あとがき

 私は、1994年に初めてLinuxを触って以来、ずっとLinuxユーザであり続けている。 SunワークステーションやFreeBSD、はたまたMS Windowsなども時と場合によっては、 使用するときもあるが、基本的にはLinuxで全てを片付けたいと願っている。しかし、 なぜこのように願っているのか? と問われると明確な答えを出せない。

 強いて例を挙げると、私はイクラが大好きである。特に醤油漬けであれば、ご飯 を何杯でもいけるクチである。イクラほどではないが、明太子もご飯の友としては 最適だと思っている。さらに同じ魚卵の仲間としては、キャビアというものがある が、これは気軽に食するものではないだろう。個人的には、ご飯とよく合うと思う のだが、それならイクラや明太子の方がよっぽど良いと思う。魚卵ばかり出してき たが、ちょっと変わったところで甘〜いデザートはどうだろうか?これは人によっ ては大好物である場合が多いが、少なくとも私はあまり好まないし、第一ご飯の友 としては失格である。

 話が大幅にずれていると思われるかもしれないが、ここで

・イクラ、明太子 → Linux、FreeBSD
・ご飯を食べる → 計算機を使う
と置き換えてもらいたい。私がイクラ、すなわちLinuxを支持するのは単に嗜好の 問題であり、それならばご飯を何杯でもいけると思っているわけである。これが 明太子、すなわちFreeBSDに変わろうが構わないわけであるが、他の食材 (特に“甘〜いデザート”)では、“ご飯を食べる”には適切でないと思う。 つまり、LinuxやFreeBSDであれば、“ご飯を食べ尽くす”いや、計算機を使い倒す ことが可能であると考えているのである。

 しかし、いくらご飯の友として最適と言われても、外国人から見ればイクラや 明太子は奇異な物体に見えるように、初心者にとって母国語の通じない環境は 受け入れがたいのも事実であろう。

 本書では、CD-ROM付き入門書(いわゆるインストール本)の段階でとどまっている 食わず嫌いの初心者を後押ししつつ、Hackerレベルの方々にも時折参照して頂ける ようなものを目指して、執筆を行った。fvwm95で日本語メニューを作成する方法が 解説してあると思えば、文字コードについて延々とお堅い講釈が続いていたりもするのは、 その表れだと思って頂きたい。とにかく、日本のユーザにとって、コンピュータでも 日本語が使えるという状況がベストであることは間違いなく、Linux/FreeBSDの世界では それを実現するために多くの方々が貢献されている。本書にはその成果をなるべく多く 詰め込むようにしており、多くのユーザに届くことによってその成果が伝わって いくことを願うばかりである。

 なお、本書の執筆の際してそれぞれの章は、以下のように担当を分担している。

第1章 UNIXにおける日本語環境の実現 (よしだ、佐渡)
第2章 Linux/FreeBSD/XFree86における日本語環境の実現 (よしだ、佐渡)
第3章 日本語を表示する (佐渡)
第4章 日本語を入力する (よしだ)
第5章 日本語の印刷 (佐渡)
第6章 日本語を扱う便利なツール (よしだ)
第7章 日本語対応ソフトウェアの開発 (佐渡)
各Appendix(よしだ)
 本書の執筆に際し、いつの間にか熱烈なLinuxユーザとなってしまった共著者の よしだともこ氏、ほとんどの雑務を一手に引き受けてくれたソフトバンクの渡辺氏、 そして本書の執筆に際して、御助力を頂いた全ての方々に感謝する。

 本書が多くの“イクラ”と“明太子”を愛する人々に届きますように...。

1997年12月
佐渡秀治


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