「8章 インターネットのしくみ」の演習問題の解答例

演習問題(1)の解答例

 プロバイダに加入して、動的にIPアドレスを割りふられている場合は、個別にIPアドレスを取得する必要はありませんから、ここでは組織(会社や学校)がIPアドレスを取得する場合と電話番号の割当とを比較してみましょう。

 電話番号は国(地域)番号が国際的に決まっており、国(地域)番号の次の番号の振り方はそれぞれの国、地域が決めています。今まで7桁であった電話番号を8桁にして、その国での電話加入数の増加に対応するといったことも、国(地域)内で自由に決められます。

 32ビットのIPアドレスは、国(地域)ごとに使う範囲(ブロック、たとえば先頭が202と203で始まるIPアドレスは日本が使う)が決められており、ネットワークインフォメーションセンタ(NIC)がそれを国(地域)内に割り振る仕事をしています。国番号という概念はIPアドレスにはありませんが、国(地域)別に管理されています。しかし、インターネットの利用者が増えてIPアドレスが足りなくなりそうだからといって、国(地域)のNICが勝手に桁数を増やすことはできません。

 新規加入や電話の移転で、新たに電話番号を得る場合、いくつかの電話番号を提示され、その中から好きな番号を選択できます。また会社名の語呂とあった番号や覚え易い番号を商売のために電話番号が売買されることもあります。しかし、IPアドレスではそういったことはありません。IPアドレスはコンピュータが処理をするための番号で、人が直接扱うのはホスト名ですから、そんな必要も無いわけです。

 組織の中には外部とのアクセスがないコンピュータも多く存在します。それらに全世界でユニークなIPアドレスを与えるのは、IPアドレスの無駄になります。そこで、プライベートアドレスという組織内でだけユニークなIPアドレスを使うこともあります。電話でいうと内線番号のようなものです。

 ところで、現在使われているIPはIPv4と呼ばれているプロトコルです。32ビットのIPアドレスでは足らなくなる(IPアドレスの枯渇)問題を解決し、新しい通信サービスを提供するため、IPv6とい新しいプロトコルが検討されています。IPv6ではアドレスは128ビットになります。


演習問題(2)の解答例

 コンピュータの接続の形態はそれぞれの組織で違い、その設定方法もコンピュータによって異なります。TCP/IPを使ってネットワークと接続している場合、Macintosh、Windowsでは次のように設定を確認できます。

【Macintosh】
アップルメニューの「コントロールパネル」の「TCP/IP」を選択すると、TCP/IPの設定パネルが表示される。

【Windows】
スタートメニューの「設定」の「コントロールパネル」から「ネットワーク」を選択すると、ネットワーク設定パネルが表示される。ネットワークコンポーネントから「TCP/IP」を選択し、「プロパティ」ボタンをクリックすると、「TCP/IPのプロパティ」パネルが表示される。


演習問題(3)の解答例

日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)のWebページ
http://www.nic.ad.jp/index-j.html
のデータベースのページから「WHOIS検索ゲートウェイはこちら」をクリックすると、登録されている組織を検索することができます。

JPNICがこのようなデータを公開しているのは、ネットワーク管理者がインターネットの運用に利用するためです。たとえば、問題が起こった時に対象となるIPアドレスやドメイン名の属性からその原因を解明するための情報として利用します。公開されているデータを本来の目的以外に利用することは禁じられています。

インターネットはだれかが全体を集中して管理しているのではなく、個々のネットワークの管理者同士が相互に連絡を取り合って管理運用されています。そのためにIPアドレスやドメイン名がどのように割り当てられているかをデータベースとして公開することは、インターネット全体の維持、管理に必要です。一方、ダイレクトメールを送りつけたり、システムのセキュリティを破ろうと試みたりするために、公開された情報を悪用される可能性もあります。現在は、誰もがこのデータベースにアクセスできますが、利用規定の見直しや利用制限手段の検討がなされています。


Last Update: 2002.9.27
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