今回の本の発行は、私にとっては、長いみちのりでした。まず、共著者の佐渡さん と、「こんな風な本が書きたいね」と言い始めたのが、'97年の春ぐらいのことでした。 それから、出版社を探して・・・。今回、発行してくださったソフトバンクの渡辺さ んが、私たちの説得に心を動かして下さったのが、夏ごろだったでしょうか。じゃあ3人で打ち合わせをしましょう! と、東京に集まったのが、9月でした。 まだまだ暑かったのを覚えています。それが、あっという間に秋がすぎてしまい、 気がつくと北風ピューピューの時期になっていました。その頃から私は、毎晩、寝る ときに「今日は○章○節まで書き上げる予定だったのに、できなかった。うーん。」 と、ちょっと反省しながら寝りにつく習慣ができてしまっていました。
そしたら、絶対に見るんですよ、原稿を書いている夢を。夢の中では、映画の スクリーンのように大きな画面に、私が一生懸命に文字を入力してる。ローマ 字入力したら画面にひらがなが表示されて、それをヒョイと漢字に変換して、 だんだんと画面が埋まっていく。
夢の中で書く文章は、起きると忘れてしまうんだけど、とにかく、画面いっぱい に文字を埋めている夢・・・。で、「できた、書けた」と思った瞬間に目が覚める わけ。で、覚める直前、「あ、どうしよう。今書いた文章、消えてしまう。保存 する手段がないぞ!!」とあせって、次の瞬間に目が覚めるのです。
大枠の原稿を提出し終ってからも、余白用の「コラム」を書いたりしていたの で、やっぱり、見る夢は、原稿を書く夢でした。夢でも「30行程度のコラムを至急」 と言われていて、画面の行を数えながら、文字を入力しているのです。
でも、もうそんな夢からは開放されます(そのはずです)。とにかく、それだけは うれしいな。
1997年12月
よしだともこ