すところなんです。実際にLinuxのコマンド
やアプリは、BSDやGNUの移植がほとんどです。

 3つ目は、「とにかく軽い」ことです。少ないメモリとHDDでも
サクサク動くOSは、それだけで大きな魅力です。この軽さは、ロジッ
クや実装の完璧さよりも、実用性を優先したからではないかと思い
ます。

Y:長所は、「導入のしやすさ、サポートの早さ、軽さ」ですね。
では、短所の方は?

S:ネットワークのパフォーマンスが悪いことでしょう。もともと、
ネットワークで使うことを考慮して作られているのかどうか……、
そのあたりに難がありますね。たとえば、NFS [注7] の性能を
FreeBSDと比べると、数分の1のパフォーマンスになると思います。

Y:研究室などのネットワークにつないで使うのではなく、自宅で
使うものだということですか。

S:もちろん、つないでも使えますが、本来は、学生が論文を書く
ためのクライアント・マシンとして使うのが最適だと思います。ネッ
トワークにつないで本格的にサーバーとして使用する場合には、
SPARCstationなどのマシンの方が適しています。

 Linuxのもう1つの短所であり罪な部分は、パソコン初心者にで
もUNIX環境を与えてしまうことです。たとえば、1人の社員が会社
のLANに自分のWindowsマシンを接続していたとします。管理者的な
知識は持ち合わせていないその社員が、たまたま自分のマシンに
Linuxをインストールしてみたとします。

 管理者側からいわせると、初心者にネットワークにつながれた
Linuxマシンを扱わせるのは非常に恐いことなのです。Linuxといえ
ども完全なUNIXであり、LAN上ではUNIX WSと同列に立ちます。つま
り、Linuxマシンができ上がることにより、パソコン初心者のスー
パー・ユーザーが誕生してしまうのです。これは危険なこと [注8] 
でしょう。

Y:なるほどねえ。

S:ですから、うちの経営ドメインのように、各種のマシンをLAN
に接続するにあたっての制限がゆるい [注9] サイトでは、この危
険性は、十分に考えて運用しなければいけません。

 それについてだけ気を付ければ、Linuxは研究者に、非常によい
コスト・パフォーマンスを与えてくれます。実際、複数の人が使用
するWSでは、頻繁に負荷がかかるジョブの実行は遠慮してしまいが
ちです。しかし、Linuxマシンを個人で準備して使えば、何の遠慮
もいらない、自分専用の開発環境が手に入ります。帰宅する際にジョ
ブを投入し、朝にその結果をチェックする……これが遠慮なくでき
る環境は、研究者にとって非常にありがたい存在なのです。



*経営工学科の管理者として、科全体のシステム管理を担当

Y:佐渡さんは、この研究室を含む、経営工学科全体のネットワー
クのシステム管理者(Admin)なんですね。システムの全体像を説
明していただけますか。

S:はい。システム構成としては、経営工学科全体のネーム・サー
バー兼メール・サーバーと、WWWサーバー兼KITLINKという科独自で
運営しているBBSのサーバーには、どちらもSPARCstationを使って
います。ネットワーク内には、Macintoshをはじめ、考えられるマ
シンはすべてあります。ないのは、Amiga [注10] ぐらいです。

 経営ドメインは、現在は、kanazawa-it.ac.jpという大学全体の
システムの下部に所属するサブ・ドメインにすぎません。しかし、
kanazawa-it.ac.jpを管理している情報処理サービス・センターが、
まだBITNET [注11] にしか参加していなかったころから、CAI [注
12] 室と情報工学科と経営工学科だけは、独自にJUNET [注13] に
UUCP [注14] で接続していました。当時から、メールやネット・ニュー
スなどのサービスを独自に受けていた名残を受け継ぎ、いまでも経
営工学科は独自のネーム・サーバーを持ち、メールも直接外部とや
り取りしています。

Y:大きな会社でも、会社全体がインターネットに接続される前は、
研究所や事業所単位で外部につないでいたケースは多いようですね。

S:情報処理サービス・センターは、さすがにお正月にはネットワー
クを止めてしまいますが、学生運用の経営サイトはE-mailの年賀状
が欲しいというリクエストに応えるべく、年中無休運用を続けてい
ます。

Y:それは、ありがたいサービスですね。E-mailの年賀状って、私
にもけっこう届くんですよ。「年賀状、ありがとう。私の方からは
出しそびれましたが、今年もよろしく」って感じのものが。:-)

 あとは、年賀状に「最近、どんな仕事をしていますか?」などの
質問が書かれている場合って、あるでしょう。聞かれたことにはす
ぐにメールで返事を書いています。

 経営ドメインで、ルートの権限を持っている方は、もちろん、佐
渡さん以外にもおられるわけですね。

S:はい。ネーム・サーバーのルートのパスワードを知っているの
は、私を含めて4名です。隣の部屋にいる、筧貴夫(かけひ たか
お)さんも、その1人です。

Y:管理者としての作業のノウハウを紹介していただけますか?

S:具体的な作業についてですか? たとえば、どのような?

Y:たとえば……、バックアップのコツとか……。

S:え、バックアップですか?

Y:いえ、別にほかの作業についてでもいいのですが……。

S:経営サイトのサーバーには、普段はバックアップ用の機材はつ
ないでいません。したがって、直接サーバーのバックアップをとる
には、サーバーをシャット・ダウンさせて、バックアップ用の機材
をつながなければなりません。

 しかし、私の使用しているLinuxマシンとのNFSのポイントを利用
すれば、簡単にLinux側にバックアップを行わせることができます。
このLinuxマシンは私しか使いませんから、シャット・ダウンなど
いつでもできますので、MO [注15] だろうがテープだろうが、簡単
につなげるわけです。私は面倒くさがりなので、NFSを利用して器
用にバックアップをとっているというわけです。

 ただしこれは、「WSの数>バックアップ機材」の式が成り立つ、
貧乏サイトならではの苦肉の策なので、公表するのは非常に恥ずか
しいのですが……。

Y:そういわず、紹介させてください。:-)


*経営工学科独自の電子掲示板システムを運用

Y:経営工学科独自のBBS [注16] があるそうですね。

S:KITLINK [注17] は、かなり異色のシステムでしょうね。 
KITLINKは、すべてゼロから作り上げた、オリジナルのプログラム
で運用されています。また、ゲストにも最大限の権限を与えており、
これは商用BBSでは考えられないことです。この日下研出身の先輩
が作られたものを、私が受けついで運用しています。

Y:実は私も、先日、アクセスしてみましたが、NIFTY-Serveと雰囲
気が似ていますね。

S:そうですね。その作者の方が、NIFTY-Serveと日経MIXを参考に
したといっておられますから。KITLINKとSMTPとのゲートウェイ・
プログラムが稼働しているので、各会議室にE-mailで発言すること
が可能になっています。これを利用して、WWWからも発言が可能 
になっていることも、特徴の1つでしょう。あとは、ニュース・
リーダーのmnews [注18] からも読み書きできます。システム
自体はBBSですが、インターネットの各種サービスもBBS側から受け
られるように拡張されており、インターネット側からもBBSにアク
セスできます。

Y:それは便利そうですね。

S:このBBSのプログラムはLinuxでも動いており、モンゴル [注
21] でも使用されていると思いますよ。

Y:えっ? モンゴルですか?!

S:はい。春に、うちの先生がモンゴルからの研修員(JICA:国際
協力事業団の研修員)を受け入れていました。その研修員は、この
研究室でインターネットの技術として、UNIXの使い方、Linuxのイ
ンストール、Windows上でのTCP/IPネットワークの導入、WWWサーバー
の構築などを教わったのです。このときに、小規模ネットの構築例
として、KITLINKのソースを使ってBBSを構築させる実習も行いまし
た。教材のサーバーはLinuxマシンを用いる必要があったため、こ
のときに“Linux版KITLINK”も作成しました。

 このときの教材は、すべてバックアップがとられて、モンゴルに
持ち帰られました。ですから、おそらく現在ではKITLINKは、モン
ゴルでも稼働しているのではないかと思うのです。

Y:いい話ですね。自分たちのシステムが、技術と共に外国に持っ
て帰られたというのは。ところで、佐渡さんは、最近WWWでのCAIを
作られたそうですね。

S:はい。プロトタイプの公開に踏み切っています。CAI
上での設問の正誤判定などの処理には、CGIとFORMを使い [注20]、
それを処理するスクリプト言語としてPerl [注21] を主に使ってい
ます。

 これで学習できる内容は、私の研究分野のリモートセンシングで
す。内容はまだクイズ・レベルですし、インタフェースも洗練され
たものではありませんが。

Y:では、さっそくそれで、リモートセンシングについて勉強させ
ていただきます。:-) 今日は貴重なお話をどうもありがとうござい
ました。


<この後、私は、日下教授と佐渡さんに、大学全体のキャンパス・
ネットワークを支える情報処理サービス・センターと、世界最大規
模の工学系専門図書館であるライブラリー・センターを案内してい
ただきました。そうこうしているうちに、日もとっぷり暮れ、12階
建てのライブラリー・センターから金沢の夜景を見て、急いで家路
についたのでした>


[注1]  金沢工業大学

私立の工業大学で、金沢市の隣の町(石川県石川郡野々市町)に広
大なキャンパスを持つ。工学部の中に、機械工学科、機械システム
工学科、物質応用工学科、電気工学科、電子工学科、情報工学科、
人間情報工学科、経営工学科、環境システム工学科、土木工学科、
建築学科の11の学科がある。1965年開校。詳しくは、
http://www.kanazawa-it.ac.jp/を参照。


[注2]  日下研究室

日下 迢(くさか たかし)教授の研究室。この研究室はリモートセ
ンシングとネットワークを中心に研究が進められている。リモート
センシングは、主にLandsat、NOAA、JERS-1、ひまわりなどの人工
衛星からのデータを使用している。最近では偏光観測のデータ解析
にも着手している。ネットワークでは、WWW(cgi-bin、Java等)や
KITLINKの運用および拡張を手がけている。


[注3]  WWW

金沢工業大学経営工学科のホーム・ページは、
http://www.kanazawa-it.ac.jp/
からアクセス可能。


[注4] Linux

正しくはリヌクスと読むようだが、ライナックス、リナックス、リ
ニックスとも発音されている。フィンランドの Linus Bendict
Torvalds氏が、ゼロから書き起こしたPOSIX互換のOS。


[注5]  MINIX

ミニックスと読む。オランダのTanenbaum(タネンバウム)博士に
よる、UNIXの教育用OS。非常に廉価で販売されている。


[注6]  ひんしゅくを買った

このblame warはかなり泥沼化したが、戦況は常にMINIX派がLinux
派をけなすという構図で進んだ。MINIX派の論旨は、

・いまさらカーネルをデザインするのは時代遅れである
・386以上をターゲットとするのは好ましくない
・設計が美しくない

といったものだった。


[注7]  NFS

Network File Systemの略。ネットワークを介して他のホストのファ
イル・システムをマウントして使うファイル・システムのこと。マ
ウントされたファイル・システムは、あたかも自分のディスク装置
であるかのように見える。


[注8]  危険だという具体的な理由

@スーパー・ユーザーはすべてのファイル、プロセスに権限を持っ
ているAルーティング情報をも変更する力を持っているBLinuxは
クラッカーに狙われやすい


[注9]  制限がゆるい

個人の学生でも、1枚の書類を提出すれば接続が許可される。その
書類の作成、許可、管理を担当しているのが、佐渡さん。


[注10]  Amiga

アミーガと読む。グラフィック系に強い68系のパソコン。


[注11]  BITNET

Because It's Time Networkの略。米国EDUCOMの運営で、'81年に開
始された、世界的な学術/研究用ネットワーク


[注12]  CAI

Computer Assisted Instructionの略。学習者が、学習課題の理解
のためにコンピュータを利用すること。


[注13]  JUNET

ジェイユーネット、ジュネットと読む。'84年に日本で始まった、
UUCPベースの実験ネットワーク。海外ネットワークとのリンクも確
立していた。'94年に発展的解消をとげ、現在のWIDEにいたる。
JUNETもWIDEも、利用を学術研究に限定。


[注14]  UUCP

Unix to Unix Copy Protocolの略。UNIXシステム間で電話回線を使
用してファイル転送を行うためのプロトコル。昔はほとんどのサイ
トがメールをこの方式で送っていた。


[注15]  MO

Magneto Optical Diskの略。消去、再書き込み可能な光ディスクの
一種。


[注16]  BBS

Bulletin Board Systemの略。電子掲示板システム。


[注17]  KITLINK

Kanazawa Institute of Technology LINKの略。正しくは、「けい
あいてぃりんく」と読む。しかし、同大学の情報処理サービスセン
ター運用のKitNetは「きっとねっと」と読むため、KitNetのユーザー
は、KITLINKを「きっとりんく」と呼ぶ傾向にある。


[注18]  mnews

軽さと機能で定評があるニュース・リーダー。日本で開発されたも
のなので、最初から日本語対応。mnewsの“m”は、miniを意味する。
開発者は、Matsushita Soft Research, INC.の宅間 顯(たくま あ
きら)氏。最新バージョンはVer 1.19。詳しくは、まめちしき参照。


[注19]  モンゴル

モンゴル人民共和国。'21年中国より離れ、君主制を樹立、'24年に
共和制とした。蒙古(もうこ)人民共和国ともいう。中国の北辺、
シベリアの南に位置する高原地帯。


[注20]  CGIとFORMを使っている

CGI(Common Gateway Interface)は、WWWサーバー側でスクリプト
を呼び出し、サーバー側で実行させるための共通インタフェースで
ある。FORMは、クライアント側からの定型の書式の入力を取り込む
ために用いられる。


[注21]  Perl

Practical Extraction and Report Languageの略。文字処理、ファ
イル処理にすぐれた言語。参考書としては、
“Perl プログラミング”,L.Wall,R.L.Schwartz著,ソフトバンク刊
が有名。

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追記

実は、この記事の「Linuxはネットワークのパフォーマンスが悪い。」
という記述に関して、読者の方々からのメールが相次いだため、こ
の号の次の号('96年3月号)に、以下の補足を掲載しました。


この記事の中に、「Linuxはネットワークのパフォーマンスが悪い。
たとえば、NFSの性能をFreeBSDと比べると、数分の1のパフォーマ
ンスになる」と書きました。しかしLinuxは、それを支える多くの
信者たちによって飛躍的な進化を続け、いつのまにか商用UNIXをし
のぐ性能と安全性を得ています。ネットワーク回りに関しても同様
で、すでにLinuxは性能面においてBSDと方を並べるまでになってい
ます。ですから、これからLinuxを導入しようとする人は、ネット
ワーク回りのパフォーマンスをあまり心配する必要はありません。

また、LinuxのNFSのバッファ・サイズは、デフォルトでは1Kバイト
ですが、mountのオプションで、

	rsize=8192,wsize=8192

のようにバッファ・サイズを指定すれば、大きくすることができま
す。そうすれば、当然、パフォーマンスも上がります。参考までに、
補足させていただきました。


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UNIXまめちしき

	mnewsを使った超簡単BBS構築の勧め(文・佐渡秀治)

*mnewsのボード機能を利用

 軽さと機能で定評があるニュース・リーダーとして有名なmnews
には、ボード機能が標準で用意されています。このことはあまり知
られていませんが、簡単にBBSが作れてしまう便利な機能です。

*構築手順

(1)mnewsをboardオプションを付けてインストール

(2)ボード用スプールを確保

  デフォルトでは、/usr/spool/board 以下がスプールとなります
が、mnewsのコンパイル時に他のディレクトリを指定することも可
能です。
 ここでは、例として各会議室に合わせてディレクトリを作成しま
す。

  # cd /usr/spool/board
  # mkdir ibm-pc
  # mkdir macintosh

(3)aliasesを設定

 /etc/aliasesファイルに会議室ごとのエイリアスを記述します。
例:
  ibm-pc:    |"/usr/local/lib/ibm-pc.sh"
  macintosh: |"/usr/local/lib/macintosh.sh"

(4)シェル・スクリプトを準備

 mnewsにboard.shというメール投稿のためのスクリプトが付属し
ています。それをBで書いた各会議室のエイリアスに合わせて編集
し、そのエイリアス先に置きます。

(5)テスト

 実際にエイリアス先にメールを出して、各会議室スプールに1と
いうファイルができていればOKです。失敗した場合には、パーミッ
ションの設定がうまくいっていないことが多いようなので、実際に
試してみてください。

*まめテクニック

 ボードのスプールをマウント・ポイントとして、複数台のWSで
NFSマウントを行うと非常に面白い運用ができます。BBSでありなが
ら、あたかも1つのローカル・ニュース・グループを作り上げたよ
うになるのです。メーリング・リストのように参加者全員に内容が
送られるわけではないため、メール・スプールの爆発の心配もあり
ません。

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(UNIX USER誌連載「よしだともこのルート訪問記」より)
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